ウブロ アエロ・フュージョン オーリンスキー 「時計というアート」【今週の逸本 Vol.21】

大人のビッグ・バン⁉︎
初代デザインを踏襲したクラシック・フュージョン

ウブロの人気コレクション、ビッグ・バンと人気を二分するのがクラシック・フュージョンである。クラシックの名前の通り、そのデザインは比較的シンプルであった初代デザインを踏襲しており、ビッグ・バンやVol.16で紹介したスピリットオブビッグ・バンと比較すると、かなり“落ち着いた”モデルといえる。

クラシック・フュージョンにはいくつかシリーズがあり、今回セレクトしたのは、文字盤がシースルーになっているアエロ・フュージョン クロノグラフのオーリンスキーモデルだ。

アートと時計の融合　オーリンスキーモデル

多面的な彫刻作品を得意とするフランスの現代アーティスト、リチャード・オーリンスキー氏。2017年に同氏とのコラボが発表され、生み出されたのが、ファセット・カット（切子加工）が施されたアエロフュージョン オーリンスキーだ。

そのカッティングはベゼルだけでなく、ケース、プッシュボタン、リューズに至るまで各所に施されており、まるで一つの芸術作品のよう。今回セレクトしたモデルはオールブラックのため、角度によって放たれる輝きに宝石のそれはないものの、一目でカッコいい……と思わずタメ息の出る仕上がりに。まさにアートと時計の融合（フュージョン）である。

世界限定200本の希少性

本モデルは世界限定200本という限られた本数で展開されている。発売当初日本に入った本数は定かではないが、その数は50本……いやそれ以下であったかもしれない。それら時計がまた市場に出回る本数で考えるとさらに少なくなるだろう。実際、日本限定50本のほうが我々の目にする機会は多いはずだ。

そのため、こうして実際の時計を目の前にして紹介できるのも幸運といえる。しかもこのカッコよさは反則だ。実際に撮影班もこの時計に一目惚れしてしまった。（ローンの計算をしながら撮影したのは秘密だ）

スタイリッシュでシックなオールブラックは、シーンを選ばないうえ上品な大人の色気すら感じられる。もしこの1本を手にする幸運な方は、ビッグ・バンや既存のクラシック・フュージョンとはまた違った表情をぜひ楽しんでほしい。

MOON PHASE 〜STAFF VOICE〜

これまでウブロの時計はマイナーチェンジで素材や色が変わることはあっても、ケースの形が変わるってほとんどありませんでした。そんな中で、ほかと一線を画するオーリンスキーモデルの登場です。正規ブティック店のスタッフ曰く、発売時にはかなりの賑わいを見せたとか。

ウブロの見事な点は、ヤンチャなビッグ・バン、落ち着いたクラシック・フュージョン、ゴージャスなスピリットオブ ビッグ・バンといった住み分けができているところ。そして、オーリンスキーモデルのように、アーティストとコラボしたことで工業製品から芸術作品に昇華させ、既存シリーズに新しい風を吹き込んだことです。

こうした展開を見てしまうと、ついウブロの今後に期待してしまいます。果たしてどんなことに挑戦していくのか。時計店としてもイチ時計ファンとしてもウブロから目が離せません。