アクティブノイズキャンセリング機能と外部音取込機能を備えた、第三世代のAirPods、AirPods Pro。うどんと揶揄されるデザインは踏襲しつつも、第一、第二世代のモデルよりも一般に受け入れられやすい形状になっている。新製品ながら、対抗機種であるソニーのWF-1000XM3を凌駕すると言われる完成度を誇るこのモデルを早速入手した。

iPhoneユーザーなら絶対コレ

初代AirPodsから言えることだが、フルワイヤレスイヤホンとしてiPhoneユーザーなら必携(さすがソフトウェアとハードを同時設計しているだけあって、Bluetooth接続が簡単・迅速、かつほとんど、というよりほぼ音飛びがないからだ)の製品であることは言うまでもない。
Andoroidスマホでも使えるとのことだが、やはりiPhone利用を前提に設計された商品であり、逆に言えばiPhoneユーザーならAirPods以外の購入を考えるのは無駄、無理、無謀と言える。もちろん予算の都合でもっと廉価なイヤホンが欲しいと言うならしょうがないし、BeatsやBoseなどへのブランドロイアルティを貫きたかったり耳を覆うヘッドホンじゃなければ嫌だと言うなら、別の商品を選択する自由を否定したりはしないが。

ノイズキャンセリング(NC)機能に不満なし

ノイズキャンセリング(NC)といえば、僕的にはBoseがまっさきに頭に浮かぶのだが、すくなくともイヤホン、特にワイヤレスイヤホンでは最近では(冒頭にも書いた)ソニーがイケてるらしい。これまでは、AirPodsにNC機能がなかったことで、NC必須と考えるユーザーからすると比較対象する相手がおらず、ソニーを選ぶほかなかったとも言える。そして、最新モデルのWF-1000XM3 はバカ売れしているそうだ。

しかし、前項で書いたように、NC機能を備えたモデル(AirPods Pro)が登場した以上、少なくともiPhoneユーザーにとってはソニーの優位性は完全に消えたと言っていいだろう。
もちろん肝心のNC機能が不足あると言うのであれば別なのだろうが、実際に使ってみての感想では十二分に実用に足る性能を発揮していると思う。僕は残念ながらイヤホン型のNC機能を試したことがなく、あるのは(耳を覆う)イヤーカップ型=ヘッドホン、しかも2006年発売のBoseのQuiet Comfort 3(以下、QC3)を使っていた経験しかないので、正直レビュアーとしての資格がないのだが、それでもAirPods ProのNC機能の使用感は十二分に満足できるレベルと感じた。(というか、長時間飛行機に乗るときくらいしかNC機能を必要とすることはあまりないから、僕のヘッドホン・イヤホンの利用上の優先事項は、iPhoneとの接続性と音飛びのなさであり、NC機能の有無はあまり問うことがなかったのだ)

暑がりの僕は、イヤーカップ型のヘッドホンをつけていると冬でもなんだか汗ばんでくるし、首に引っ掛けているのはストリートぽくて好きだがやはり暑くて耐えられない。だから音楽を聴くならイヤホン型を選ばざるを得ず、ワイヤレスイヤホン登場以前にはShureを愛用していたのだが、AirPodsが売り出されてからはShureを捨て、AirPodsを一貫して使い続けている。だから僕にとってはAirPods Proを使う理由は同モデルがAppleの最新モデルであるということ以外は正直あまり無く、耳に引っ掛ける感じ(≒外れて脱落しやすいのだろうが、僕は落としたことがない)の従来のオープン型モデルから、カナル型への変更も特にそそるポイントではないし、NC機能の有無もそれほど重要視することはなかったのだ。(だからもしソニーのWF−1000MX3のNCの性能がAirPods Proのそれを上回っているとしてもあまり気にならないし、音質がいいとしても、マニアとはとてもいえない僕にとっては微々たる差に過ぎない・・・)

しかし、NC機能が欲しくないわけではなく、轟音での睡眠障害がジェットラグの主たる原因と知ってからは飛行機登場時にはほぼ必ずQC3をもちこんでいたから、音楽を聴くためのイヤホン+NC機能を使うためのヘッドホン、という使い分けに別段文句はなかったのである。

ちなみに、QC3の電源を入れ、NC機能を発動させると、それまで聞こえていた周囲の雑音がすっと消えて、不要な音が落ちていって静寂が降りてくるような感じがある。僕はこの”体験”が結構好きだったのだが、AirPods ProのNC機能をオンにしてもその感じはない。むしろいきなり静寂が始まる。切り替え自体が非常にデジタルで1→0の感じだ。

だが、AirPods ProのNC機能がもたらしてくれる静けさは、QC3と比べて劣ることはなく、僕の希望するレベルには十分達していて、音楽を聴きながら余計な音を拾わないでいてくれる≒ジェットラグの影響も低減してくれるならば、QC3を捨てて、これ一本でイイという気になっている。

外部音取込機能が秀逸

さて。オープン型の従来のAirPodsは、脱落しやすいという欠点以外に、外の音を拾いやすいという弱点があった。周囲の音が入ってきてしまうから騒々しい場所で音楽を聴くために音量を上げることになり、そうすると音漏れが生じたり、難聴リスクを引き起こす恐れもあった。
今回耳の穴に突っ込む形となるカナル型を採用したことと、NC機能のおかげで、外の音をかなり遮断できるので、音量を無為に上げる必要がなくなった。

ただ、反面オープン型ならば音楽を聴きながらでも、話しかけられればそれとわかるし、そのまま会話することも可能だった。カナル型にすることで、また、NC機能を使うことでその良さをスポイルすることになるわけだが、AirPods Proには外部音取込機能があってこれによってNCモード→外部音取込モードの切り替えが可能だ。(うどん上の長細い柄の部分を長押しすることですぐに切り替えすることができる!)

外部音取込機能をオンにすると、イヤホンを外している状態と全く同じ感覚で外の音を聞くことができる。これは単なるレトリックではなく、本当にイヤホンを外しているのと同じように周囲の音を聞くことができるのだ。
歩いているときや、オフィスでイヤホンを使用する時など、近づいてくる車を避けたり、同僚からの声がけに気づかないということもないだろう。耳を塞いでいるという事実が嘘のように感じられるはずなのだ。

普段使い、という意味であれば、NCモード⇄外部音取込モードの切り替えは、実に日常的な操作・動作になりそうだ。

というわけで、少なくともiPhoneユーザーならば他のブランドを使う必要性をほぼゼロにしたAirPods Pro。予算に問題なければ、そしてiPhoneで音楽や動画をみることなど絶対ないと言い切る人以外は、マストバイと言える。自信を持ってみなさんにお勧めしよう。

画像: Appleの本気〜AirPods ProはiPhoneユーザーならマストバイ

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。dino.network発行人。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

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