『ストレンジャー・シングス』でブレイクしたミリー・ボビー・ブラウン主演の可憐なミステリー。
ホームズ家の末妹エノーラの活躍を描いたホームズモノの“スピンオフ”作品
ナンシー・スプリンガー原作のミステリ小説「エノーラ・ホームズの事件簿シリーズ」の映画化。新型コロナウイルス感染症の流行の煽りで劇場公開が見送られ、Netflixによるオンライン配信となったらしい。
ヒロインのエノーラ・ホームズ役を演じるのは『ストレンジャー・シングス』で一躍人気者になったミリー・ボビー・ブラウン。
豊かな表情と確かな演技力で存在感を示すミリーは、美人というよりはキュートな印象。サム・クラフリン演じるホームズ家の長兄マイクロフトや、スーパーマン役で有名なヘンリー・カヴィル演じる次兄シャーロック・ホームズの圧迫を受けても奔放さを失わないエノーラにぴったりだ。
ストーリー
物語は、エノーラが16歳になった朝 母親が突如失踪することから始まる。自分を伝統的な英国令嬢に再教育しようとするマイクロフトの厳格さには愛を感じられず、慇懃な態度と距離感を崩さないシャーロックからは自分への無関心を感じざるを得ない。
そんな2人の兄に失望したエノーラは、失踪した母親を探す旅に出るのだが、自分と同じように家出をした侯爵家の御曹司と知り合う。
そして、彼が何者かに命を狙われていることを知り、放っておけなくなってしまうのだった。
エノーラは母親に捨てられた?という寂しさと愛されていなかった?という疑念に、自分の名前に込められた意味と意図を時としてネガティヴに受け止めてしまいそうになるが、推理以外に無関心に見えるシャーロックに自分への愛情と気配りがあることを理解するにつれ、長兄の礼厳さにも自分への愛情がないわけではないし、自分を置いて消えた母親にも何か理由があったのでは?と思うようになる。
エノーラ(ENOLA)を逆さに読むとアローン=1人(ALONE)となるが、1人を孤独と捉えるか、それとも自力で運命を切り拓けというメッセージと捉えるかで、生き方はまったく変わっていくのだ。
積極性と明るさを取り戻したエノーラは、記憶の中にある母親の痕跡を基に、自分の名前と同じように文字や語句を入れ替えながら、母親が残した微かな手掛かりを追い始める。そんな中、全く関係がないと思われた母親の失踪と、命を狙われ続ける侯爵家の若き跡取りとを結びつける謎の存在にたどり着いていくのである。
本作は今話題の『TENET』でも多用されていた(文字を入れ替えて別の単語や文章を作る)アナグラムをキーとした知的なミステリーとなっている。
ミリー・ボビー・ブラウンの今後に注目
本作でエノーラ・ホームズを生き生きと演じているミリー・ボビー・ブラウンは、まだ新人女優の域を出ない超若手だが、今後 多くの主演作への出演が決まっている天才少女。日本人ウケしやすい容姿も相まって、アジア圏でも知名度が上がっていくことは間違いないと思われる。
典型的な美女というわけでもないし、モデル体型でもないが、華がある。ぜひこの機会に彼女の名前と顔を一致させておくべきだろうと思う。
小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。dino.network発行人。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。
ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。