【案内人】
銀座菊水でシガーの仕入れを担当している伊藤冬樹氏。シガーへの造詣が深く、吸い方はもちろん、シガー選びの相談にも乗ってくれる。「愉しみ方は人それぞれ。決まりはありません。まずは気軽にはじめてみてください」
シガーに必要なのは“余裕”
シガー(葉巻)は、文字通り煙草の葉を筒状に巻いたもの。シガレット(紙巻タバコ)とは違い、口腔喫煙により味・香りを愉しむ嗜好品である。
ゆっくりと煙を吸い込むことで、煙の温度が低温に保たれ、葉を焼かない「クールスモーキング」が可能になる。これにより辛味の発生を抑えシガー本来の味を愉しむことができるのだ。
シガレットの喫煙時間が5分程度なのに対し、シガーは40分〜1時間、太く大きなものになると2時間は吸うことができる。そのため、街中の喫煙所で一服……というものではなく、シガーを愉しむための時間や、香りを愉しむための空間作りといった“余裕”が必要になる。
シガーを愉しむベースをつくる
シガーを試してみたいという方に伊藤氏がまず勧めるのはベース作り。
「シガーをこれまで口にしたことがない人に、これが有名です、これが美味しいですと勧めても、脳や舌に味のベースがないのでピンときませんよね。そこでまずは手軽に吸えるシガリロで、シガーというものがどんなものか感じて欲しいんです」
スペイン語で「小さな葉巻」を意味するシガリロ。箱から出してシガレット感覚で吸えるため、シガーの味を知るのには最適。
口に合うシガーを探す
自分の中にベースができたら、本来のシガーを愉しみたい。
「シガーで最高峰とされるのはキューバ産です。しかし、ほかにもニカラグア、ドミニカ、ホンジュラス、ブラジル、コスタリカ……など、産地毎にシガーの表情が違います。どれが美味しいのか?は人それぞれ。まずはいろいろな産地のシガーを吸ってみてください」
とはいえ、シガーは温度や湿度によって味が変わってしまうもの。一度にたくさんのシガーを購入しても保管できるヒュミドール(常時保湿器)がないと、愉しむ前に味が損なわれてしまう。
そこで、伊藤氏が勧めるのは、産地の違うシガーを2本ずつ“喫味”を忘れないうちに吸うこと。2本であれば長期的な保管も必要ないため、本来の味を愉しみながら比べることができるだろう。もし一時的な保管が必要であれば、冷蔵庫の野菜室などに入れておくことをオススメする。