第92回アカデミー賞において撮影賞など3部門で受賞したものの『パラサイト 半地下の家族』に作品賞を奪われた悲劇の名作。
1917年の第一次世界大戦下のヨーロッパ戦線を舞台に、命がけのミッションに挑む2人の兵士の姿をワンカットで描き切るという斬新な撮影手法で話題に。

戦闘シーンは少ないながらも緊迫感を途切らせない斬新な手法で描かれた、第一次世界大戦の塹壕戦

1917年4月の第一次世界大戦下、英国軍のスコットフィールドとブレイクの若き2人の兵士は、最前線の味方部隊に作戦中止の命令を届けるミッションを課せられる。時間までに伝令できなければ1600人の友軍が全滅するかもしれない。しかもその味方部隊には、ブレイクの実兄が配属されていた。

2人の兵士が死の恐怖と闘いながらも、過酷な使命の遂行に挑む姿を、ワンカットで描いた斬新な作品。コリン・ファースやベネディクト・カンバーバッチなどの著名な俳優が、要所要所でカメオ出演していることでも話題になったが、重機関銃などの発達によって 20世紀初頭の戦争の一般的な形態となっていた塹壕戦の様子もリアルに描かれていて、戦車や航空戦闘機もしくはミサイルなどの近代兵器登場以前の戦争風景も、第二次世界大戦やベトナム戦争などの近代戦を見慣れた目には新鮮に映るかもしれない作品だ。

画像: 『1917 命をかけた伝令』予告 youtu.be

『1917 命をかけた伝令』予告

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ワンカットでの撮影手法は大成功、その没入感は凄まじい

本作は前述のとおり、すべてがワンカットに見える独特な撮影手法で制作された作品だ。主人公となる伝令の2人は 日本人には知名度が低い若い俳優であり、その撮影スタイルと相まって、非常にリアルで緊張感のある画になっている。撮影クルーにも役者たちにも相当に負担の多い現場であっただろうと思う。

本作は119分、つまりほぼ2時間の上映時間であり、特に長いわけでもなく短いわけでもない。それでも時間軸も視点も終始 スコットフィールドとブレイクの2人と同期しているので、その没入感は深く、息苦しくなるほどで、2時間はあっという間であるけれど同時にとてつもなく長くも感じさせられることだろう。

ストーリーとしては非常にシンプルであり、無駄死にするかもしれない味方部隊を救うために命を賭ける伝令2人が、使命を果たせるかどうか、それをひたすら追うだけの物語だ。
しかし、いい映画というのは凝ったストーリーや意外な展開によってのみ成立するわけではない。仮に結末を知っていたとしても、そして何度見ても常に同じように楽しめる、そんな映画こそが真の名画と思うが、本作はその1つとして誰かに勧める価値がある。

ぜひこの映画が実現した没入感に深く浸って、死の恐怖と向かい合いながら塹壕に篭った100年以上前の兵士たちの気分を居間にいながら共有してほしい。

画像: 『1917 命をかけた伝令』独特の撮影手法が生む凄まじい没入感

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

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