バイク乗りの憧れ、仮面ライダーを名匠 庵野秀明監督が再定義した、生誕50周年企画作品『シン・仮面ライダー』が、Amazonプライムで独占配信開始!

子供向けテレビ番組のご都合主義と、大人向け映像作品の完全主義が混ざった作品?

仮面ライダーといえば、バイク乗りのスーパースター。徹頭徹尾正義の味方で陽キャのウルトラマンに対して、何かといえば落ち込み思い悩む陰キャな仮面ライダーは、昔の不良少年のマストアイテムだったバイクを相棒に、悪の組織に立ち向かう孤独なヒーロー(スーパーマンに対するバットマンみたい??)。さらに、大人の事情ではあるものの、少なめに抑えられた予算の中で最大限の成果を挙げることを求められたがゆえに生まれた、異端児だったのである!

実は、一身上の都合ながら、劇場での鑑賞チャンスを逃してしまったため、ネット配信開始をめちゃくちゃ楽しみにしていた。さらに、アマプラでの配信が発表されたことに安堵の吐息をついて、配信日を心待ちにしていたのだ。

『シン・仮面ライダー』は、ライダーの生誕50周年を祝した特別な企画作品であり、東映の強いバックアップを受けていたにしては案外 興行収入が伸び悩んだとも聞くし、庵野監督の久々の実写作品でありながら「面白くなかった」という声も多々聞く。しかし、若手イケメン俳優の登竜門と化したライダーシリーズの配役を避けて、敢えて?池松壮亮=本郷猛や柄本佑=一文字隼人のような、アクションのイメージから程遠い(その意味では藤岡弘。とも大きく異なる)、個性派俳優を採用した庵野監督を意図を信じるのが真のライダーファンというものだ。

というわけで、Amazonプライムでの配信開始が始まるのを待って、静かに鑑賞したのである。そして、その結果は‥‥

まず相対的に言って、もともとの仮面ライダーが持つ、ダークで切ないモードを再現している点は合格点を出せる。30分の子供向けテレビ番組を、大人向けの味付けにして作り直したと考えれば上等だと思う。

例えば世界征服を目論む悪の組織ショッカーは、より良い世界を実現しようとする純度100%の、意識が高すぎる人たちが作り上げた組織として描かれていた(あまり頭がよすぎて、感受性が高い人が思い詰めるとアブないと言いたいのか笑。ちなみにショッカーの正式名称は、Sustainable Happiness Organization with Computational Knowledge Embedded Remodeling。その頭文字をとって通称SHOCKERと呼ぶ。また、怪人たちは怪人とは呼ばれず、オーグメント=Orgment−組織の一員であるから、クモとの合成人間はクモオーグ、ライダーはバッタとの合成人間であるからバッタオーグと呼ばれる)。

が、初めてライダー作品を観た人には逆にひどく不親切でわかりづらいものになってしまったと思う。
ところどころ繰り返される、初代ライダーシリーズを観ていたものにしかわからない暗喩や引用が多かったこともその要因だろうし(例えば、ショッカーを脱走した北郷猛−池松壮亮 や緑川ルリ子–浜辺美波 を支援≒利用するCIAぽい謎の組織のメンバーの名前が、立花–竹野内豊 と滝 −斎藤工だったりする)、各ショッカーのオーグたちは(ショッカーの本部?東京支部?のボス 仮面ライダー0号となる緑川イチロー−森山未來 も含めて)横連携というか、他のメンバーと協力しようという雰囲気はゼロで組織力を感じさせられるようなところは全く見られないのだ。いくらショッカーの元メンバーとはいえ、ルリ子と本郷があまりに簡単にオーグ達ののアジトの中心にまで出入りし過ぎだろうと思える。
そもそもライダーの造形や、なぜ彼がショッカーの戦闘員たちに簡単に勝てるのかなどは分かりやすく、緻密に作ってあるのだが、肝心の戦闘シーンはライダーシリーズが始まった1970年代のそれを再現しようとしたせいか、ひどく稚拙なものになってしまっている。一言でいえば、作りが雑、というか、チグハグなのである。

要するに、全体を貫くトーンや脚本は良いのだが、30分番組を組み合わせたような不自然で雑な作りが、マニアックなまでの執拗で緻密な造り込みの存在によってかえって悪目立ちしてしまっている、ということだろう。
本作が、仮面ライダーの原案者/原作者である石ノ森正太郎が生み出したストーリーや設定を現代の解釈で描きなおしたものであるとすれば、ほんとうなら、30分のテレビ番組としてワンクールは続けるべきものかもしれない。
それが2時間という通常の映画の尺で描こうとされたこと自体が間違いだと言えるだろう(というか、本来は映画として展開することが決まっていたのだから、この造り方が間違っているというべきだろう)。

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