スーパーカーでありながらツアラーとしての才能も光るマクラーレン720Sスパイダーと、スポーツクルーザーでありながら最新技術で快適性も追求したというヤマハSR310X。快適かつゴージャスなふたつのスーパースポーツモデルで、陸と海を「征服」してみた。(文:大谷達也 写真:永元秀和、小平 寛)

本記事はモーターマガジン 2019年9月号にて特集された記事のWeb版です

※記事内の価格は2019年9月のものです。

晴れた日はスーパーカーでスポーツボートに乗りに行く

奇跡の競演きっかけは、モーターマガジン編集部の面々と「マクラーレン720Sでどこか遠くに出かけたいね」と夢見るように語り合っていたことにある。モーターマガジン誌7月号のスポーツカー特集で我々はマクラーレン570Sスパイダーを借り出し、往復600kmのロングツーリングとサーキット走行を堪能した。そこで570Sは、高速道路で傑出したグランドツアラー性を発揮しただけでなく、サーキットでは圧倒的なボディ剛性と軽快なハンドリングを示して取材陣を驚かせたのである。

(570S 記事リンク設置)

このとき、何人かのスタッフが口にしたのが「スポーツシリーズの570Sでさえこれほど爽快なのだから、ひとクラス上のスーパーシリーズに属する720Sはいったいどんな喜びをもたらしてくれるのだろうか?」という疑問であり期待だった。ここから720Sでロングツーリングに出かけるアイデアが浮上したのだが、問題はどこでなにをするか。

そこで数名でさらに議論するうちに夢はどんどん広がり、ついに私が「小型船舶免許はずいぶん前に取ったけれど、最近ちっとも活用していないので、たまにはボートに乗りたい」と口走った提案に居合わせた全員が賛同。

さらに、ボートの試乗についてヤマハ発動機の協力が得られたことからトントン拍子に企画は進展し、気がつけば、うっとおしい空模様が続く梅雨の合間に恵まれた青空の下、私と編集長のふたりで720Sスパイダーを駆り、ヤマハマリーナ沼津に向けて東名高速道路を西に進んでいたという次第である。

画像: マクラーレン720S スパイダー

マクラーレン720S スパイダー

以前、570Sのことを「車速を問わずクルマが饒舌に話しかけてくる」と評した記憶があるが、それはマクラーレンの全モデルに共通する個性だ。話しかける〝声量〞や〝声のトーン〞に多少の違いはあっても、基本的に能弁であることに変わりない。その法則は、スーパーシリーズの最新モデルにももちろんあてはまる。

魔法のじゅうたん並みに快適なツーリングを実体験

画像: 早朝に出発、ちょっと遠回りをして西伊豆スカイラインを走っていった。天気は快晴。朝の空気が気持ちいい。

早朝に出発、ちょっと遠回りをして西伊豆スカイラインを走っていった。天気は快晴。朝の空気が気持ちいい。

もっとも、マクラーレン独自のアクティブサスペンション〝プロアクティブ・シャシー・コントロールII〞を装着しているおかげで、720Sの乗り心地は570Sよりもさらに快適だった。

1輪だけがバンプに乗り上げる状況では、クルマがそうなることをあらかじめ予想していたかのように、ショックを受け止める側だけが素早くスムーズにストローク。残る3輪は微動だにせず、結果的にボディは完璧にフラットな姿勢を保ったまま走り続ける。

「魔法のじゅうたんの乗り心地」はロールスロイスの常套句だが、それと同じ種類の快適性をスーパースポーツカーで実現した。

一般的にミッドシップスポーツの弱点とされる高速直進性にも不満はない。わだちのある路面でも進路が乱されることはなく、ハンドルに軽く指を添えているだけで矢のように突き進んでいく。

細かな振動まで効果的に吸収するシャシ制御のおかげで、570Sに比べると720Sのステアリングからもたらされるインフォメーションは〝軽め〞だ。それでも、路面コンディションの変化はしっかり感じ取ることができる。570Sよりもさらに洗練された感触。この点も〝上級モデル〞として当然の仕上がりといえる。

これは570Sスパイダーで出かけたときにも感じたことだが、720Sスパイダーのルーフを折り畳んで高速道路を走行してもキャビンに強く風が巻き込むことはなく、ノイズレベルは極めて低い。そしてカーボンモノコックを用いる720Sスパイダーのボディ剛性が不足しているはずもなく、前述のとおりサスペンションは正確に作動して快適な乗り心地と優れた直進性を実現する。

おかげで片道150kmほどのドライブはまさにあっという間。「もうちょっと走りたかったなあ」という軽い物足りなさとともに、720Sはヤマハマリーナ沼津の敷地に吸い込まれていった。

画像: マクラーレンとしてはおなじみのディヘドラルドア。だが、狭い駐車スペースでの開閉性に配慮した工夫も。

マクラーレンとしてはおなじみのディヘドラルドア。だが、狭い駐車スペースでの開閉性に配慮した工夫も。

720Sのボディカラーはなんともいえない深みをたたえたブルーメタリック。その鮮やかな塗色が、さんさんと陽光の降り注ぐ駿河湾の海の青と微妙な〝化学反応〞を起こし、お互いの青を引き立て合っているかのようだった。

そこに現れたのがヤマハのクルーザー〝SR310X〞……

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