連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くす。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ。- dino.network編集部
5回目の大量絶滅
地球が誕生して約46億年。たくさんの生き物が誕生する一方、絶滅する生き物も多数存在し、地球にはいろんな歴史がありました。
その中でも恐竜が絶滅した約6600万年前というのは、広範囲に及ぶとてつもない影響を及ぼした時期。地球が誕生してからなんと5回目となる大量絶滅でした。(6回目だという研究者もいる)
この時期の大量絶滅では、約2億3000万年前に誕生した恐竜が絶滅してしまったという大変悲しい事件が起きました。
(と言うと誤解を招いてしまいますが、恐竜類である鳥類はまだ絶滅していないため、恐竜すべてが絶滅したわけではないのです。しかし鳥類は鳥類で75%も絶滅しています。)
モササウルスや首長竜などの海棲爬虫類や、プテラノドンなどの翼竜、アンモナイトなど、他にもたくさん!そのとき地球の動物の約75%が絶滅してしまいました。。白亜紀末、中生代終了のお知らせです。
なぜ恐竜絶滅?
火山が噴火して絶滅、伝染病で絶滅、地球外生命体からの攻撃により絶滅…などいろんな説がありますが、結局のところなぜ恐竜を滅ぼす大量絶滅事件が起こったのでしょうか。
一番有力とされているのが、『隕石衝突説』です。直径約10〜15キロメートルの隕石が、メキシコ ユカタン半島の北北西に向かって60度の角度で衝突したのです。
時速7万2000キロメートルというとてつもないスピードで落ちたと考える人がいて、そのエネルギーはなんと広島原爆の10億倍。落下地点の周辺温度は、一瞬にして1万度を超えたとか…
衝突の衝撃はマグニチュード11以上と推測され、衝突場所の多くの部分は海だったこともあり津波は300メートルという高さまで上がったそう。。
悲しい事件はまだまだ続きます。衝突により地球の表面が粉々に砕けて細かくなってチリやススになり大気中に広く舞い上がり、太陽の光は地面に届かなくなり数ヶ月〜数年間は日光が遮断され、気温がとてつもなく下がったのです。
そうなると植物が育たなくなり、次々に種が消えていきます。植物がなくなってしまうとそれを食べる植物食恐竜はごはんに困ります。植物食恐竜が減ると、それを食べる肉食恐竜もごはんに困ります。
まるで死の連鎖と言いますか、このようにして非鳥類型恐竜は絶滅していったということです。
衝突時はとても恐ろしいですが、食糧がなくなり恐竜をはじめたくさんの生き物がげっそりして困っているところを想像したら余計に悲しいですね。。
ちなみに、テレビやアニメ、博物館などで流れる恐竜モノの映像は大体隕石が衝突するシーンがあることが多いですが、「だが鳥類となって今でも生きています。」というのが絶滅シーンからのお決まりパターンだったりします。
たまにそのお決まりパターンもう見飽きたよという方もいるかもしれませんが、かなりの回数を見ているであろう生田晴香は、全く見飽きることなく毎回悲しんでおります。はい。
恐竜が絶滅してくれたおかげで哺乳類は大きくなることができ、人間という生き物も誕生してこうして生きているわけですが、もし隕石が衝突しなかったら恐竜時代は続き、もしかすると自分は恐竜として誕生することもできた…!?
…なんて、夢を見てたりしますが、恐竜になったらなったで生きるのが大変そうなので、なんだかんだでいつまでも甘やかしてくれる人間の親の子で良かったと思ってます。(笑)
しかし、条件や運かもしれませんが、生き残れた生き物はそれぞれなぜ生き残れたのか、絶滅した生き物はなぜ絶滅したのか気になりますね。
ちなみに、隕石衝突説が一番有力と言われているのには色々と証拠が発見されており、直径180キロというとてつもなく大きなクレーターも残っています。
また、中生代〜その次の新生代の境界地層(K/Pg境界)には、「イリジウム」という金属元素が発見され、そのイリジウムは宇宙に存在し、宇宙から来たことも判明しました。
2014年千葉工業大学の研究
前述した内容に加え、5回目の大量絶滅の原因には、隕石が落ちた場所に硫黄を含む地層があったことも理由のひとつとして挙げられています。
実験で再現した結果、隕石により酸性になりやすい物質が大気中に広がった可能性があったのでは?という結果に。とどのつまり、隕石衝突時に酸性雨が全地球に数日間にわたって降り続き、海洋汚染も激しかったため、より被害が大きくなったということです。
酸性雨からの日光遮断、、、長きに渡る大変な事件です。
もし隕石が場所が違かったらどうなっていたでしょうか。ススがそんなに広まることなく、酸性が発生しにくい場所に落ちたとしたら…?
2017年「Scientific Reports」に発表された論文で、なんと!「恐竜は絶滅しなかった可能性がある」という研究があります。どうやら約6600万年前の隕石は、残念ながら最も危険な場所に落ちてしまったということですね。
ではまた次回!
生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。