ギャンブルのイメージが強い競馬だが、馬券を買う以外にも投資として楽しむ方法があるということをご存知だろうか。馬主と競馬の関係性や、そもそも馬主は儲かるのか、配当される賞金額など、35年以上も競馬を趣味に続けている雑誌編集者がくわしく語る。

新馬戦、未勝利戦で勝たないと次に進めない

1年で生まれるサラブレッドの数は7000頭ぐらいだといわれている。そのすべてというわけではないが、ほとんどが馬主に引き取られ競走馬に育てられていくわけだが、意外と競走馬の寿命は短く競争生活は2歳夏から早くて5〜6歳の冬の2年半ぐらいだ。

最近は競走生活も長くっなてきていて10歳馬なども現役で走っていたりするが、平均すると5歳から6歳ぐらいで引退してしまう。でも実はこれ、少なくとも1度はレース(通常は新馬戦や未勝利戦)で1着になったことがある馬の話で、1勝もしないで引退していく馬も少なくない。

画像: 1年の締めくくり、有馬記念(中山競馬場)。

1年の締めくくり、有馬記念(中山競馬場)。

JRAの競走馬の場合、この新馬戦や未勝利戦に勝てないとそこで引退しなくてはならない。出走するレースがなくなるからだ。では実際にどのくらいの頭数が勝ち上がるのか。JRAの新馬戦や未勝利戦は1380戦ほどある。つまり約1380頭がその次のクラスに進めるわけだ。

前述したが1年に生まれる競走馬が約7000頭。そのなかでJRAの新馬戦や未勝利戦に出るのがだいたい4000〜5000頭だとすると、次のクラスに進めるのが約1380頭しかいない、ということになる。つまり、競走馬を買うということ(馬主になること)自体、とてもリスクのあることなのだということがこれでもわかる。

1着賞金3億円というG1レースもある

たとえば5000万円の当歳馬(生まれて1年目の馬)を購入しても、デビュー前にケガや病気でレースに出られなかったりすることもあるのだ。その場合は当然、レースの賞金がないので大きな損をしてしまうことになる。そして競馬は実力に世界。いくら価格が5000万円しようが1億円だろうが1勝もできなければ、数戦レースに出走しただけで、その馬の競走馬生活が終わってしまうのだ。

画像: 寒い季節や暑い時期は屋内(指定席)で観戦するのもまたいい。

寒い季節や暑い時期は屋内(指定席)で観戦するのもまたいい。

さて、レースの賞金だが、これがとても高額で充実している。JRAの次に儲かるのが馬主なのかもしれない。それほどJRAから優遇されていると言っていいだろう。そりゃそうだ、馬主が何千万円もする競走馬を購入してレースに出してこそ、JRAの懐が潤うのだから。

ちなみにレースの格付は、新馬戦、未勝利戦→1勝(以前は500万下)→2勝クラス(1000万下)→3勝クラス(1600万下)→オープン→重賞となっている。そしてこの重賞にもG3→G2→G1といった格付けが存在しているのだが、驚くべきはその賞金だ。

画像: 天気のいい日は屋外で観戦。これも最高!

天気のいい日は屋外で観戦。これも最高!

新馬戦の1着賞金は700万円、未勝利戦は500万円、1勝クラスは750万円、2勝クラスは1500万円、3勝クラスは1800万円、オープンは2500万円〜3000万円、G3は4000万円、G2は5000万円〜7000万円、G1は6500万円〜3億円とかなり高額なのだ。しかしこれで驚くのはまだ早い。さらに賞金は、1着にならなくても5着までに入れば貰える。さらにさらに6〜8着にも、少額だが奨励賞などというものも渡されるのである。つまり8頭立てのレースなら全馬になんらかの賞金や奨励賞などが支給されるというわけだ。

また競走馬をレースで走らせると出走手当というものもJRAから支給される。1回40万円ぐらいなのだが、これが実は意外とバカにならない。ほかにも賞金や手当はいくつかあるがかなり細かいのでここでは省くが、とにかく1回レースに出れば一ヶ月のエサ代ぐらいは稼いでくれるというわけだ。

ただしこれら賞金がすべて馬主のものになるわけではない。20%は騎手や厩舎などに渡るため約80%が馬主のものとなる。ざっくり言えば1000万円の賞金であれば800万円ぐらいが馬主のものなのだ。(後編に続く)

画像: 競馬を投資に。馬を買う競馬の楽しみ方「一口馬主ライフ」(前編)

千葉知充|Tomomitsu Chiba

創刊1955年の日本で一番歴史のある自動車専門誌「Motor Magazine(モーターマガジン)」の編集長。いままで乗り継いできたクルマは国産、輸入車、中古車、新車を含め20台以上。趣味は日本中の競馬場、世界中のカジノ巡り。

This article is a sponsored article by
''.