2021年1月2日(日本時間3日)テキサス州ダラスのアメリカン・エアーラインズ・センターで、ロンドン五輪金メダリストのルーク・キャンベルと若手ホープのライアン・ガルシアが激突。WBC世界ライト級4位のガルシアが、同級3位で、ロマチェンコやリナレスとの対戦経験のあるベテラン キャンベルを7回KOで下し、WBC世界ライト級暫定王者となった。

ライト級のスーパースターの座を狙うガルシア

ロマチェンコ陥落後のボクシング ライト級戦線のスターダムに駆け上がるのは誰か?

2020年末時点では、ロマチェンコを判定で下してWBAスーパー、WBC、WBO、IBF、の世界メジャー4団体の世界ライト級タイトルホルダーとなったテオフィモ・ロペス、四階級制覇のレオ・サンタ・クルスを劇的なノックアウトで下したWBA世界ライト級王者のジャーボンテイ・デービス、そしてライアン・ガルシアの3人が、その最有力候補(プロスペクト)とされている。

1998年8月8日生まれのガルシアは、そのルックスの良さと、スーパースター カネロ・アルバレスとの仲の良さ(同じくDAZNとの独占契約を交わしているし、同じメキシカン、さらにはオスカー・デ・ラ・ホーヤ率いるゴールデン・ボーイ・プロモーションズの傘下選手でもある=カネロは契約解消・・・)も相まって、持ち前のパワーとスピードに世界的に評価が高まっているボクサーがガルシアだ(Instagramでのフォロワー数は2021年1月3日現在、実に789万人!)。

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少なくとも人気の面では、ロペスやデービスを上回っているかのように見えるが、既にビッグネームを喰って世界タイトルまでをゲットしているライバルに比べると実績面では劣るように思われる。今回のキャンベル戦は、元五輪王者でロマチェンコにも善戦したテクニシャンとの対戦、しかも暫定王座とはいえ世界タイトルのかかった大一番、ガルシアにとってはライバルたちと肩を並べるまたとないチャンスなのだった。

逆に、1987年9月27日生まれのキャンベルからしても、このガルシア戦は キャリア最大の好機と言える。せっかくオリンピックを制してプロ転向したものの、その高い実力に見合う実績を得られていない彼とすれば、次世代スーパースター候補のガルシアの“挑戦”を跳ね除ければ、遅咲きの強者として金を稼げるボクサーとして商品価値を大きく高めることができるはずだ。そして、そのうえに世界王者のベルトが手に入るのだ、モチベーションが上がるのも当然の試合だ。

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第7ラウンドで勝負を決めたガルシア

試合は、世界に自分の真価を見せる絶好のチャンスに逸るガルシアが、積極的に前に出る展開でスタート。その好戦的姿勢が仇となり、第二ラウンドにキャンベルの強打をモロに受けてダウンを喫する。

しかし、弱冠22歳のガルシアは強気の姿勢を崩さず、キャンベルを攻め続け、プレッシャーをかける。そしてついには第7ラウンドに強烈なパンチをボディに叩き込み、キャンベルからダウンを奪う。キャンベルは苦悶の表情を浮かべたまま戦意を失い、レフェリーが試合を止めた。

これでガルシアは21勝18KO無敗。WBA世界ライト級暫定王者となったことで、ロペスやデービスと並ぶ箔を手に入れたと言えるし、その勝ち方も自らのスター性を証明するに足る派手なものだった。
その華やかな見た目、ビッグマウス(そういえば、那須川天心とのエキシビションマッチあとのメイウェザーを挑発するような言動もあったな=那須川天心に挑戦状叩きつけたり)によって これまで実力以上にボクサーとしての輝きを生み出してきたと思われるガルシアは、今後その輝きを維持するための“派手な”試合を見せ続ける必要があると思われるが、少なくとも今回の試合は ガルシアファンもアンチも納得しうる面白い試合だった。
その“輝き”が色褪せないうちに、ロペスやデービスとのスーパーファイトの実現に漕ぎつけられるかどうかで、今後のライト級に真のスーパースターが生まれるかがかかっている。

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小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。