こんにちは、恐竜おねえさん生田晴香です。デイノケイルスやテリジノサウルスみたいな手がすごく長い変わった恐竜がいる話は前にしましたが、今回はその逆です。指の本数は少なく手は短いが、後ろあしは長いという一回見たら忘れられない変わった恐竜をご紹介します。

連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くす。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ。- dino.network編集部

手が短い恐竜と言えば?

画像: 手が短い恐竜と言えば?

手が短い代表的な恐竜といえば、ティラノサウルス!大きい頭、しっかりした後ろあし…それに比べ、前あしが短いので本当に何に使ってたんだろうと、不思議で不思議で夜も眠れなくなるほど気になる恐竜ですよね。

実際に見てみないと答えはわからないのですが、切り裂いたり、立ち上がるときに体を支えるために使ったりといろいろ説はあります。

知らない人なら検索するか調べるかしてやっと寝れる状態になる…人間なら誰しも人生で一度は通る道だと思います。(決めつけた言い方しましたがこれからそれが当たり前な時代がやってくると生田晴香は願う)

ティラノサウルスみたいな獣脚類の肉食恐竜は基本的に後ろあしよりも前あしの方が短いのですが、獣脚類の中でも特に手が気になる『モノニクス』という恐竜はなんと指が1本しかないんです!!一体どういうことなのか、ご紹介していきましょう。

ぱっと見親指姫!?

画像: ぱっと見親指姫!?

学名『モノニクス・オレクラヌス』(Mononykus olecranus)

『モノニクス』に注目して欲しいのですが、「モノ」が“一本の”、「ニクス」が“爪”という意味です。

一本の爪、そのまんまですね。爪の長さは7.5センチです。

元々ネイチャーでMononychus olecranusとして論文が掲載されていましたが、昆虫で既にその名前が使われていたのでモノニクスの『ク』の部分「ch」を「k」に変えて、科学的命名法のルールに基づき名前が決定されました。

そう、この世には各種唯一無二の名前を付けなければいけないルールがあるのです。綴りが違えばOKなので、決めたいと思った名前が他で使われていたらスペルを変えてみるというのは普通にある話なんです。

グループは、竜盤類獣脚類マニラプトル類アルバレッツサウルス科。この仲間の多くは前あしが短くぱっと見大きめな親指1本という珍しいグループで、コエルロサウルス類から進化した一種です。

首や後ろあしがほっそり美しくスマートな見た目をしていますね。踵から先も長いです。後ろ足が長く、早く走れたでしょう。前あしはちょこんと太めな爪がありそれは鉤爪になっていますね。

頭からしっぽまでの全長は約90センチ。肉食で昆虫など食べていたと思われています。モンゴル、メネグト層で発見されました。

ジュラ紀の中国にアルバレッツサウルスの仲間で『ハプロケイルス』という最も原始的な恐竜が生息していたのですが、その子は3本指です。

そして、モノニクスと同じモンゴルで時代は中生代白亜紀後期ですが、モノニクスより少し昔の砂漠に生息していた『シュブウイア』というモンゴルの恐竜は、ぱっと見1本指しかないかと思いきやよく調べてみると実は小さくプラス2本指があることがわかりました。とどのつまりよく見たら合計3本指だったのです。

進化の過程でもしかしたら親指以外は退化していいと他の2本の指は小さくなったのでしょうか…実はアルバレッツサウルスやモノニクスもぱっと見は親指の1本しかなくても実は3本指だったのかもしれません。

どのように前あしを動かしていたのかは、上腕を横に広げて前あしを立てて手のひらを下に向けほとんどは上下にしか動かせなかったのではないかと考えられます。

あるのかないのかわからないような、なのに特徴的な前あしですが、モノニクスの短い手は何に使っていたと思いますか?獲物を親指で刺したり掴んだりしていたのでしょうか。

これもまた気になって気になって夜も眠れない日がやってきそうです。やはり好きだと気になってしまうもの。

そうそう、モノニクスには鳥類の特徴である竜骨突起(胸の骨)があるのです。シュブウイアが羽毛恐竜なので、もしかしたらモノニクスも羽毛が生えていたかもしれません。

前あしは一体何に…?

前あしは短いながらも頑丈でしっかりとがっしりしています。どうやらアリクイやセンザンコウというほにゅうるいみたいに、昆虫の巣を解体していた説が有力なんです!

アリづかや木をほじくって中の昆虫を食べていたのではないかと考えられています。

一般的にはそう考えられていてどの図鑑にも書かれていますがほんとのところはどうなんでしょう…

神のみぞ知る世界ですね。白亜紀のいろんな時代と地域に行って確かめてみたいものです。

まぁ昆虫は苦手なんですけどね。恐竜を知れるためならなんのそのです。昆虫の餌を恐竜にあげられたりできたとしたら喜んでやりましょう。これほど贅沢なことはありませんからね。

画像: ポケモンのモンスターボールで捕まえられればいいのに…

ポケモンのモンスターボールで捕まえられればいいのに…

まとめ

一つの爪を持つ恐竜『モノニクス』いかがだったでしょうか。長い足に小顔、羨ましいですね。

恐竜は全てが美しく、変わってる恐竜ですら美しいとか最高すぎますね。

画像: まとめ

どうしても日本で展示されているところが見たい方は、群馬県にある「恐竜センター」に展示(レプリカかも?)されているので、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。

恐竜センターは、モンゴルの恐竜がたくさん展示されていてとてつもなく素晴らしいところなのでオススメです!

ではまた次回!

画像: 一本爪の肉食恐竜『モノニクス』が気になる!

生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。

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前回の「生田晴香、恐竜と生きる」はこちら

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