あまり共通点のない2人のママ友、セレブモードのエミリーと、暮らしも見た目も庶民的なステファニー。あるときエミリーが失踪し、湖で溺死体として発見されるが、謎めいた展開を不審に思ったステファニーは真相を追って探偵まがいの行動に出る。
過去を隠して生きるミステリアスな美女エミリーを「ゴシップガール」でスターになったブレイク・ライブリー、子育ての傍らユーチューバーとして活動するステファニーを「ピッチ・パーフェクト」シリーズで人気を博したアナ・ケンドリックが演じている。

シンプル・フェイバーとは、“ささやかなお願い事”

自分の代わりに子供を迎えにいって欲しい、ママ友であるステファニーに、そんな小さな依頼をしたエミリーはそのまま失踪してしまう。エミリーは数日後、溺死体として発見させるが、彼女の死に不可解な謎があると察したステファニーは、独り真相を求めてエミリーが遺した痕跡を追い始める。

ゴーン・ガール」を思い起こさせるような設定だが、本作は謎めいたムードや背筋が冷たくなるほど関係者を追い詰めていくような展開というよりも、ポップでコミカルな作りになっているので、恋人とみていても息が詰まるようなことにはならないだろう。

男を手玉に取り、非常に利己的で計算高い美女であるエミリーに対して、ステファニーは素朴でどこにでもいるような普通の女性の感じにみえるが、実は非常に活動的で細かいところに気がつく怜悧さを持つ。
エミリーをはじめ、ステファニーの周囲の人間はみなステファニーの見た目や気軽な人となりに気を許し、ハッキリ言えばやや舐めてかかるが、実はステファニーが1番恐ろしい存在であることになかなか気づけない。

それは本作を鑑賞する我々にしても同じで、エミリーの魅力のように分かりやすい悪女感には警戒できても、ステファニーの親しみある雰囲気には簡単にガードを下げてしまうはず。してやられた後でも、そのことに気づけないかもしれないほど、に。

恋人とみても大丈夫な“軽い”作り

本作の予告動画を見る限りは、やはり「ゴーン・ガール」的な、シリアスで恐ろしげなスリラーを予見して身構えてしまうが、前述したように本作はどちらかというとポップな作りで、コメディタッチであるといえる。
その意味ではデート向きというか、カップルでみても問題ないレベルの映画で、男女のドロドロや深刻で重いメッセージはない。
オープニングやエンドロールの作り方が実話を思わせるような構成になっているが、本作は小説を原作としている、あくまでフィクション。そして、複雑怪奇な人間ドラマというより軽くて分かりやすさを狙った、ライトな作品になっている。

もちろん、重いテーマがないことは欠点ではなく、観賞後も特に気分が落ち込むようなことがない、アナ・ケンドリック映画らしい一本だと思う。

とはいえ、先述したように、1番怖いのは一見無害そうにみえる相手であることが理解できるのがこの映画だ。本作で言えば、ささやかな願いごとから生まれたひとつの事件がステファニーの才能を引き出してしまったわけだが、もしエミリーが選んだ友人がステファニーではなかったら、本当に平凡でなにもかも目に映ったままで受け入れて疑わないタイプの相手であったら、と考えてみると、ステファニーが氷山(海上に見えるのはほんの一部分であり、ほとんどの実体は海中にあるものだ)のように 実は常に避けて通るべき“脅威”だったのだということがよくわかるのである。

画像: 『シンプル・フェイバー』アナ・ケンドリックとブレイク・ライブリー競演のサスペンススリラー

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。dino.network発行人。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。
ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

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