ファッションの一部として着用することも多いサングラスは、アパレル店などで棚に飾られたものを買っておしまい……という人がことのほか多い。しかし、メガネ同様にサングラスは一人ひとりに合う合わないがあるもの。自分にとって最高の一本を手に入れるためには、正しいサングラス選びが必須だ。そうして選んだサングラスは、それこそ一生モノとして愛用できる。ここでは各業界のプロ達が実践している“正しいサングラス選び”を解説していこう。

レンズによって変わる見え方の違い

サングラスを購入する場合、フレームとレンズはセットであり、ディスプレイされた状態が完成品……と考えている人は多い。しかし、実際はフレームとレンズは組み合わせることが可能であり、お気に入りのファッションブランドのフレームに、お好みのレンズというのは当たり前にできることなのだ。

フレーム選びは前項を参考に気に入ったものを選べば良いとして、レンズにおいては知識がないと迷ってしまうはず。まずは3つに大別されるサングラスレンズについて知っておきたい。

普通レンズ:レンズカラーの濃淡で光量を調整

普通レンズは、レンズカラーが濃くなるほど光量は抑えられるが、その分視界も暗くなっていく。また、直射日光は抑えられても、反射光のようなギラツキは抑えることができない。

偏光レンズ:特殊フィルムにより反射光(雑光)を取り除く

偏光レンズは、偏光膜という特殊フィルムをレンズに挟んでおり、光量を抑えつつ反射光もカットしてくれる。レンズカラーも多彩でシーンに合わせた見え方の選択が可能。なかには肉眼に近いクリアな視界を確保できるものや、夜間ドライブ向けのものもある。

調光レンズ:紫外線量によってレンズカラーが自動的に変わる

調光レンズは、室内では薄く、室外では濃く、というように紫外線量によってレンズカラーが変わるレンズ。状況による付け替えを必要としないため昼夜問わず1本で過ごせるのが利点。ただ、車のフロントガラスなど、もともと紫外線をカットしている場合は、調光しないので注意。

ここからは、ドライビングやスポーツ、各アウトドアシーンで圧倒的なシェアを誇る偏光レンズについて、偏光レンズ専門メーカーTALEXの製品を例に説明していこう。

偏光レンズの見え方

まず細かく説明するよりも、実際の見え方を見たほうが早いだろう。下の写真はカメラを固定して、カメラレンズ前に偏光レンズを差し込んだ写真。偏光レンズ無しでは水面の反射により見えない部分も、偏光レンズ越しであればこのとおりはっきりと視認できる。

この効果はさまざまなシーンで有効だ。例えばドライブシーン。とくにスポーツタイプのクルマになるとフロントガラスの角度もきつくなり、反射も多くなるもの。肉眼では映り込みにより前方が見えにくいが、偏光グラスを掛けていれば視界がクリアになるばかりか、路面の反射も抑えてくれるので道路状況に集中できる。

ゴルフやスキー、釣りといったアクティビティにおいては、プロの必需品として偏光レンズが選ばれている。芝生の照り返しや雪上の反射を抑えることで、地形の凹凸をはっきりと確認できるうえ、水中の情報も手に取るようにわかる。それぞれのシーンにおいて、偏光レンズは大きなアドバンテージに繋がるわけである。

ただし、2点注意してもらいたいことがある。近年、高級車などに搭載されているヘッドアップディスプレイ(HUD)は偏光グラス越しでは見えなくなってしまう。また、バイクシーンでは、偏光グラスを装着したままヘルメットのシールドを下ろした場合、シールドが歪んで見えたり虹色に見えたりしてしまう。

上記のようなシーンを想定している場合は偏光レンズは適さないため、選ぶ前にチェックしておこう。

偏光レンズのカラー系統は3種類

レンズメーカーのTALEXは各業界で絶大な信頼を誇る。その種類も多くシーンに合わせた選択が可能だ

TALEXのレンズは実に18種類ものカラーバリエーションがある。それらは大別するとグレー・グリーン・ブラウンの3つに分けられる。

「景色の色をより自然に、肉眼に近い色で見たいという方はグレー系やグリーン系を選ばれると良いでしょう。グレーはよりナチュラルに、グリーンは適度なコントラストをプラスすることができます。一方ブラウン系は幅広い天候に対応しますので、曇天時などでも明るく高コントラストを維持することができます」

18種類のカラー詳細はTALEXにて紹介されている。実際の見え方については、ぜひ新宿ANNEXで確認してみてほしい。

左からブラウン・グリーン・グレー。この3種類の系統で自身の好みに合わせて選びたい