元特殊部隊レンジャーがCIAスパイに転職したもののミッションに失敗し、ある母子家庭の監視に回される。しかし、その母娘が核兵器の設計図の争奪戦に巻き込まれてしまう。
元プロレスラーのデイヴ・バウティスタ主演のアクションコメディ。

マッチョと少女の触れ合いを描いたハートフルコメディ

主人公のスパイを演じるのはプロレスラーから転じて俳優となったデイヴ・バウティスタ。

作中では、部下を死なせてしまったトラウマから、CIAのスパイへと転じたものの、荒事には慣れているがスパイならではの潜入捜査には失敗して、一線を外されてしまう男を演じている。
(代わりに命じられたのが、小型核兵器の設計図を盗み出そうとしているテロリストが接触する可能性がある、彼の義姉と 彼女の9歳の娘の監視だ)

元プロレスラーの俳優といえば、やはりザ・ロックことドウェイン・ジョンソンが思い浮かぶが、その彼を追随する転職者の中では比較的成功しているのがデイヴ・バウティスタ。
アベンジャーズ・シリーズの人気映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」や「007スペクター」などへの出演を果たしているので、日本での知名度はそれほど高くはないもののスターの仲間入りしていると言っていいだろう。

その彼が主演を務めているのが、この『MYスパイ』。ポスターを見ればわかるように、日本でも大ヒットしたブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーのスパイアクション「Mr.&Mrs.スミス」をややパクリしているが、内容的にはスタローンやシュワルツェネッガーら筋肉スターたちがたどった途の踏襲で、マッチョ ミーツ ア ガール、彼らが子供(たいていは女の子)との交流を経て人間らしさを取り戻していく過程を描いた、ドタバタアクションコメディだ。

本作では、監視対象の9歳の少女に ミッションがバレてしまい、それをネタにゆすられることになる“ドジ”なスパイ(バウティスタ)が、少女に保護者的な愛情を感じるようになっていくうえに、その母親を女として愛し始めてしまうという伏線と、その母子にテロリストの魔の手が忍び寄る、スパイ映画らしい展開が小気味よく描かれている。

コロナ禍の最中に公開された作品

本作は2020年に公開予定されたものの新型コロナウイルス感染症流行のおかげで、Amazonプライムでの配信オンリーとなった(つまり全米では劇場未公開となった)作品だ。

内容的には、前述のように“カリスマ的アクションスターと可愛い子供のタッグ”という方程式で作られており、その設定は凡庸で、あくまでB級娯楽作品ではあるのだが、出来そのものは悪くない。

仮にバウティスタではなくてロック様を配役していたとしても成立するし、その方が大作ぽくなったような気がしないでもないが、バウティスタの演技も悪くはない。

また、少女役のクリステン・シャールも、彼女が演じるソフィという少女の設定も、それなりに自然で受け入れられるものだった。
敢えてこの作品を(危険を冒して?)ウイルスが蔓延しているかもしれない劇場に観に行くことはないかもしれないが、それでも観て損した、という気分にはならない、なかなかに楽しい作品である。

映画の出来自体には関係がないがドウェイン・ジョンソンが主人公を演じていたならば(バウティスタ以上に主人公を好演できるかどうかは不明、というよりバウティスタがなかなかに良かったが)少なくともマーケティング的には追い風になっただろうから、米国でも配信オンリーにはならなかったのではないか?と思わざるを得ない。

ただ、(繰り返すが)バウティスタの名誉のために言っておくと、映画の出来そのものは、バウティスタは期待された以上に頑張ったと思うし、他の もっと知名度のあるアクションスターを持ってきたとしても、現作品より面白くなることはない気がする。つまり、これはこれで良い、と思えるし、お勧めできる一本であるのだ。

画像: 『マイ・スパイ』プロレスラー→俳優に転身したデイヴ・バウティスタが元特殊部隊のレンジャー→スパイの転身を演じる

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

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