デービスが28連勝(28勝無敗 26KO)
2022年12月28日に行われた試合を、WOWOWのエキサイトマッチで観戦した。
ジャーボンテイ・デービスは 1994年11月7日生まれの28歳。一昔前前ならそろそろ引退を考える年齢かもだが、昨今のボクシング事情ではほとんどの王者が30代であり、そろそろ油が乗ってくる時期と言えるのだろう。(実際今回対戦したエクトル・ルイス・ガルシアは、キャリア16戦ながら31歳だ)
それに、ヤンチャな彼は(ほぼ全身にタトゥーを入れているその姿からもそのヤンチャぶりが類推できようが)まだまだ落ち着く年ではない。彼はプライベートで複数の暴行事件を起こしており、私生活の無軌道ぶりがキャリアを阻む恐れがあるが、今までのところ、そうした懸念は試合ぶりに影響をもたらしているようには見えない。試合前の下馬評を見ても、デービスが遅れをとると見る向きはほとんどない。
その見通し通り、デービスは挑戦者を一蹴、全く危なげないままにガルシアを仕留めてみせた。
実力・実績伯仲、人気では見劣りさせられる?ライアン・ガルシアとのマッチメイクは実現するか?
デービスは、容姿やソーシャル周りでの人気では遥かに上回るもう1人のガルシア “ライアン・ガルシア”との一戦を期待されている。
2023年1月時点では、2023年4月の試合実現が濃厚視されているが、前述の通り、私生活では酷く不安定なデービスと、若干の鬱病を患っていると言われるガルシアの状況を合わせみると、ゴングが鳴るまでは確実なことは誰にも言えまい。
しかし、28勝26KOのデービスと、23勝19KOのライアン・ガルシア(1998年8月8日生まれの24歳)の無敗対決は、ボクシングファンなら見逃せないスーパーファイトになる。
今回デービスに挑戦したエクトル・ルイス・ガルシアは、自分はライアンの代わりのかませ犬の役回りなんだろ、と自嘲気味らしかったそうだが、それもやむを得ないところだろう。
試合経過
デービスはそのヤンチャぶりとは似つかわしがらぬ試合巧者だ。その試合運びは、ウェルター級で無敵を誇るクロフォードに似ているかもしれない。つまり、試合前半は相手をよく観察し、見切った上で敵を叩き伏せるクレバーさを見せるのだ。
また、デービスと言えば、そのアグレッシブさとパンチ力が取り沙汰されるが、実は非常なテクニシャンでもある。ハンドスピードは類を見ない速さだし、一気に間合いを詰めるフットワークの良さはパッキャオ並みだ。防御は、常にガードを高く上げ堅く守っているうえ、巧みなスリッピングアウェイもみせる。攻撃面では今さらいうまでもないが、非常にパワフルなうえ、上下の打ち分けやコンビネーションも巧みだ。しかも速い。
エクトル・ルイス・ガルシア(彼もデービスもサウスポーだった!)は前手の右腕をだらりと下げた、メイウェザーを彷彿させるスタイルを取り続け、鋭いジャブと、続くワンツーでスリリングな試合展開を見せてくれたが、8ラウンド に強烈な左フックを受け、その後コーナーから出ることなく棄権を申し出た。
八村塁が試合観戦
勝負は8ラウンド終了時の、デービスのTKO勝ちということになったが、実は8ラウンドの途中でリング下で観客同士の乱闘騒ぎが起き、試合が一時中断した。
騒ぎ自体は直ぐ収まったが、乱闘騒ぎのすぐそばで、NBAの選手たち(八村塁の姿もあった)がいたために必要以上に大きな騒ぎとなったらしい。
リング上のボクサー2人が気を取られてしまったためにレフェリーが一時試合を止めたが、これは非常に珍しい光景だった。
試合再開後のデービスの鋭い動きに、エクトル・ルイス・ガルシアはなすすべなく 強打を浴び、ダウンこそ免れたものの、完全に戦意を失い、第9ラウンドのゴングを聞いてもコーナーから出ず、試合終了となった。
小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。dino.network発行人。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。
ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。