出版社からゴルフ専門メディアカンパニーへ
時代のニーズを敏感にキャッチし、週刊・月刊という2つの出版形態でゴルフファンの心を掴んで離さないスポーツ誌『ゴルフダイジェスト』。その出版事業を軸に、ゴルフ場関連事業、国内外へのゴルフツアーの企画・運営など、さまざまな事業展開をしているのがゴルフダイジェスト社だ。
なかでもコンテンツ制作能力を活かしたWebメディア運営には積極的で、自社のみならず他企業のオウンドメディア運営も行うなど幅広い展開を見せている。今や同社は出版社という枠を超え、ゴルフ専門メディアカンパニーへと急成長しているのだ。
今回お話を伺ったのは、ゴルフダイジェスト社ビジネスプロデュース部に所属する高松章男さんと池田友香さん。
お二人が運営しているのは、トヨタファイナンス系列の「TS CUBIC CARD ゴルファーズ倶楽部」と「LEXUS CARD GOLFERS SALON」、そして、ゴルフダイジェスト社主催の大会サイトである「SRIXON CUP ゴルフダイジェスト2020 全日本ダブルスゴルフ選手権」の3つである。
・TS CUBIC CARD ゴルファーズ倶楽部
オリジナルレッスン記事や、加盟店ゴルフ場紹介と優待の案内、スペシャルツアーなど、TS CUBICカード会員向けのコンテンツを展開している。
・LEXUS CARD GOLFERS SALON
レクサスカード会員向けに、全国の特約店ゴルフ場やプレミアムツアー、プレミアムグッズの紹介、プロによるオリジナルレッスン記事、エッセイなどを展開している。
・SRIXON CUP ゴルフダイジェスト2020 全日本ダブルスゴルフ選手権
2020年2月にオープンしたゴルフダイジェスト社が主催する大会の総合情報サイト。概要、開催スケジュール、コース情報、成績など大会に関する情報を発信している。
形態の異なるこの3つのサイトでは、リボルバーが開発・提供しているパブリッシングプラットフォーム「dino」が採用されている。ここからは、ゴルフダイジェスト社が「dino」をどのように活用しているのか、同社のWebメディア事業を基に紹介していこう。
──3つのメディアを立ち上げるまでの経緯をお聞かせください。
高松さん
TS CUBIC CARD・LEXUS CARDは、トヨタファイナンス株式会社が発行するクレジットカードで、前者が一般向け、後者がレクサスオーナー向けとなっています。
なんでクレジットカードとゴルフが結びつくの?と思う方もいらっしゃると思いますが、実はトヨタファイナンスではカード会員様に向けた会報誌を発行していて、そこにゴルフの情報があるんです。
そうした関係もあって、カード会員様向けのゴルフレッスンイベントを当社で開催したことがあるんですね。そのときの評判が非常に良かったこと、会員様のゴルフに関する興味関心が高いことを受け、「カード会員様向けに、ゴルフに特化したWebサイトを立ち上げてみては?」と提案したのがきっかけです。
高松 章男
1962年東京都生まれ。1985年にゴルフダイジェスト社に入社。広告・編集・事業等の主要部門を経験し、現在はビジネスプロデュース部・エグゼクティブプロデュ―サーとして新規事業に取り組む。年間約1万人が参加するゴルフイベントの企画・運営や日本で最大規模のジュニアゴルフ大会「ゴルフダイジェスト・ジャパンジュニアカップ」実行委員長も務める。
池田さん
当社が主催している「全日本ダブルスゴルフ選手権」は、2000年より毎年開催してまいりました。ただ、リアルタイムで大会の情報を発信する場というのがずっとなかったんです。大会結果の速報やコースの情報などを随時発信できたらもっと大会も盛り上がるだろう……そんな思いから2020年2月に「dino」を活用してサイトを立ち上げました。
池田 友香
約10年間オーストラリアでホテルやゴルフ関連の仕事をし、プロゴルフトーナメント運営、日本のゴルフTVロケに携わる。2001年にゴルフダイジェスト社に入社し、「マスターズ」をはじめとするカレンダー製作やイベント運営を担当。マスターズトーナメント取材歴は8回。2012年にオンラインショップ「ゴルフポケット」を立ち上げ、商品開発にも尽力。2018年からカレンダー事業の制作と営業を統括。「TS CUBIC CARDゴルファーズ倶楽部」「レクサスカード・ゴルファーズサロン」のサイト編集も兼任し、2020年には「全日本ダブルスゴルフ選手権」公式HPをLaunch。
思い描くメディア作りにリボルバーのサポートが貢献
──各メディアの特徴や運営で苦労された点などを教えてください。
高松さん
カード系の2サイトでは、カード会員様の特性に合わせた情報を幅広く公開しています。
TS CUBIC CARD ゴルファーズ倶楽部では、これからゴルフをはじめたい子供達を応援する企画、プロによるレッスンコラムなど、初心者〜上級者問わない万人向けの情報を。
LEXUS CARD GOLFERS SALONでは、メディアを通して実際にプロを招いたラウンドレッスンを行ったり、高級ゴルフ商材を紹介したり、カード特約店でもある全国のゴルフコースをリスト化し紹介したりしています。
もちろんカード会員様以外が見ても、有意義な情報が集まったサイトになっているかと思います。
池田さん
どちらのサイトもゴルフ情報を発信する場としてだけでなく、ツアーやレッスンなどリアルイベントへの発展を考え、カード会員様向けのゴルフツアー企画なども展開しています。Webとリアルを融合させたメディア、そんなサイトを意識して運営しています。
池田さん
運営で大変だったのは、カード特約店のゴルフ場を紹介する「ゴルフコース探訪」という企画の【絞り込み検索】作りですね。カード特約店は47都道府県すべてにあるわけではないのですが、新規で増える場合もあるため、裏では全都道府県のデータを用意してあるんです。
それを記事に紐付けたり、都道府県だけでなく関東エリア、近畿エリアといった複数県のエリア表示にも対応させたり……全部手作業で行っているのでとにかく大変でした。
細かいところはリボルバーさんにアドバイスをもらい作り上げて、今ではかなりユーザビリティのいいものができたと自負しています(笑)
高松さん
全日本ダブルスゴルフ選手権サイトはオープンしてからよりも、立ち上げるまでがてんやわんやでしたね。
池田さん
そうそう(笑)。サイトの立ち上げスタッフには紙もWebも関係なくいろんなスタッフが集結したんです。高松や私はこれまでいろいろなメディアに関わってきたのでWebへの理解度も高いのですが、他スタッフはそうではなくて……。
これまで当社で展開しているメディアのCMSにはリボルバーの「dino」を使ってきましたが、このとき集まったスタッフは「CMS」って?「dino」って?とハテナだらけの状態でした。サイト設計をするにしても、何ができて何ができないのかすら分からないためアイデアを出すこともできない。
じゃあどうしたかというと、今後の運営を考えて、「まずは自分たちでdinoをいじりながら覚えていこう!」ということになったんです。
グローバルメニューはどうしようか、サイドカラムには何を持ってこようか、導線はどう構築しようか……私たちが教えられることは教えて、分からないことはリボルバーさんに聞いて。
思い描くサイトの設計図が全員見えたタイミングでリボルバーさんに構築はお願いしましたが、それぞれの長所を活かしつつ短所は実際の経験で補い、ついに完成したのが今年の2月。おかげさまでスタッフの基礎知識はバッチリですよ(笑)
高松さん
そういう意味では、最初から最後まで手作りのサイトという感じで非常に愛着がありますね。
手前味噌で恐縮ですが、大会の情報をタイムリーに入手できて参加者も良し、会場となるコース紹介もできてゴルフ場さんも良し、大会の紹介もできるので協賛いただいているダンロップさんも良しと、三方良しなサイトができたと思っています。
ただ、ようやく立ち上げたものの、オープンした直後からこのコロナ禍でね……。本当なら今頃(2020年8月現在)は大会も佳境なんですが、中止続きで今年は開催数も縮小されてしまいました。でもこんな状況ですから仕方ありません。いまは耐えつつ、またみんなが安心してゴルフを楽しめるようになるのを願うばかりです。