選手層が最も厚く、世界のボクシングシーンで最大の激戦区となっているのがライト級。
ほんの数年前には史上最高傑作と評されたワシル・ロマチェンコの独断場であったこの階級は、いまや多くの20代の若手のスター候補たちがしのぎを削る世界へと変貌した。
そんな中、超絶テクニックを誇り一時代を築いたはずのロマチェンコと、強打を誇る元IBF世界ライト級王者リチャード・コミーが生き残りをかけて激突した。

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ロマチェンコ一強時代は終わり、数人のスター候補生が覇権を狙う戦国時代となったライト級

ロマチェンコを判定で制して、4団体統一王者となったテオフィモ・ロペスが、豪州生まれのジョージ・カンボソス・ジュニアとの死闘に敗れ、フロイド・メイウェザーの秘蔵っ子であり、先日イサック・クルスとの激戦を制したばかりのジャーボンテイ・デービスが先日スーパー・ライト級のタイトルを返上してライト級を主戦場にすることを宣言した。

WBCにはデヴィン・ヘイニーが正規王座に君臨しているし、

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Instagramを始めとするSNS上では凄まじいばかりの人気を誇るライアン・ガルシア(最近はメンタルの不調が伝えられているが)など、現在のライト級は、スーパースター候補と呼べる若手ボクサーの台頭が著しい。

彼らの多くは 無敗の戦績を誇るうえ、まだ20代でありこれからが楽しみな成長株だ。

それに対して、既にピークを過ぎたのではないか?という声に常に対抗せねばならない30代のボクサーたちは、台頭してくる若手を超えるパフォーマンスを見せなくてはならない。もちろん直接対決で相手の挑戦を退けられれば1番良いが、今回試合を行うワシル・ロマチェンコと、リチャード・コミーは共に30代、二人ともテオフィモ・ロペスに敗れてタイトルを失った経緯があり、さらにそのロペスがつい先日初黒星を喫したことでまさしく後がない、崖っぷちに立たされている状態だ。負けた方は、ライト級のトップ戦線からの脱落を宣言されてしまうことだろう。

商品価値を保つための決死の闘い

さて、本題のロマチェンコ対コミーの試合の解説に戻ると、ロマチェンコは変幻自在のポジショニングと速射砲のような連打を誇り、精密機械とまで称されるスーパーテクニシャン。対するコミーはバランスは悪いが一撃必殺のパンチ力を持つ強打者。

前述の通り両者ともロペスに敗れてはいるが、ロマチェンコは(正直観ていた僕は彼の完封勝ちを信じたほどの)クロスゲームでの判定負けだったし、コミーはある意味アンラッキーなカウンターによるKO負けだったから、あれは“運が悪かっただけ”という言い訳は通じなくもない。今回の戦いで勝利すれば、ライト級のスターとしての地位を死守できるというわけなのだ(まあ、その後もスーパーファイトにありつけるまでは一戦一戦負けられない闘いが続くわけだが)。

試合速報

サウスポースタイルのロマチェンコに対してオーソドックスで構えるコミーは、その強打を振るいながら攻勢にでる。いつもの青と黄色の派手目のスタイルを止め、黒をベースにシックな色合いでまとめたロマチェンコに対して、ゴールドのメッシュヘアが目立つコミー。クリンチが多いが、距離を潰して接近しての乱打戦の結果ゆえ、それほど気にはならない、むしろ序盤から数多くのパンチが交錯するエキサイティングな展開だ。

ロペス戦で、相手の動きを見る作戦が消極的と採られてポイントを失った苦い経験からか、ロマチェンコも比較的早いラウンドからよく手を出す。
1-2ラウンドはコミーの正面に立ち、あまりサイドにポジションを変えないなと思っていたが(強打のコミーの真正面に立つのは本当に勇気がいると思う)、3ラウンドあたりから、左右にステップするようになってきた。それと同時に、いつものように数発をまとめて打ち込むスタイルが目につくようになり、左のリードパンチから右の強打を振るうコミーのボクシングとの差異が明確になる。

大きな見せ場がやってきたのは7ラウンド。クリンチの離れぎわにロマチェンコが放ったフックがコミーの顎を捉え、コミーがダウン。かろうじて立ち上がったものの、ダメージは深いようにみえる。

しかし、コミーとしてもこのサバイバル戦になんとしても生き残りたいし、1発のラッキーパンチではなく、完全に自分のボクシングが封じ込まれてのKO負けは避けたい。

必死の抵抗を続けたコミーはなんとか最終ラウンドのゴングを聴くことに成功、逆にロマチェンコは劇的なKO勝利のチャンスを逃した。

が、結果はロマチェンコの文句なしの判定勝利。ライト級激戦区に、まだまだ自分という分厚く高い壁があることを証明した。

画像: 【速報】ライト級ボクシングマッチ、ロマチェンコvs.コミー。急激に盛り上がってきたライト級戦線で生き残ったのは?

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。dino.network発行人。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

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