2011年公開(日本公開は2012年)の、スティーブン・ソダーバーグ監督作品。中国から発生したと思われる新型ウィルスが旅行者を介して世界各国に伝染していく。現在のCOVID-19パニックを彷彿させる、いまだから観る意味がある一本。
監督も一流なら、キャストもマット・デイモン、マリオン・コティヤール、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウなど一線級のスターを集結している。

現実に起こり得る恐怖を描きながらも、バッドエンドにはならないので安心して観て欲しい

本作の“主役"とも言える、感染症を引き起こすウイルスは、コウモリ由来のインフルエンザと豚インフルエンザのハイブリッドとなっている。通常、特定動物に感染するウイルスは、ほかの動物にうつることはないし、ましてや人間に感染することはないのだが、突然変異を起こして種の壁を越えるウイルスが誕生する場合がある。

そもそも地球上に存在するウイルスのほとんどは我々にとって未知なウイルスなのだが、さらに彼らは頻繁に突然変異を起こして常に変化しているので、いつ大発生して、いつ我々人類の生命を脅かすかは全くもって分からない。
(本作は、感染症の存在が明らかになってからとりあえずの収束を見るまでの日々を克明に追っているが、ウイルスが生まれて人に感染し始めた瞬間が最後に描かれる。それはあまりにも偶然と必然が絡み合った、実際に今どこかで起きていそうな普通の光景であり、その淡々とした恐ろしさは、身も心も震えるばかりのものだ)

本作におけるウイルス感染症の症状は、喘息のような咳と発熱を中心としており、致死率は20%超えとかなり高い。また、感染してから発症するまでの時間も短いうえ、重症化するスピードも早い。合併症で死ぬというよりは、ウイルスがもたらす直接的な症状で死に至るようだ。患者の体力の有無は関係なく感染するし、重症化するので、人々は自分もいつ発症するか分からないという強烈な恐怖を抱く。

ちなみに、感染症による被害を食い止めるには、感染させない、もしくは感染しても発症させず人にうつすこともないように無力化するために役に立つワクチンの開発⑴と、発症した患者を回復させるための特効薬の開発(原因治療)⑵、さらに顕れた各症状を軽減させて患者本人の治癒力をアシストする対症療法⑶があると思うが、本作では、⑴ ⑵にあたる研究者・科学者たちと、⑶患者の看病に必死であたる現場の医療従事者たちの必死の戦いを描いてくれている。
恐らくは現実の世界においても同じような苦闘が繰り広げられているのであって、これをみれば、彼らを批判する前に、やはり感謝と応援の気持ちを強く持つべきだという気分になると思う。

(ネタバレになったら申し訳ないが、人類はワクチンを手に入れることによって最悪の事態を免れることになるのだが、それは研究者たちの自己犠牲を伴う挑戦によるものだった。通常ワクチン開発から大量生産に成功するまでには年単位の長い時間が必要になるが(モルモットによる実験から人体実験を経なければならず、さらに多くのステップを踏まなければならないが)、本作では勇気ある研究者の献身的な覚悟によって、その短縮化が果たされる)