靴や時計、スーツやカフスなど、こだわりを持ったビジネスパーソンなら筆記具にも目を向けたい。書くほどに自分自身に合わせて馴染んでいく万年筆は、一生モノのパートナーとしての意味合いも強く、筆記具のステータスシンボルとも言える。今回紹介するのは、職人が細部にまでこだわった珠玉の万年筆『伝統漆芸 麗(れい)』シリーズ。

漆工によって彩られた3種の万年筆

『伝統漆芸 麗(れい)』とは、国内三大万年筆メーカーの1つである「セーラー万年筆」が全国各地の漆工を万年筆にする漆塗り万年筆のシリーズだ。

現在は第一弾として、輪島と津軽より3種の漆塗り万年筆「曙塗(あけぼのぬり)」「溜塗(ためぬり)」「錆塗(さびぬり)」が販売されている。

こちらの万年筆はすべてペン先がステータス性もある21金となっており、弾力性に富み、しなやかな感触と滑らかな書き味をもたらす。そして漆塗りされた太めで重量感のある胴軸は手に馴染み、いつのまにか「自分だけの万年筆」になっていることだろう。

逸品揃いの『伝統漆芸 麗』 シリーズ

輪島 曙塗万年筆

輪島塗歴40年の隅祐智氏の作品。同氏は、昭和50年代の漆工房に弟子入りし、100以上あると云われる輪島塗の製作過程の下作業から、下塗り、中塗り、上塗り、磨きとすべての技術工程を習得する数少ない職人の一人だ。

「曙塗」は漆塗りの中でも困難な技術とされるぼかし塗りを用いたもの。漆黒の闇の中から陽が生まれ出るような趣を造り出し、手仕事ゆえに一本一本微妙に味わいが変わる逸品。

輪島 溜塗万年筆

『輪島 曙塗万年筆』同じく、輪島塗歴40年の隅祐智氏の作品。「溜塗」は、朱塗りの表面に透明な漆(透き漆)を塗って仕上げたもの。透き漆を通して中の色がにぶく落ち着いた色に見えるので深みが増し、使うほどに光沢が出てくる一本だ。

津軽 錆塗万年筆

青森県八戸在住の現代工芸作家・島守宏和氏による創作津軽塗の作品。同氏は、歴史ある伝統の可能性を求め、漆芸と伝統工芸品の価値を高めるためオリジナルブランド「LANDPROTECTO」を立ち上げ、数多くの作品展や企画展などを出店するなど、精力的な活躍を見せている。

「津軽塗」の特徴でもある凸凹とした重ね塗りの技法を活かし「錆」という世界を見事に表現した、現代の漆塗りを楽しめる作品となっている。

伝統漆芸に相応しい桐箱入り

漆製品の保管に最も適した素材といわれる桐箱は、木目が細かく高品質な国産桐を使用。結紐には伸びにくく丈夫な「真田紐」を使用している。

一本袋は、正絹の着物をほどいた生地を裁断し、爪に至るまでひとつひとつ手作りで仕上げ、手触りがよく、万年筆の収納に適している。

万年筆を保護する役割を十二分に果たし、伝統漆芸に見事にマッチングするベストなパッケージと言えよう。

日本製にとことんこだわった仕様

こちらの万年筆は、各塗師のプロフィールや塗りの特長をまとめた説明書も付属し、漆塗りの奥深さをより一層感じられるようになっている。伝統漆芸の深みを知る、本物の大人に使っていただきたい珠玉の一品だ。

品 名:『伝統漆芸 麗』輪島 曙塗万年筆/輪島 溜塗万年筆/津軽 錆塗万年筆
価格:80,000円(税抜)
ペン先:21金、中字、大型
蓋・胴:黒檀、輪島曙塗/輪島溜塗/津軽錆塗
大先:PMMA樹脂/ブラック
本体サイズ:φ17×151mm 29.1g/31.2g/31.5g
パッケージ:専用桐箱