哀しい終わりしかない作品だが、絶望に打ちひしがれはしない
核戦争もしくは恒常的な自然破壊のせいなのか、地球は全世界的に汚染され 生命体が棲める環境ではなくなっていた。ジョージ・クルーニー扮するオーガスティン・ロフトハウス博士は1人北極に残り、地球への帰還を目指す宇宙探索艇アイテルにその哀しい事実を伝えようと努力する。
アイテルとそのクルー(乗組員)たちは、人類が移住可能な惑星を探すミッションを課せられていたのだが、地球には既に彼らを無事着陸させられる科学的な設備もなく、無理に戻ってきても死を待つばかりになってしまうからだ。
本作は、滅びゆく地球を捨ててでも生き残りを考える道が良いか、それとも家族と共に 生まれ出た世界と運命をともにするか、という究極の選択がテーマになっているが、同時にどんなことがあっても、例え自分自身が逃れようのない悲惨な結末に陥ったとしても、愛する人を守りたいと考える、その方法があるのなら絶対にその途を選択するであろう人間の利他的な想いをテーマにしている。
待ち構えているのは、辛く哀しい運命だけなのだが、そんな最期を前にしても自分の運命を自分で選ぶことができる、選択の自由を許された人間を主人公に据えているおかげで、後味の悪い暗さを感じなくて済む。
真夜中に見上げる空はきっと暗いままだが、そこにはきっと無数の星(ひかり)が存在する。そんな微かな希望を信じられる(ような気がする)作品になっている。
小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。
ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。