愛する家族と仕事に恵まれた男の道楽は、若い頃から乗っているゼファーとのひととき。飛ばさなくたっていい、乗ってるだけで幸せなのさ。
オートバイ2021年9月号(第87巻 第13号)「The Long Shadow」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@dino.network編集部
オートバイ2021年9月号(第87巻 第13号)「The Long Shadow」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@dino.network編集部
可愛い子供たちと優しい妻、四輪と二輪の愛車に囲まれた暮らしになんの不自由があるものか
バイク乗ってきたでしょ?
妻が言った。
私は学校へと出かける愛娘と、幼稚園児の息子を見送りながら新聞を開いていた。「なんで?」
「顔つきが違うもの」妻は柔らかく微笑みながら言った。そういうものらしい。
明け方ね、私は笑った。「少し走ってきた」
若い頃からの“連れ”
私の愛車(2輪)はゼファー1100。若い頃から乗っている。
そりゃ今時のバイクと比べたら、速くはない。でも、この歳になって切符を切られたり怪我したら興醒めだ。皆に迷惑がかかるし。
おさななじみが、リターンライダーになったとかどうかと騒ぎ、最新型のハヤブサを買ったときいても、私の心には乱れがない。300キロ出るバイクは魅力的だが、私にはこいつを手放す理由がなかった。
時代が変わっても、変わらずゼファーはゼファー、いつまで経っても“俺の愛車は最高”なのだった。
やんちゃ時代を思い出して、つい飛ばしちゃったりしてない?
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楠 雅彦|Masahiko Kusunoki
湖のようにラグジュアリーなライフスタイル、風のように自由なワークスタイルに憧れるフリーランスライター。ここ数年の夢はマチュピチュで暮らすこと。