競馬が日常にある、ということ
趣味はなにかと聞かれたら、間髪を入れず「競馬」と答える。休日はテレビの前で競馬中継三昧、そして年に数回は、実際に競馬場に足を運んでもいる。また毎年、夏休みや連休などは全国の競馬場巡りをこの15年ほど続けているのだ。
私が全国の競馬場を巡る理由は、競馬場のある地域への還元という目的がある。レースが終わったら、街に繰り出して散財するのである。これこそ究極の贅沢だと思っている。そしてここ数年、土日はJRA、その前後の金曜や月曜にも休みをとって盛岡競馬や高知競馬なども行くようになり、地方遠征で2泊や3泊したりもする。そしてその分、地元還元も増える……というわけだ。
日本には中央競馬会(JRA)の競馬場は10場(札幌、函館、福島、新潟、中山、東京、中京、京都、阪神、小倉)あるが、私はこれまでにそのすべてに行っている。つまり全場制覇だ。これは達成感も満点。興味があればぜひ挑戦してみては。目の前を駆け抜けていくサラブレッドたちの迫力は最高なのだ。
もし、競馬場に行くことがあったら、ゴール前で、人生で一度も出したことのないような大きな声で叫んでみよう。「行けぇ〜」でも「差せぇ〜」でも「そのままぁ〜」でもいい。その瞬間、すべてのストレスが吹っ飛ぶはずだ。
馬主がいないと競馬は成立しない
競馬の楽しみ方は人それぞれだろう。100円から馬券(正式には勝ち馬投票券と呼ぶがここでは馬券)を買って、一攫千金を夢見るのもいいし、単勝コロガシや複勝コロガシなどで元金を少しずつ増やして楽しむのもいい。
でも、実は100円の馬券を買った時点でその価値が約70〜80円分(馬券の種類によって違う)しかないことをご存知だろうか。つまり約20〜30円負けているわけだ。それは控除率と言って、100円の馬券を買うとかならず税金などが約20〜30%(馬券の種類で違う)引かれるからである。つまり100円に見える馬券は実は70〜80円分ぐらいしか価値がないのだ。
どういうことかというと、簡単に言ってしまえば1レースで1億円の馬券の売り上げがあるとする。そこからJRA(日本競馬会)と国が、2500万円(控除率25%の場合)持って行き、残った7500万円を馬券の的中者に分配するというわけだ。つまりギャンブルは胴元が儲かるというシステムはここでも生きているのである。
しかし、よくよく考えてみると競馬は、サラブレッド(馬)が走って成立するものである。多いときには1レース18頭もの馬が出走するわけだが、その持ち主はJRAではない。馬主だ。
その馬主は、自分が購入した馬をJRAまたはNRA(これは地方競馬のこと)のレースに走らせて賞金を稼ぎそれで生活したり、次に購入する馬の代金に充てたりするわけだ。つまり、それだけの賞金や収入ないと馬主として続かないのである。
馬主がセリなどでサラブレッドを購入しなくなるとJRAやNRAは出走馬がいなくなってレースが成立しないので困ってしまう。なにを言いたいかというと、そうした理由もあるのだろう、馬主のことをJRAは手厚くフォローしているのである。
もちろん、馬主にはリスクもかなり多いが、無事に、そしてコンスタントにレースに出走するかぎり、それほど損をしないシステムになっていると言っても過言ではない。そうでなければレースの出走頭数が少なく、盛り上がりにかけたり、またレース自体が成立しなくなりJRAは馬券で稼げなくなるのだから。
ちなみにJRAは、1月の第一週から12月の最終週まで毎週土日に各競馬場で12レース開催されている。その開催は2場のときもあれば3場の時もある。つまり2場開催なら一日24レース、3場開催なら36レースが行われていることになる。合計すると土日で48レースまたは72レースとなる。
それが一ヶ月間4週にわたり行われるのだから最大では一月72レース×4週=288レースだ。これに各レース平均10頭が出走するとなると、1カ月に288×10=2880頭がレースに参戦することになる。そしてそれぞれの馬には、当然のことながら必ずそのオーナーである馬主がいるわけだ。