ボスに裏切られた殺し屋が、偶然命を救った少女を連れて逃亡するが・・・。
「レオン」や「Drive」を思い起こさせる、哀しい逃避行。

メキシコ湾を望む観光地ガルヴェストンを舞台とした、不幸な結末をできるだけ遠ざけようとする男女の逃避行

主人公のロイ(ベン・フォスター)はニューオリンズの犯罪組織の殺し屋。肺の病により死の恐怖に苛まれていた。
ある時彼は、ボスに依頼された仕事で待ち伏せに遭い、急死に一生を得るが、その際 現場に監禁されていた1人の娼婦ロッキー(エル・ファニング)を救い、連れ出してしまう。
ロイは自分が殺されかけたのはボスに裏切られたためだと確信し逃亡を図るのだが、同行を懇願するロッキーを突き放せず、さらにロッキーの妹までも庇護することになる。

ロイとロッキー、そして幼女が打ち解けていく様は心温まるが、いつ追手に見つけ出されるかもしれないという不安が、彼らを解放することはなく・・・。

テキサス州の実在の観光地ガルヴェストンを舞台に、太陽(希望)と波(不安)に彩られた地を漂う男女の切ない時間を描いた作品。

不幸な境遇からの脱出を願う者の必死の抵抗を切なく描いた佳作

本作の主人公ロイを演じるのはベン・フォスターだが、ライアン・ゴズリングあたりを配役しても成立すると思う。自身の死の恐怖に怯える寡黙な男が、図らずも他の誰かを護らなければという思いに駆られていく様は、ゴズリング主演の「Drive」や、「レオン」を思い起こさせる。

ヒロインのロッキーにはエル・ファニング。名子役として知られるダゴダ・ファニングの実妹だが、最近精彩を欠くダゴダに比べて「マレフィセント」などの大作の出演が続くエル・ファニングはもはや誰かの妹という肩書は意味のないものかもしれない。ファニーフェイスはあまり美人には見えないが、演技力の高さもあって非常に魅力的な女優である。
本作でも、継父の虐待から逃れて娼婦として生きる薄幸の少女役を演じているエルだが、素性の怪しい男(怪しくない殺し屋がいるわけないが)の庇護を求めざるを得ない、いわば選択肢のない必死の依存から、徐々にロイの心中にある真の優しさの存在に気づき信頼を増していく様子を、巧みに表現している。

本作は、恐らくはそれほど多くの予算を投じられたわけでもなく、メジャーな作品とは言い難いが(実際 それほど面白い映画とも緻密に構築された作品とも言えないと思うが)、それでも日の当たらない世界からの脱出を夢見る者たちの必死の抵抗を、たとえ報われないとしてもただ冷たく突き放すのではなく、刹那であっても美しく輝くものだとして描く、作り手の優しさを思わせる一本である。

画像: 『ガルヴェストン』エル・ファニング版レオンのような趣

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。dino.network発行人。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

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