──そんなトライアスロンが多くの経営者やビシネスマンに選ばれている理由は?
アスロニアのスクールにも多くの経営者の方が参加しています。チャレンジ精神が人一倍旺盛な彼らは、周りから大変そうと思われることをいかに克服してクリアしていくか、ということを自分に課題として課すバイタリティー溢れる方たちが多いと思います。
また、マネジメント能力が非常に高く、練習時間をどう捻出するか、効率よく体を絞るにはどんな食生活が良いか貪欲に追求しています。何をどのように揃えたらゴールにたどり着けるかを日々意識して考えることは、組織の中で多くの社員を取りまとめる上でも参考になり、仕事面でも役に立つことがあるのではと思います。
相当な精神力が必要となるトライアスロンは、一見過酷で疲れるイメージではありますが、そこから得られることは非常に多く、人生が豊かになります。経営者の方自身も、トライアスロンをやることで自然と心に余裕ができ、自信に溢れ、魅力的にも見える、そういった点も大きな動機になっていると思います。そのような努力をしている経営者の方は、やっぱりかっこいいと思います。
──日々激務をこなしていく中でどのようなトレーニングをしたら良いか?
トライアスロンと言ってもレースの体形が様々で、短い距離から長い距離までざまざまあります。長いレースに出場するにはしっかりとした練習時間を捻出する必要がありますが、大会で採用されているオリンピックディスタンス(またはスタンダードディスタンス)に挑戦するようであれば、週3〜4回程度の練習ができれば完走は十分に可能だと思います。
決して毎日2〜3時間練習を行うのではなく、30分程のトレーニングをこまめにやり、まとまった時間が取れたときに種目を掛け合わせての練習をするよう、日々時間を捻出することが効果的です。短い時間でできるトレーニングもあるため、まずは1日30分時間が取れれば十分確保できていると思います。徐々に負荷を高めていき、3時間動き続けられる身体作りをすることが重要です。
トライアスロンは、まずタイムより3種目をやりきることが大切です。日常で走ることのない距離を完走して、景色を見る余裕があるくらいの気持ちで楽しんでもらうことがベースになるのでは、と思います。
朝6時からスタート。ビジネスマンの1日がはじまる
──スクールでは朝6時からトレーニングをされているという。この時間に実施される理由は?
スクールに参加されている方の多くが30〜50代のフルタイムワーカーのため、仕事前にトレーニングをされます。プールで泳ぎ、体を目覚めさせ一日を始めるという意味でも出勤前にトレーニングをされる方が多いです。仕事終わりだとどうしても時間が捻出できたりできなかったりと、日によってバラつきが生じてしまうと思います。そのため、練習時間を朝にすることでタイミングよく時間が作りやすく、朝に習慣を持つことは、食生活やライフスタイルの見直しに繋がり、目覚めや寝つきが良くなったり生活サイクルそのものが朝方にシフトしていくという効果もあるのです。
──実際のレースを想定した、特別な練習や体づくりなどは?
自然相手に対応できるような練習ついては、湘南・鎌倉などの海で実際に泳ぐオープンウォータースイムを実施しています。この練習ではウェットスーツを着用し、個々のレベルに合わせて泳ぐ練習をしています。プールとは異なる波やうねりがある違う環境でトレーニングをすることで、実践経験を積むことに繋がります。
──トライアスロンを長く続けている方はどんな人か?ベテランアスリートとは?
トライアスロンをやらなきゃいけないという意識ではなく、スイム・ラン・バイクそれぞれをスポーツとして楽しみ自分の生活にうまく習慣として身に付いている方が多いと思います。トライアスロンは、ライフスタイルに当たり前に溶け込むことで、生涯スポーツとして楽しめるスポーツであり、自然を相手にするスポーツなので季節の移ろいも感じることができるのです。最も高齢の方で、稲田弘さんという世界記録保持者の方が年齢が86歳。3.8km泳ぎ、180kmバイクで漕ぎ、フルマラソンを走るまさに鉄人です。トライアスロンは、生活のひとつになっていれば、一生楽しむことができる素晴らしいスポーツなのです。
──これからトライアスロンに挑戦したい人に向けた言葉をお願いします。
トライアスロンは思っている以上に始めやすいスポーツです。マラソンを始めるような感覚で気軽に始めることができ、自然を感じながら得られる達成感は本当にひとしおです。その後見えてくる景色が違って見えるようになり、自分自身の見た目にも変化が生じてきます。その変化が自分でも感じることができ、とにかく自信がつくスポーツです。自分に自信が持てない人、最近元気がないなと感じている人にぜひチャレンジしてもらいたいです。
トライアスロンに挑戦している人は、国内だけではなく、海外にてアイアンマンやロングレースの大会に挑戦している人も多いとのこと。トライアスロンは、過酷な課題を自らに課し、マネジメント能力を日々のトレーニングに置き換えることで、自分自身の成長や精神面の見直しに繋げることができる。身体と精神を鍛えながら、“自信”と“魅力”を向上させ、タフであり続けることが多くの挑戦者を惹きつける理由なのではないだろうか。