こんにちは、恐竜おねえさんこと生田晴香です。2019年の恐竜流行語大賞は「むかわ竜」に決定しました。おめでとうございます。さて、今回はもっとも変わっていて名前も最短という新しくて珍しいスカンソリオプテリクス類の恐竜「イー」を紹介します。なんとこの子…皮膜恐竜なんです!

連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くす。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ。- dino.network編集部

短いその名はイー

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名前は「イー チー」。あまりの名前の短さに勘違いしないでほしいのですが、ティラノサウルス レックスで例えるとすると、属名「ティラノサウルス」の部分が「イー」で、種小名「レックス」の部分が「チー」なのです。

なのでティラノサウルスレックスをティラノサウルスと呼ぶならば、イーチーをイーと呼ぶのと同じとなります。

アルファベットにすると、イー「Yi」チー「qi」でアルファベット2文字プラス2文字なのでフルネームにしてもとてつもなく名前が短い恐竜です。これまで名前が短い恐竜といえば「メイ ロン(Mei long)」でしたが、イー チーはさらに覚えやすいですね!

名前の意味は「奇妙な翼」で、中国語で翼(イー)を意味します。意味と名前がぴったり合っていて、発見された時点では奇妙で指の骨や羽毛などかなり変わった新しい発見がありました。

2015年4月に、約1億6000万年前の中生代だとジュラ紀中期から後期の中国の遼寧省、河北省、内モンゴル自治区にまたがる山層から発見されたとの新種発表がありました。

ティラノサウルスと同じく獣脚類で(だからといってティラノサウルスみたいな超肉食恐竜というわけではない)、コエルロサウルス科目スカンソリオプテリクス類に属します。

スカンソリオプテリクス科と書いたところで「あーあのグループね!」とパッと出てくる人は日本でもそんなにはいないと思いますが、スカンソリオプテリクス類には変わった恐竜が多い注目のグループなのでこの機会にぜひ覚えておきましょう!

堅牢そうな短めな頭骨で、先端が下にカーブした下顎で、長い前あしで特に第3指の指が長すぎるなどの特徴を持ち比較的新しく出来たのが、スカンソリオプテリクス類です。ラプトルとかのグループに近いですね。

また、「スカンソリオプテリクス」という恐竜がいて、スカンソリオプテリクス類は元々スカンソリオプテリクスを他の獣脚類と区別するためにできました。

長い名前なので言いにくそうにみえますが、プテリクスは古生物学でよく出てくる名前や文字なので覚えてしまいましょう。何回か繰り返し言ってみるとすぐ覚えられると思います。さあ!さあ!!

イーの特徴

全長60センチ、体重約380グラムで体格は小さいですが、背骨がよく成長されているので大人だと考えられます。化石をよく見ると羽毛の跡がはっきりわかりますね。歯は葉状の形をしています。

画像: イー上半身

イー上半身

なんとイーには、恐竜では初発見の「尖筆状突起」と呼ばれる骨が手首にある事が化学成分分析などでわかったのです。その長さなんと10センチ!

翼竜の前あしやコウモリのくるぶし、ムササビの肘にも尖筆状突起はあり、それらに似た構造で皮膜を支えて滑空や飛行をしていたのではないかと考えられます。

イーの手首の周りには、羽毛ではない膜状の組織、頭骨から前あしや後ろあしにかけて絵筆状の羽毛があり皮膜と羽毛恐竜という珍しさ。イーが現れるまで皮膜がある恐竜がいるだなんて全く考えた事もなかったのでこれほど驚いた事はありませんでした。だから恐竜は面白いんですよね。

ちなみに翼竜、コウモリ、イーの皮膜と手の骨を片側だけ図にしてみるとこんなにも違いがあります。(頭の位置はどれも画像左上)翼竜は第4指がとても長くそれで皮膜を支え、コウモリは5本の指で傘みたいにしっかりとら皮膜を支えます。

イーの場合は第3指と同じくらいに長い尖筆状突起で皮膜を支えていますが、うーむ…尖筆状突起がどの角度にあったのかもわかれば復元図も正確性を増すので気になるところです。

さて、皮膜があるからといってイーも飛べることはできたのでしょうか。翼竜もケツァルコアトルスは大きいしすべて飛べるタイプなのかも謎なままです。

なんと、イーの前あしは飛べる鳥類に似ていて、長くてたくましい特徴があります。下半身の化石は発見されていないので、発見されれば重心の位置も想像がつき、もう少しどんな恐竜だったのかわかるようになりますが、ないものはないので今のところは飛ぶというよりはムササビみたいに滑空していたのではないか……と考えていいでしょう。

皮膜を持つ恐竜は2019年にも中国から発見されています。その名も「アンボプテリクス・ロンギブラキウム(Ambopteryx longibrachium)」イーと同様スカンソリオプテリクス類です。

皮膜は羽毛より重さがあり、もしかしたらそこまで色んな皮膜恐竜は多様化しなかったような気はしますが、また新たなる発見に期待です!

とりあえずイーが本当にどんな恐竜だったのか気になるので、違う個体のイーがたくさん発見されてほしいのと、スカンソリオプテリクス類ももっともっと新種が発見されて変わった恐竜をたくさん見て驚きたいです。では!

画像4: 翼竜みたいに皮膜がある恐竜「イー」

生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。

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前回の「生田晴香、恐竜と生きる」はこちら

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