インドから日本へ。外国人から見たBBS
技術部 技術課所属のポッダール ・ヴィネイさん
BBSジャパンに入社したのは、インタビューの1ヶ月前。彼には日本の外と中からみたBBSジャパンについて伺った。
BBSジャパンはグローバルに製品を展開する企業として、日本国外からの雇用にも力を注いでいる。今回お話を伺ったのは、インド出身のポッダール ・ヴィネイさん。
BBSで働きはじめて1年弱。正社員としてはインタビュー時で約1ヶ月という入社?ホヤホヤの状況だった。働きはじめた当初から「ポタ」の愛称でみんなに愛され、その真摯な仕事振りから一目置かれる存在として社内でも有名人だという。
そんなポッダールさんが手がけているのは、ホイールを成型する際に、プレス機にセットして使う金型造り。これはホイールの種類毎に作られるものであり、均一なプレスと緻密な造形を行う際の要となる部分だ。
世界に誇る日本の鍛造技術。その役目の一旦を担うポッダールさんに、日本企業BBSジャパンについて話を聞いた。
機械工学を求めて来日
インドの大学で機械工学を学びながら日本語の勉強をしてきたポッダールさん。2018年の10月、大学4年生のときに来日。勉強を続けながら仕事を探し始めたという。
「BBSジャパンは知っていた?」との問いに対しては、もちろん、ときっぱり。
ドイツで鋳造ホイールメーカーとしてはじまったBBS。1983年に日本BBS(現BBSジャパン)が設立されて以降、鍛造ホイールという新たな歴史を作り上げてきたわけだが、そのどちらもインドでは有名だとか。
「BBSGermanyももちろんですが、“BBSジャパンの鍛造ホイール”は別格でした。やはり軽さとその品質はジャパンメイドとして一目置かれているんです。日本ではありえませんが、海外でBBSホイールを買うときは、どこ製なんだ?と論争が起きることもあるぐらいですよ」
元々機械が好きで、なかでも“動く”部分が大好きだというポッダールさん。BBS社で働く決め手は、「クルマの動いている部分=ホイールだったから」と笑いながら答えてくれた。
大手クルマメーカーからの内定。しかし…
前述したとおり、ポッダールさんはBBSで働き始めて1年。正社員としては1ヶ月という経歴の持ち主。BBSとしては優秀なポッダールさんをぜひ社員に!としたいところだったが、日本での仕事にも慣れ、別の世界の機械工学も見てみたい……という本人の気持ちも分かるというもの。
「働きながら就職活動をさせてもらい、いくつか内定もいただきました」とポッダールさん。聞けば誰もが知る超大手クルマメーカーだ。
「でも1年間働いたなかで、やっぱりBBSジャパンでの仕事が楽しかったんです。それに会社も僕を必要してくれる。ここに残りたい、ここで働きたい!という気持ちが強くなりました」
BBSジャパンでのやりがいは?
「ホイールは製品として大きくカタチが変わるものではありません。でも、ひとつのホイールを作るまでのプロセスはとても多彩です。それこそ鍛造と鋳造で異なるし、造形によって型も大きく変わります。これを試してみたらどうか? あれが使えるかも?なんて試行錯誤しながら設計するのがとても楽しいです」
画一された工程だけでなく、新たなアプローチを試せる環境。それがBBSジャパン製品をより高みに導いている秘訣なのかもしれない。
「BBSで働いていてよかった」と思えた瞬間
「新幹線に乗っていたときに隣に座ったおばあさんに『どこで働いてるの?』と声をかけられたんです。BBSです、と答えると「憧れのBBSじゃない!」って…まさか知ってると思わずびっくりしました。聞けば息子さんがクルマ好きで、BBSのホイールにしたいと常々話していたらしくて」
このとき自分の仕事が、自分の働き先に憧れを持ってくれていたことがなによりうれしかったというポッダールさん。
「BBSジャパンで働いていて良かった」と笑顔で続けるポッダールさんには、これから成したい夢があるとか。
「まだまだ未熟でみんなからいろいろ学んでいるところですが、ゆくゆくは海外との交渉や通訳などもしてみたいです。我々が日本で作り上げた製品を、もっと多くの国の人に届けたい。そのためのパイプに僕はなりたいです」
海外で生まれ、日本独自に進化したBBS。そこには国も人種も、言葉も違う人たちが働いている。
しかし、“BBSジャパン”として最高のホイールを届けたい。『Made in Japan』、『Craftsmanship』という理念は、ここで働く人たちすべてに共通認識として存在していた。
世界に誇る日本の業、世界中で待ってくれているユーザーのために、これからもBBSジャパンはその業を磨き続ける。