11月22日(日)にツインリンクもてぎで行われた「ピレリスーパー耐久シリーズ 第4戦」。そのST-2クラスに、以前当サイトでもご紹介したホンダ シビック TYPE Rが参戦! その足元にはBBS RFの姿が。今回はスーパー耐久を通して、ホンダ社員達の挑戦についてご紹介していく。

5時間の耐久レース スタート!

2020年11月22日(日)、11:00より始まった5時間の耐久レース。Honda R&D Chalengeのスタートドライバーは、Cドライバーである望月哲明さんだ。

耐久レースで重要なことは、次のドライバーに確実につなげること。望月さんはブレーキをいたわりつつ、車両コンディションの確保を念頭に周回を重ねる。

想定以上にタイヤの熱ダレはあったものの、燃料が減り軽くなった終盤の周回ではその日ベストのラップタイムを記録。

その後も順調に周回を重ねるも、ST5クラスの車両にヘアピンコーナーで軽い追突を受けてしまう。

チームに緊張が走るが、大事には至らず。第2スティントの柿沼さんにバトンタッチ。

柿沼さんはコースイン後、まずはクルマがどういった状態なのかを見極めるための走行を試みる。

その際、リヤスタビリティーの低下、ダウンヒルストレートでのリヤムービングを感じたため、しばらくは様子を見つつ、挙動が落ち着いたタイミングでトラフィックとブレーキを気遣うドライビングにチェンジ。

アップデートを施したエンジンの冷却性能が功を奏したのか、水温は90℃前後で安定。12〜14秒台で周回を続けていく。

順調に走行していたものの59周目の5コーナーにて、右後ろから他車両が接触。これにより走行中に振動が発生。

万が一を考え、ここで急遽ピットイン。車両は走行可能との判断で大事には至らなかったが、このタイミングで給油とタイヤ交換を行い、ドライバーはDドライバーの瀬在さんにチェンジ。

第2スティントでの接触は、車両にホイールアライメントの不具合を招いていた。しかし、短時間のピット作業では解消できない。そのまま第3スティントに突入だ。

ブレーキング時や旋回時に姿勢の乱れが生じていたが、車両への負担を最小限に押さえるべく慎重なドライビングを心がける瀬在さん。

幸いコンディションは暗転することなく、ピットからの指示で予定周回数(34ラップ)より数周多く走行したうえでピットイン。

レース終了まで残り1時間強。最終ドライバーである木立さんにバトンを繋いだ。

最終スティント開始である。バトンは、ニュルブルクリンクにてドライビングインストラクターを務める木立さんに託された。

極限の状態で酷使されたシビックのブレーキフィールは低下しており、木立さんは車両をいたわりつつの走行だ。

ペースを上げることはできないものの順調である。これならいける。望月さん、柿沼さん、瀬在さん、3人が繋いだバトンをなんとしても最後まで──。

ところが、ここでアクシデントが発生。

「ギアが4速に入らない!」

これ以前もギアの入りが悪いとの報告はあった。
「3から5速へ飛ばして走行できないか⁉︎」
ピットからの指示で試みつつ走行するものの、ペースは一気にダウン。

何が起きたか、車両からはオイルが漏れ、白煙を上げはじめた──。

レースを終えて

ミッショントラブルによるオイル漏れ。Honda R&D Chalengeによる、2度目のスーパー耐久はリタイアで幕を閉じた。

柿沼さんへのインタビューによると、その前兆は第2スティントからあったという。

画像: レースを終えて

「実は僕がセカンドドライバーで走っているときからギアの入りが悪くて。最初は3速が不調だったんです。その後のドライバーでもギアの不調は報告されていて、最終スティントでは結果的に4速が使えなくなりました。それでもなんとか走行はしていたのですが、おそらく摩耗したパーツが干渉してミッションケースに穴が空いたのでしょうね。オイルが漏れてしまった。こうなるともう走行はできません」

実はこのミッションボックス、車両を仕立てたときから変更していなかった。レースで使うのは今回で3回目。あまりにも酷使しすぎたのだ。

メカニックである竹内さんによると、
「このレースが終わったらエンジンミッションを載せ替えようって話をしていたんです。でも、読みが甘かった……。その甘さが招いた結果です」

画像: 騒然となるピット。オイル漏れはどうやっても押さえられず……無念のリタイアとなった

騒然となるピット。オイル漏れはどうやっても押さえられず……無念のリタイアとなった

何を言っても結果は変わらない。しかし、挑戦したからこそできた経験でもある。

柿沼さんはこう続ける。

「連続走行によるパーツの酷使。極限の負荷状態でこのような結果になりました。ただ、なぜそうなったのかを分析して、次のモノづくりに役立てられる。レースの結果としては不本意ですが、今後の製品開発においては大きく得るものがありました」

今回の車両に施した冷却性能の向上やブレーキの強化は、過去にフィールドで身に染みて感じた部分だ。そうしてアップデートしたことは、レースを通して大きく効果を実感できた。経験したから今があり、これからがある。

「転んでもタダでは起きませんよ、私は」

この言葉が意味するものは、次のタイプRで明らかになるだろう。

ホンダ、そしてホンダ社員達の挑戦に終わりはない。

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