オートバイ2022年7月号(第88巻 第7号)「Go out on a limb」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@dino.network編集部
酒席につきあってる時点で偉いっしょ?
酒が飲めなくたって酒席には行く。人付き合いはまあ苦手だが、仕事の一環ってことくらいは弁えてる。それでいいじゃんか。
なんで酒飲めないからって罵倒されなきゃいけないの?それってもうアルハラ、いや、パワハラじゃね?
酒飲めないと、そんなにダメっすかあ⁉︎
「酒飲めないとダメっすかあ⁉︎」と叫んだときは、上司も同僚もみんな帰った後だった。
「オアイソかい?」女将が無邪気に問いかけてくるが、頭に血が上ったボクには、あまりよく聞こえていなかった。
カウンター席でバイク乗りらしい若い女の子と呑んでた、自称映画監督のおじさんがボクをたしなめるように「おいおいそこの!友ダチ帰っちゃったゾ」と言った。
酒の代わりじゃないけど、バイクには乗りますよ
仕事辞めたんか、て?辞めないよ、そんなことでいちいち仕事変えてたら、今の時代生きていけないでしょ。だって昭和世代はまだまだしばらく現役なんだから。我慢できることは我慢しないとさ。
酒飲めるようになったんか、て?飲めないよ、それは相変わらず。だって無理したくないっしょ?
その代わり、てわけじゃないけどさあ、ボクバイクの免許(普通二輪免許)とったんよ。で、せめて昭和世代のおじさんたちと話し合わせようと思ってさ、ホンダのネオレトロバイクのCB350にしたわけよ。見た目や造りは60年代ぽくて古めかしいけど、 ライトはLEDだしABSは付いてる、今どきのバイク。
まあ、バイクに乗るから酒飲まない、ていう言い訳はないだろうけどさ、おじさん達の青春時代を少しは理解してるように見えんじゃん?苦労してるわけよ、ボクらだって笑
楠雅彦 | Masahiko Kusunoki
車と女性と映画が好きなフリーランサー。
Machu Picchu(マチュピチュ)に行くのが最近の夢。蚊に刺されまくっても行きたい。