連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くす。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ。- dino.network編集部
恐竜などの化石は何学?
恐竜などの化石の学問ジャンルはどれでしょうか?
三択の中から正解だと思うものを選んでみてください。
考古学は文系、古生物学は理系と全く別物なので知っている方からすれば、なんだこの基本問題どう間違えようがあるんだね…と選択肢も見ずに答えられるでしょう。
しかし、驚くべき事に知らない方や違う答えだと信じ込んでいる方も多数いるようです…!!
とあるテレビ番組で「将来何になりたいの?」という質問に対し、子どもが「化石発掘したい!」とインタビューで答えていました。そこへ「土器とか好きなの?」とまた質問していたのです。
えっ??(ポカーン)と、このインタビューした人間は何訳がわからない事言ってるんだ状態になりましたが、皆さんはこの異変にお気付きでしょうか。前半はよくある平和な会話だなぁと楽しく見ていたのですが、もう訳がわかりません。
選択肢解説!考古学と古生物学と…
考古学とは、人間の歴史の痕跡を主に研究対象とします。土偶や遺跡、土器や遺物などが研究分野です。「歴史学」の範疇とも一部重なりますね。
考古学者といえば、実在の人物だと生田晴香含め専門家ではない限りパッとしないかもしれないので有名な物語のキャラクターでいうと、映画「インディ・ジョーンズ」のジョーンズ博士や、漫画「ONE PIECE」のニコ・ロビンが有名なので知ってる方も多いと思います。
古生物学は、化石で発見される生き物や、それに関わるあらゆる現象や歴史を学ぶ学問です。
なので、先ほどの子どもとインタビューした大人のやりとりは、「肉が好きと」言っている人間に対して「何の野菜が好きなの?」と聞いているようなもので、化石って言ってるのになぜ土器が出てくるんだ?と不思議な会話になっていたわけです。
もう一度書きますが、考古学は文系で古生物学は理系ですからね。大きな違いです。どちらもロマンがあり昔の発掘するというところは同じなので、そこがもしかしたら間違えやすいのかもしれませんね。
一応、生田晴香は恐竜など古生物学が好きだからといって考古学も興味ないわけではなく、人間のミイラにはすごく興味があります。
この記事執筆中に国立科学博物館の特別展でミイラ展(〜2020年2月24日まで)というのが開催されていて行ったのですが、世界から総数43体のミイラが集められていて、場所や時代によって作り方の違いがあるなど、非常に興味深かったです。
例えば、生贄に選ばれた少女のミイラは死ぬ約1年前から栄養価の高いごちそうが与えられ、それまで良い栄養状態とはいえなかったのだが劇的に改善していて、それと同時期に薬物漬けだったという生贄ミイラがあったのですが、今じゃ考えられない事なので、それを調べる考古学も面白そうだなぁと思っちゃいますよね。
最後に、古代生物学とはなんだというお話です。
「恐竜は古代生物!」というような子ども向けの文を見るせいか、恐竜といえば古代生物というイメージを持っている方がいます。
古代=昔の生き物と結びつくのでしょう。とりあえずいつだかわからないけど昔なんだろうなぁとふんわりイメージしてしまっているのかもしれません。
そもそも古代生物学というのはなく、「古代」というのが考古学の言葉なので、それに「生物」という文字をプラスしたらまるでハニワに生命が宿ったのか、ミイラが生きているかのような謎のクリーチャーになっちゃいますよね。恐怖でしかありません。
よって「恐竜などの化石は何学?」クイズの答えは、2.古生物学が正解となります。正解者に拍手!!
恐竜が発見された言い方も間違えられやすい問題
恐竜の化石が発見された事を、「恐竜の化石が出土しました。」と書かれている文をネットだけではなくサイエンス本でさえもたまに見ます。
こちらも考古学と古生物学の違いなのですが、これは正しくは「恐竜の化石が産出しました。」です。
出土は考古学の言葉なので、遺跡や遺物が発見された時に「遺跡や遺物が出土しました。」と使います。こちらもよく間違えられやすいので気を付けましょう。
そんなわけで、考古学と古生物学の違い、古代生物の謎さ、わかっていただけたでしょうか。
実際にあった話で、恐竜の勉強がしたくて進路を考古学を学ぶよう選んだら、「あれ…史学やってるけど恐竜はいつ出てくるんだ…」(そして出ないまま卒業を迎えたのであった)と、なってしまった学生もいたようなので、気をつけましょうね。
文ではなく動画で知りたいという方は、YouTubeで簡単にお話ししているのでこちらをご覧ください。
それではまた次回!
生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。