こんにちは、恐竜おねえさんこと生田晴香です。兵庫県立美術館にて開催中の古代生物を描くパレオアート(古生物美術)の展示会、特別展『恐竜図鑑-失われた世界の想像/創造』へ行ってきました。化石の展示ではなく美術館での絵画の展示。どんな感じかレポートしていきます。

連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くす。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ。- dino.network編集部

恐竜図鑑展って面白いの?

これまでの恐竜展とは違う、世界各国から歴史的なパレオアートが集められた展示会、特別展『恐竜図鑑-失われた世界の想像/創造』が、兵庫県にある兵庫県立美術館にて開催中です。

兵庫での開催後、東京・上野でも開催されるのでそれまで待つつもりでしたが、行った人の評価があまりにも高かったので我慢できずに平日に行ってきました。

開催場所の「兵庫県立美術館」。名前にある通り博物館ではなく美術館です!

恐竜は今まで美術館では扱わず、博物館の領域として扱われてきました。今回はこれまでの恐竜イベントとは異なり、化石展示のない完全なる「アートイベント」です。

恐竜化石がなくて大丈夫? 楽しめるの? と不安がる人もいるそうなのですが、元々恐竜自体が「美の頂点」であるのでそれが絵画として美術館に展示されるのは当然の如く、美しい生き物がすごい人らに描かれるというこれほど完璧な組み合わせ、最高以外にありません。

東京藝術大学卒業生らなどによる恐竜アートの展示会「日本画恐竜展」も盛り上がってましたね。

簡単に言うと、この「あっこれ図鑑や博物館で見たことあるー」的な、世界の歴史ある絵画を集めたバージョンです。恐竜好きなら必ず興奮モノのパレオアートが見られます。

入場する前に目にするのは漫画家、所十三先生の恐竜漫画「DINO2」の一コマ。そうなんです! 昔の絵画だけではなく現在活躍してる先生の原稿も見られちゃうんです! いろんな時代のすごい人特集です。最高に贅沢ですね。

そしてイグアノドンがお出迎え。「恐竜」という名前がなく、誰もが恐竜を知らない19世紀前半に発見された大きな爬虫類だろうと思われていた化石から推測・復元された姿です。トカゲみたいな大きな爬虫類の姿で鼻の上には尖った骨があります。

階段を上がると、メインビジュアルである巨匠ブリアン作のイグアノドンの復元画がとどーんと。1950年のものですが、描写も細かく絵画初心者でもわかる絵のうまさ…

こちらもイグアノドンですが前回よりも研究が進み、鼻のスパイクが親指のスパイクだと考えられるようになったり、四足だった復元から二足歩行に復元されていたり、全体的に大きく復元が変わっています。

またさらに現代では復元が変わっていますので、研究の歴史が楽しめますね。

こちらをポストカードにしたものは、公式のSNSをフォローして「#恐竜図鑑展」のタグをつけてつぶやいたら貰えるシステムでした。

作品は模型など約150点展示があるのですが、撮影が許可されているのは少ないのでまずはこのポストカードをよーく記念撮影しておきましょう。

いざ!

4つの章で構成されています。それぞれテーマを見ていきましょう。

第1章/「恐竜誕生―黎明期の奇妙な怪物たち」

イグアノドン、メガロサウルス、ヒラエオサウルスの発見からリチャード・オーウェンによって「恐竜」が誕生。未知の生き物に想像されたパレオアートを見ることで、当時生きている恐竜をまだ知らない人類は恐竜をイメージできるようになりました。

ベンジャミン・ウォーターハウス・ホーキンズ(1877年 )

お気に入りです。

第2章/古典的恐竜像の確立と大衆化

19世紀後半にベルギーの炭鉱で、イグアノドンの骨がどんどん見つかり研究は進みました。

映画『ロスト・ワールド』(1925)や『キング ・ コング』(1933)などにも影響を与えたチャールズ・R・ナイトと、20世紀中盤から後半にかけてチェコで活動したズデニェク・ブリアンの2大巨匠を中心に展示されています。

映画化や漫画などの本にも物語になっているメアリー・アニングに協力していた地質学者ヘンリー・デ・ラ・ビーチの原画も。

第3章/日本の恐竜受容史

国内有数の恐竜アイテムの収集家である現代でジャズピアニストをしている田村さん(恐竜倶楽部)のコレクション、古生物学者・横山又次郎による、英語の「Dinosaur」、直訳すると“恐ろしいトカゲ”に「恐竜」と名付けた書籍やレアすぎるおもちゃ…とんでもなくやばいです。

「特攻の拓」の漫画家、所十三先生の恐竜漫画原画も展示されています。恐竜への考えが真理をついていて、天才的なんです(周りの人間皆崇拝してます)。

第4章/科学的知見によるイメージの再構築

約200年前からの研究で時代ごとに恐竜がどのように復元が変わっていったか比べられます。現代で図鑑などのイラストを描いている小田隆先生のパレオアートは何百万先にもこうして美術館などで展示されるでしょう。

イグアノドン

徳川広和さんの作品

樹脂や石粉粘土での作品も。美しいですね。

感想・開催概要

お土産コーナーで色々買ったので家に飾ります。

まさかこれらが生で見られるなんてこれは現実か…?と常に興奮が止まりませんでした。眼福です。

世界各国からの天才が集められた歴史ある貴重な恐竜作品は生きているうちに必ず見ておきましょう。

開催概要

『恐竜図鑑-失われた世界の想像/創造』兵庫展
会期
2023年3月4日(土)~5月14日(日)
休館日
月曜日
開館時間
10:00~18:00 ※入場は閉館の30分前まで
会場
兵庫県立美術館
(神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1)

公式サイト

『恐竜図鑑-失われた世界の想像/創造』東京展
会期
2023年5月31日(水)~7月22日(土)
開館時間
10:00~17:00(土日祝は9:30 ~17:00)
※入場は閉館の30分前まで
会場
上野の森美術館
(東京都台東区上野公園1-2)

生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。

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