日本の現代アートの創造性と多様性、またそのコミュニティーを国内外に紹介する国際的なアートイベント『アートウィーク東京(以下:AWT)』が、2022年11月3日(木)〜6日(日)の4日間、都内各地を拠点に開催される。前回に引き続き、注目の展覧会情報や気鋭のアーティストとのコラボを実現した「AWT BAR」など、各トピックの最新情報がリリースされた。早速ご紹介しよう。

都内各地のアートスペースを結ぶシャトルバスが昨年より2ルート増の6ルートに

個性豊かな6種類のルートを通して、今の東京のアートシーンを体験しよう

『AWT』のひとつの特徴として、美術館やギャラリーなど都内主要なアートスペースを繋ぐ無料のシャトルバスが運行する「モビールプロジェクト」が実施される。本年度は6ルートに増やし、毎日10:00から18:00までそれぞれ約15分間隔でシャトルバスを運行。さらに多くの参加会場を巡る。

また、「モビールプロジェクト」の専用アプリが登場(9月配信予定)。本アプリでは、交通渋滞が懸念される都内で、運行状況をチェックしたり、ルートマップや会場案内を調べたりできるだけでなく、特定の画面の提示でシャトルバスに無制限で何度も乗車できるなど、各会場を巡るための便利機能が多数搭載されている。

画像: 個性豊かな6種類のルートを通して、今の東京のアートシーンを体験しよう

6ルートには大型美術館が立ち並ぶ六本木エリア、老舗ギャラリーがひしめく銀座エリア、新進ギャラリーやアーティスト自らが運営するスペースが点在する池袋エリアと東東京エリア、注目のアートコンプレックスが建つ天王洲エリアなどがある。個性豊かな6種類のルートを通して、今の東京のアートシーンを多方面より体験することができる。

さらに、公式サイトがアップデートされ、参加するアートスペースの詳細情報やバス停のマップが確認できるようになった。アプリと併せて活用することで、よりスムーズで快適なアート体験が実現可能となる。

国内外アーティストによる注目の展覧会

<美術館/インスティテューション(美術機関)>

画像: 李禹煥《関係項―ヴェルサイユのアーチ》2014年 Courtesy the artist, kamel mennour, Paris, Pace, New York

李禹煥《関係項―ヴェルサイユのアーチ》2014年

Courtesy the artist, kamel mennour, Paris, Pace, New York

『AWT』の6つのバスルートで、11の美術館/インスティテューション(美術機関)を訪れることが可能。美術史を形成するだけでなく、新たな美術の可能性を提示する美術館/インスティテューションが今秋開催する大規模な回顧展に注目したい。

開館15周年を迎える国立新美術館(六本木)では、日本発の美術運動である「もの派」を代表する李禹煥(リ・ウーファン)の業績が紹介され、東京国立近代美術館(竹橋)では、1970年代末より独自の精神をもって『スクラップブック』からノイズミュージックに至るさまざまな表現を手がけてきた大竹伸朗の活動を読み直す展覧会が開催される。

また、資生堂ギャラリー(銀座)では、1947年から続く企画「第八次椿会 ツバキカイ8 このあたらしい世界」展で、ミヤギフトシや宮永愛子等6名のアーティストの新作が発表される。このようなテーマ毎に作家を選定するグループ展は、最新の美術の動向を多様な側面から探る試みである。これらの展覧会をはじめ、『AWT』参加施設のあらゆる企画からは、活発で充実した東京の現代アートを窺い知ることができる。

<ギャラリー>

画像: 杉本博司《Teatro dei Rozzi, Siena》2014年 Summer Time, gelatin silver print ©︎ Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi

杉本博司《Teatro dei Rozzi, Siena》2014年 Summer Time, gelatin silver print

©︎ Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi

現代アートの最先端を走るギャラリーやアーティスト・ラン・スペースは、創作活動を続ける作家の表現を披露する場。誰よりも早く傑作を目にすることもあれば、ときに失敗作に出会うこともある臨場感のあるギャラリーは、作品購入を通して鑑賞者が直に作家の活動を支援できる重要な現場でもある。

今年は日本を代表する作家による個展が充実。写真や現代美術に限らず、建築や古美術など幅広い文化に精通し世界的に活躍する杉本博司(ギャラリー小柳、銀座)や、光と音による圧倒的なインスタレーションで知られる池田亮司(TARO NASU、六本木)、言葉や絵画、映像、パフォーマンスを取り入れる詩人でマルチメディア・アーティストの吉増剛造(Take Ninagawa、麻布十番)などの展覧会が開催される。

また、安瀬英雄(KANA KAWANISHI GALLERY、清澄白河)や田村友一郎(KOTARO NUKAGA、六本木)、毛利悠子(Yutaka Kikutake Gallery、六本木)といった日本におけるアートの「今」を探求する、次世代の作家の展覧会も開催される。

海外の注目作家では、欧米の若きペインターに多大な影響を与えながらも2017年に逝去したダーン・ファンゴールデンの個展がMISAKO & ROSEN(大塚)で8年ぶりに開催され、KEN NAKAHASHI(新宿)では、ドイツ・ライプツィヒのギャラリー、ヨヘンヘンペルと共同してイミ・クネーベルとエリック・スワーズの2人展が開催。ギャラリーの展覧会を通し、日本そして世界の幅広い現代アート表現が実感できるだろう。

建築家・萬代基介が手がける「AWT BAR」と、アーティストコラボ・スペシャルカクテル

画像: ©Mandai Architects
©Mandai Architects

『AWT』会期中には、気鋭の建築家・萬代基介設計による「ATW BAR」が4日間限定で南青山にオープン。アーティストとコラボしたスペシャルカクテルが用意されている。バスで東京を巡った一日の終わりに、アート体験を語り合うひと時を堪能してみてはいかがだろうか。

「AWT BAR」概要

・場所:mosaic(住所:東京都港区南青山5丁目4-30 emergence aoyama complex 1F)
・運営時間:会期中毎日18:00〜24:00(L.O.23:30)
※10:00〜18:00は、AWTインフォメーションセンター/VIPラウンジを運営

「アートウィーク東京」のアートディレクターに菊地敦己氏が就任

『AWT』の総合デザインを手がけるのはアートディレクター/グラフィックデザイナー・菊地敦己氏。サリー・スコット、ミナ ペルホネンのアートディレクション、青森県立美術館、横浜トリエンナーレでのサイン計画など、幅広いジャンルで活動する菊地敦己氏が、『AWT』のロゴや WEB サイト、専用アプリ、オリジナルトートバッグなどのデザインを担当する。

<プロフィール>
菊地 敦己(きくち あつき)
アートディレクター/グラフィックデザイナー。1974年東京生まれ。武蔵野美術大学彫刻学科中退。1997〜98年スタジオ食堂プロデューサー、2000年ブルーマーク設立、11年より個人事務所。アートディレクターとして、VI(ヴィジュアル・アイ デンティティ)、サインデザイン、エディトリアルデザインなどを手掛けるほか、展覧会制作やアートブックの出版など活動は多岐にわたる。主な仕事に青森県立美術館、「横浜トリエンナーレ 2008」の VI 計画、ミナ ペルホネン、サリー・スコット のアートディレクション、『旬がまるごと』や『装苑』などのエディトリアルデザインほか。主な受賞に亀倉雄策賞、講談社出版文化賞、日本パッケージデザイン大賞、原弘賞など。

アートカルチャーに関するレクチャー・座談会をYouTubeで公開

日本のアートヒストリーや日本現代美術のエコシステムに関するレクチャー・座談会「オンライントーク」をYouTubeで公開。企画は「NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]」が担当する。

ニューヨークを拠点に海外における日本戦後美術の物語に大きく貢献した美術史家の富井玲子氏や、1980年代以降の東京のオルタナティブなアートシーンを牽引してきた小池一子氏、アートディレクター/グラフィックデザイナーの菊地敦己氏、評論家のアンドリュー・マークル氏、AIT プログラムディレクターのロジャー・マクドナルド氏をはじめ、日本のアートシーンを代表するさまざまなスピーカーが登場する予定だ(詳細は近日公開予定)。

ホテルパートナー The Okura Tokyo 宿泊特別レート、AWT カクテルを提供

『AWT』のホテルパートナーは、2019年に新ホテルとして開業した虎ノ門の The Okura Tokyo。『AWT』参加者への宿泊特別レートを提供するほか、オークラ プレステージタワー最上階に位置するバーラウンジ「スターライト」では、『AWT』をイメージしたオリジナルカクテルが用意される。

企画やイベントが盛りだくさんな『アートウィーク東京』。開催前にぜひ公式サイトもチェックしていただきたい。

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