今回の試合結果次第ではP4P(パウンド フォーパウンド。体重差=階級の違いに関係なく、体格が皆同じだったと仮定したときに誰が一番強いかを想定するランキング)のトップに選ばれるかもしれない“モンスター”井上尚弥。2年7ヶ月ぶりに“フィリピンの閃光”ことWBC世界バンタム級チャンピオンのノニト・ドネアと再戦、2度のダウンを奪い合い2ラウンドTKO勝ちを収めた。(2022年6月7日@さいたまスーパーアリーナ )

日本人初の3団体(WBC WBA IBF)統一王座を狙う井上尚弥

日本の、いや世界のボクシング軽量級を牽引するスーパースターとなった井上尚弥。2019年11月の、World Boxing Super Series(ワールドボクシング・スーパーシリーズ、WBSS。Comosa社が主催するプロボクシングのトーナメント)バンタム級決勝戦以来の対決となったドネアは、39歳ながらWBCの世界王者であり、既に5階級を制覇した生けるレジェンドだ。

オッズでは井上有利だが、前回(WBSS決勝)同様 判定にもつれこむという見方は多かった。しかし、井上は「ドラマにはしない。前回は勝ちはしたものの、ドネアの株を上げる結果になったことを後悔している。今回はただ圧倒して必ずKOする」と繰り返していた。

有言実行を果たした右クロス

試合開始のゴングが鳴ってすぐにドネアの得意ブローである左フックが井上の顔面を襲う。
本来カウンターパンチャーであるドネアの積極攻撃に、井上としては油断を突かれたという感じだったかもしれない。ダメージはなく、井上はガードを高く上げて気を引き締める。

ドネアの動きはいい。井上尚弥の攻撃を交わしながら、強打を狙う。しかし、ドネアの左を警戒する井上尚弥もまた軽快な動きでドネアを追う。第1ラウンドはこのまま互いの良さを見せたまま終わるかに思えたが、ラウンド終了間際、井上の右クロスがドネアのテンプル(こめかみ)を打ち抜き、ドネアがダウン。

立つには立ったが、足がもつれる感じのドネア。しかしラウンド終了のゴングが彼を救った。

ダメージが抜け切らないドネア

2ラウンド目に入り、ドネアも井上もリング中央に向かったが、全ラウンド終了間際に受けたダメージは深刻だった。
試合後、井上は (第1ラウンドの)右クロスは打ち抜きすぎてそれほど手応えはなかったし、ドネアをすぐに倒そうと思っていたわけではなかった、と語っていたが、見た目以上に効いていたドネアを冷静に詰めたうえで、ロープ側で左フックを食らわせて2度目のダウンを奪うことに成功する。

ドネアは再び立つがレフェリーはここで試合を止め、井上尚弥の勝利が確定した。

上述のようにフィニッシュブローは井上の左だが、勝敗自体を決めたのは、第1ラウンドの右だったと思う。アゴではなく、テンプルをハードヒットしたこの一撃は、ドネアの脳を完全にクラッシュさせ、運動能力を奪っていたからだ。(ジョー=顎を強打されることにより)脳が揺れたのではなく、(テンプルへの強打で)ほぼ直接衝撃を与えられたことにより、ラウンド間の休憩時間(1分間)では復活し難いダメージが残ったのだろう。

全盛期のドネアだったらいい勝負になるかも?と思わなくもないが、勝負の世界にIfはなく、結果がすべて。とにかく井上尚弥の凄さが目立った試合だった。

話は違うが、井上尚弥と村田諒太は見た目も良く話も的確でうまい。2人とも頭が良く、ボクシングをよく理解しながら戦っている選手なのだと思う。(実際の村田諒太の試合は、僕はあまり評価しないが)

もう一つ、話は違うがAmazonプライムで生中継されたこの試合、ラウンドガールとして僕のイチオシ 雪平莉左さんが務めていたが、この人 美人すぎて 結局知る人ぞ知る存在から抜けれないんじゃないかなと思った。まあ余談ですが。

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小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。dino.network発行人。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。