団体を超えた、真に最強のボクサーを決めるイベント、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)のバンタム級決勝が2019年11月7日、さいたまスーパーアリーナで行われた。対戦するのはWBA及びIBF王者の井上尚弥と、WBAスーパー王者であり、5階級制覇を成し遂げたレジェンド、フィリピンのノニト・ドネア。
世界のボクシングファンが待ち望んだカードの結末は、井上尚弥が3-0の判定勝ちという結果になった。

井上尚弥 on Instagram: “世界戦恒例の3日前予備検診お互い最高の仕上がり‼︎準備万端‼︎ゾクゾクする…11月7日ゴング”

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モンスター対レジェンド

現在のプロボクシングは、メジャー団体だけでもWBA、WBC、IBF、WBOと4団体もあり、しかも各階級ごとに正規王者、暫定王者、スーパー王者など複数のタイトルが乱立し、一言でチャンピオンと言っても必ずしもその階級での最強を意味しているとは限らない状態にある。

ならば、団体を超えた最強を決めようじゃないか、という催しが2017年にスタートしたWBSS。実績あるボクサーのみ(注)が参加できる、世界的なトーナメントだ。

(注)WBA、WBC、IBF、WBOのいずれかの世界王者か、それら4団体の世界ランキング15位以内の選手に限る。

スーパースター候補のボクサーたちは、異団体統一戦を行いながら主要団体の王座を制覇していくことを目指すが、興行側からのアクションがWBSSであり、これまでにクルーザー級、スーパーミドル級、スーパーライト級のトーナメントが行われている。そして今回行われたのが井上尚弥が属しているバンタム級での決勝戦なのである。

決勝戦まで、全て短時間でのノックアウト勝ちを収めてきた井上(1993年4月10日生まれ。試合当日は26歳)は、その圧倒的な強さからモンスターの異名を与えられることになった。

対するドネアは、1982年11月16日生まれ(試合当日は36歳)のベテラン。単に歴戦の勇者というだけでなく、IBF世界フライ級王座、WBA世界スーパーフライ級暫定王座、WBC及びWBO世界バンタム級王座、IBF及びWBO世界スーパーバンタム級王座、WBA世界フェザー級スーパー王座の5階級を制した正真正銘のレジェンドであり、このWBSS決勝戦ではWBA世界バンタム級スーパーチャンピオンとして井上の前に立ち塞がる。

下馬評では井上有利。
蓋を開ければドネアの善戦が光った

両者の激突については多くのファンが注目していたが、結果はすでに多くの人がご存じの通り、井上が11回には鋭いボディブローでダウンを奪い、3-0の判定勝ちを収めた。

しかしドネアも井上の右目上のまぶたをざっくりカットするなど、これまで向かうところ敵なしだった井上尚弥にかなりのダメージを与え、その実力を見せつけた。
井上のKO勝利と予測していたファンは多かったと思うが(実は僕もそう思っていた)、井上の勝利は下馬評通りだったかもしれないが、ドネアの強さを改めて痛感した試合でもあったと言えるだろう。逆に言えば現在肉体的・年齢的にはピークを全盛期を迎えつつある井上に対して、ピークはとうに過ぎていると思われたドネアがこれだけ戦えることに驚きを覚え、もしこれが互いに全盛時での試合だったら勝敗は逆になっていたかもと思ったファンも多かったのではないか。
(年齢からくる衰えを指摘されることが多くなっていたドネアだが、井上戦での善戦に気を良くしたのか、階級を上げて現役を続行する意欲を見せている)

とはいえ、井上の勝利は紛れもない偉業。
カネロやロマチェンコらに並ぶ、大金を稼げるスーパースターへの道において、一歩駒を進めたと言っていいだろう。
ロマチェンコもカネロもかなりのイケメン。井上もまた端正な顔立ちと、洗練されたテクニックと倒し屋ならではの凄みを兼ね備えるスタイリッシュなボクサーだ。スーパースター候補として必要な要素をちゃんと有していると言える。
(ちなみに村田諒太もイケメンぶりと、スターとして不可欠なトークのうまさを持っている=頭が良いボクサーなのだが、ボクシングスタイルそのものは井上尚弥の洗練度に比べると、だいぶ落ちる、だから強さでもってスターの地位に留まれるかもしれないが、世界のファンからの支持は井上には勝てない、というのが僕の印象だ)

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画像: WBSSバンタム級決勝(井上尚弥vsノニト・ドネア)は井上が競り勝ち

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。dino.network発行人。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

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