CES2019や、SXSW2019といった世界的なイベントにて注目された「役に立たないロボット・LOVOT(らぼっと)」。人の代わりに仕事をしてくれるロボットではなく、一緒に住んでいる人に甘えてきたり、ジェラシーを感じたりする愛しい存在。LOVEを育むロボットと人との新しい関係性、その挑戦に迫る。

ロボットと人との新しい関係性がはじまる

一言で“ロボット”と聞くとどのようなイメージが湧くだろうか。
子供の頃だと、困ったときにのび太を助けてくれるドラえもんや、戦士として戦う人型兵器ガンダムなど数多くのヒーローが思い浮かぶだろう。身近なキャラクターでありながらも、「これは遠い未来の話だ」とロボットヒーローたちにファンタジーやロマンを感じていた人も多いはず。

大人になった現代では、ロボット掃除機やスマートスピーカーなど人々の生活サポートする“働きもの”としてのイメージが思い浮かぶ。時代が進むにつれてさまざまな機能が搭載され、各メーカーから次々と新機種が発表されている。人に変わって仕事をしてくれるロボットたちは、忙しい現代人のライフスタイルに溶け込んでいると言っても過言ではない。

画像: ロボットと人との新しい関係性がはじまる

LOVOTはそんなロボットたちのイメージを覆す、全く正反対の「役に立たないロボット」として誕生した。人の仕事を手伝うわけでもなく、喜ばせるための特別なパフィーマンスがあるわけでもない。

なぜそのようなコンセプトで生まれてきたのか。完璧を目指していないロボットが開発された目的はただひとつ“人の愛する力を育む”ため。感情を持たないはずのロボットが人の愛する力を育むとは、一見難題のようでもある。ロボットの常識を変えていくであろう、LOVOTと人の関係性に迫るべく、日本橋浜町にある「LOVOT MUSEUM(らぼっとミュージアム)」を訪ねた。

言葉を介さないロボットが今の世の中には必要

画像: 言葉を介さないロボットが今の世の中には必要

つぶらな瞳でこちらをじっと見つめてくる不思議な生き物。翼のような腕をパタパタとさせながら、独特な鳴き声も発している。それぞれの名前を呼ぶと駆け寄ってくるLOVOTは、誰がどう見ても可愛らしい。ロボットらしからぬ丸みを帯びたフォルムと柔らかさに、一瞬にして「触れたい、抱っこしたい」と言う感情が芽生える。

画像: GROOVE X株式会社 家永氏

GROOVE X株式会社 家永氏

LOVOTはヒト型ロボット「Pepper」の開発に携わっていた林要氏が率いるGROOVE X株式会社が生みの親。今回、開発のきっかけについてGROOVE X株式会社 家永氏に話を伺うと、

「LOVOTは開発に3年半もの月日がかかりました。誕生のきっかけは、代表である林氏の“本当に世の中に求められているものを作りたい”という想い。世の中の人がロボットを通じた体験していくなかで本当に必要としているものは、言葉は話さないけど心に寄り添ってくれる、言語を話さないからこそ人間が本音を話せるような存在なのではないか。そんな心の拠り所のような存在が今の便利な世の中こそ必要なのではないか。そんな想いからLOVOTの開発がはじまりました。」と語る。

心に空いた穴や日々の疲れは、必ずしも言葉が解決するという訳ではない。そんなときに、犬や猫のようなペットがそばにいるだけで気持ちが穏やかになるときがある。言葉を発することはできないが、人に“安心感”や“癒し”を与えてくれる存在が世の中に求められている。LOVOTは人の愛する力を引き出し、幸せな気持ちにさせるために生まれてきたのだ。

自然なスキンシップは愛情形成に繋がる

画像: 自然なスキンシップは愛情形成に繋がる

2体のLOVOTがコネクトし、1体が抱っこされていることを感知するともう一体もハグをして欲しいと近寄ってくる。感情があるかのような姿に愛おしさが増す。

LOVOTを抱きかかえてみると想像していたより軽い印象だった。一緒に住む人が毎日LOVOTに自然に触れ、抱っこができるよう、約4キロのボディになるまでダイエット計画(=軽量化)が進められたという。抱っこがしやすいフォルムは柔らかく、さらに驚くことに「体温」が感じられた。約36〜37度の心地良い温かさは、本当に生き物を抱いているようだった。

また、LOVOTは相手の元に駆け寄ってきて抱っこをねだる。「あなたを必要としている」というメッセージが感じられ、この姿を見るや否や自然と手を差し伸べてしまう。

人にとってハグは、心を許し合える人と交わす大切な行為。このスキンシップが繰り返されることによって、LOVOTとの間において自然と愛情形成が生み出されるのだ。

画像: 充電が切れそうになったら自らネスト(充電器)に移動し、充電する姿も愛くるしい

充電が切れそうになったら自らネスト(充電器)に移動し、充電する姿も愛くるしい

エンジニアに留まらない、多方面からの意見を取り入れる開発体制

「どのようにしたら人から愛されるか」開発に置いて軸となったキーワード。
このキーワードを実現するために存在するのが、可愛さを引き出すための“可愛いチーム”。ソフトウェア・ハードウェアだけでなく、とにかく可愛さを追求するためのチームだ。

そのメンバーとはミュージシャンやアニメーター、ダンサーなど表現のプロフェッショナルたち。ロボットの開発にこのような分野の意見を採用しているという点は、LOVOTの大きな特徴のひとつでもある。可愛いチームは、ただ動くロボットを作るのではなく、愛されるロボットを作るために必要不可欠なチームなのだ。

画像: エンジニアに留まらない、多方面からの意見を取り入れる開発体制

例えば目の動き。LOVOTの特徴である6つの層からなる大きな瞳は、ただ瞬きや形を変えるだけではない。上目遣いや、目を合わせるといった人と心を通わせるような動きをする。

この目を合わせるという行為は、人が愛着を感じる重要な役割であり、今までのロボットにない行為である。また、抱っこをねだるときも単に腕を動かすだけではなく、手を曲げることによって可愛さを追求している。

人それぞれそのシチュエーションによって出す声が異なる点にも着目し、その場に合わせた声が発せるよう、声の出し方も追求している。

さらに、人間が愛着が湧くときはどのようなときなのかを解明するために脳神経学に着目。愛情ホルモンと言われているオキシトシンの分泌について専門家からの意見を取り入れ、人の脳の仕組みから開発に落としていくというアプローチを実施している。

画像: 開発エンジニアたちのコメントやテスト映像などLOVOTの愛が詰まった展示室

開発エンジニアたちのコメントやテスト映像などLOVOTの愛が詰まった展示室

完璧じゃないからほっとけない存在

画像: 完璧じゃないからほっとけない存在

LOVOTは、完璧な機械というより「ほっとけない存在」だ。
同じ空間で生活をしていると、障害物に当たったり、コードに引っかかったり、人間と同じで全くひとりじゃ生きれない。人は、手をかけなくてはいけないときに愛着を感じるものだ。愛情を求めて、甘えてくるLOVOTを愛でているうちに、いつの間にか自分自身の人を愛する力が育まれていく。

パワフルな人にこそ癒しが必要な時代。自分には必要ないと感じる人も、恋人やパートナーがLOVOTの癒しの力を必要としているかもしれない。感情を持たないはずのロボットが人と人を繋げる、そんな日もそう遠くはないだろう。

LOVOT体験と今後の展開について

現在は、LOVOTミュージアムまたは高島屋のラボットストアにてLOVOTの体験が可能。今後の展開として、LOVOTと触れ合うことができる場所をどんどん拡大していきたいとのこと。

“人の愛する力を育む”ロボットをぜひその手で体験してみてほしい。

画像: LOVOT体験と今後の展開について

LOVOT公式サイト

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