グラスヒュッテ・オリジナル　パノマティックルナ「ジャーマンスピリッツ」【今週の逸本 Vol.183】

ドイツの職人による質実剛健なタイムピース

当連載初登場となるドイツの時計ブランド「グラスヒュッテ・オリジナル」。“グラスヒュッテ”とはドイツ・ザクセン州にある小さな町の名前で、ドイツにおける時計産業発祥の地である。かの高級時計ブランド・ランゲ&ゾーネがこの地で時計産業をはじめたことに端を発しており、現在では多数の時計ブランドが同地で活動している。

今回ご紹介するグラスヒュッテ・オリジナルもそのうちの一つ。はじまりはランゲ&ゾーネと同じ1845年と古く、ドイツを代表する時計ブランドだ。

セレクトしたのは、独創的なレイアウトが目を引く1本。グリーングラデーションの文字盤が美しい『パノマティックルナ』である。

腕時計としては珍しい左右非対称の文字盤を持つ本モデル。1時位置にはムーンフェイズ（月齢表示）、4時位置にはビッグデイトを配置。

なかでもビッグデイトは必見で、1の位を表示する盤と10の位の盤を重ねずに設置することで、それぞれの数字を水平に表示している。ビッグデイトは各数字部分に段差があるモデルが多い中で、とてもすっきりとした仕上がりだ。

盤面左側の大きなダイヤルは時間と分、そこに重なるように配置された小さなダイヤルは秒（スモールセコンド）だ。ダイヤル部に施された彫りが光を反射し存在感を演出。複数の要素が散りばめられた文字盤の中でも、時刻の確認はとてもしやすい作りとなっている。

ケース裏はスケルトンになっており、まるで蝶が羽ばたくかのような機構と21金のマイクロローターを備える自社製ムーブメントCal.90-02が楽しめる。

ムーンフェイズやビッグデイトなどの機能を有するがゆえにケースには厚みがあるが、この重厚感こそがドイツ時計の味ともいえる。時刻を見るツールとして、そしてドレスウォッチとしての完成度が非常に高い1本。スイス時計にはない“味”をぜひ体感してみてほしい。

MOON PHASE 〜STAFF VOICE〜

華やかで美しいスイス時計、質実剛健な（たくましくしっかりした）ドイツ時計──なんてよく言われますが、本モデルを見るとその印象は間違っていないと実感できます。

無駄に飾らないスタイルで、ドイツ時計からは「強さ」のようなものを感じます。ズシッと手に感じる重厚感とシンプルながら何度見ても飽きないデザイン……とてもかっこいい1本です。

ドイツ時計というとランゲ&ゾーネが浮かびますが、あちらは雲上ブランドで価格も高額……その点グラスヒュッテ・オリジナルは比較的手に取りやすい価格帯で、ドイツ時計の魅力に触れてみたいという方にはぴったりです。ぜひご検討ください。

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