ROLEX
世界でもっともポピュラーな腕時計ブランド・ROLEX(ロレックス)。高級時計の代名詞といっても過言ではないが、その歴史は1905年の創業から100年余りと意外と短い。その間の偉業は数知れないが、高い防水性を実現した「オイスターケース」、自動巻ローター「パーペチュアル」の技術は、新興ブランドであったROLEXを不動の地位に押し上げた。
80年以上時を刻み続けるプリンス
ロレックスの創業は1905年とブランドとしては短いものの、1926年に発表した世界初の防水・防塵腕時計オイスターや、1931年に発表した世界初の自動巻メカニズムのパーペチュアルローターなど、現代の時計の原点ともいえる機構を数多く開発。
その高い技術力と品質で、あっという間に世界一有名な時計ブランドへと登り詰めた。
そんな同ブランドの軌跡を辿る1本として、これまで1940年代のバブルバック、60年代のオイスターパーペチュアルを紹介してきたが、今回セレクトしたのはそれよりも前、ロレックスの黎明期ともいえる30年代のモデル・プリンスだ。
ドクターウォッチとして
このプリンス、当時“ドクターウォッチ”の愛称で人気を博したモデルで、その所以は文字盤下部のスモールセコンドにある。
秒針が独立しているため、患者の脈拍を測る際に非常に重宝したとか。そのおかげか当時の医者たちはこぞってプリンスを装着していたという。
もちろんその精度も抜群だ。文字盤中央にスイス・クロノメーター規格(C.O.S.C)を通過した証である「CHRONOMETER」の印字があることからも、その性能は伺い知れるというもの。
フレア形状が特徴的なブランガードケース
本モデルは現代のロレックスにはないブランガードケースが採用されており、中央のくびれから上下に広がるフレア形状が特徴的。カラーも金と銀のコンビネーションとなっており、ドレッシーな印象になっている。
ケースの材質はゴールド(9K)。銀色部分の材質は不明だが、ステンレススチールともシルバーとも言われている。さすがに細かな傷などはあるものの、その輝きはいまもまったく失われていない。
大胆かつ繊細な造り
30年代の時計のため、その仕様はいまと大きく異なる。まずはベルト。一般的なバネ棒による装着ではなく、ベルトを縫い付けて装着するはめ殺しタイプとなる。※装着されているベルトと尾錠はムーンフェイズ銀座が誂えたもの
そして、裏蓋もスクリューバックではなく、突起部分を跳ね上げるシンプルなものだ。蓋を開けると内蓋があり、その先にはムーブメントが“はめてある”だけ。
ムーブメントの裏はすぐに文字盤である。あまり外すことはないと思うが、もしものときは落下や破損に注意したい。
本モデルには防水性能や耐磁性はなく湿気などにも弱いため、製造から80年以上経った今、これだけ美しい状態で残っていることは奇跡。
時計としてはもちろん、ロレックスの歴史を振り返る意味でも価値ある1本。ぜひいつまでも美しい状態で残しておきたいものだ。
ROLEX
プリンス ブランガードケース
品番:ROLEX / 971
素材:YG(イエローゴールド)
サイズ:縦42.5㎜×横25㎜
ムーブメント:手巻き
文字盤:アイボリー×シルバー
販売価格:1,250,000円(税込)
※アンティーク・製造1938年前後
【付属品】
なし
※価格は2020年3月現在のMOON PHASE銀座店・販売価格です。
MOON PHASE 〜STAFF VOICE〜
30年代の時計ともなると、文字盤がリダン(修復)されていることが多いのですが、本モデルはオリジナルのまま。さすがにベルトと尾錠は残っておらず、当店で誂えたものがついておりますが、ここまで美しく残っているものは他にないと言っていいほどの良コンディションです。
ただ、数あるアンティーク時計の中でも、本モデルは終着点に近いといえるかもしれません。これまでいろんな時計をしてきて、アンティーク時計も何本か所有していて、そんな人がたどり着く場所がこのロレックスではないでしょうか。
むしろ、いきなりここに来てしまう人がいたら少し心配です(笑)。ただ真面目な話、アンティーク時計をしっかり管理できる環境にないと、この時計の維持は難しいでしょう。
ちなみに80年以上前の時計ですが、何かあっても修理はできますのでご安心を。もちろん純正パーツはありませんが……。ベルトの交換なども承っておりますので、もし雰囲気を変えたいなどありましたら、購入の際にお声かけください。
所在地 | 東京都中央区銀座1-6-6 GINZA ARROWS1F |
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TEL | 03-5250-7272 |
営業時間 | 11:00〜19:00(日曜祝日〜18:00まで) |
定休日 | 水曜日 |
公式サイト | https://www.moon-phase.jp/ |