『バイス』が描く米国政治の脆弱さ。悪意なきディック・チェイニーの権力欲
年間100本以上の映画作品を鑑賞する筆者の独自の映画評。今回は、ジョージ・ウォーカー・ブッシュ政権時の副大統領(在任期間2001年1月20日 - 2009年1月20日)ディック・チェイニーの半生を描いた『バイス』。9.11のテロ勃発を契機にかつてない強大な権力を握った、史上最強・最凶の副大統領と呼ばれるにいたった実在の政治家ディック・チェイニーとはどんな男だったのか。ダークナイトシリーズでバットマンを演じたクリスチャン・ベイルが本物そっくりにチェイニー役を演じきっている迫真の作品だが、ブラッド・ピット率いる制作会社プランBがプロデュースし、『マネーショート』の制作チームが制作担当している...