実話を基にした脱獄ストーリーの頂点
アンリ・シャリエールの実体験を基に書かれたという自伝的小説をベースとした作品。
1930年代初頭のフランス。
胸にいれた蝶の刺青から、パピヨン(又はパピ)の愛称で呼ばれることになる主人公アンリ・シャリエールは、パリの暗黒街で金庫破りを生業としていたが、殺人の罪を着せられ、フランス領ギアナの徒刑地での終身刑を言い渡される。
彼は自由を求めて脱獄を決意するも、その資金がない。そこで同じ囚人仲間であり、肛門に大金を隠し持っていると噂される偽札職人ドガに接近し、ドガの用心棒を引き受ける代わりに脱獄資金を得るのだが、やがて2人の間に奇妙な友情が生まれていく。
20世紀中盤まで運営されていたとされる、実在の監獄を舞台とした脱獄囚たちの過酷な挑戦の模様を描いた、脱獄映画の頂点『パピヨン』(1973年公開)のリメイク版。
ちなみに、本作ではオリジナル版にはない、パピヨンの逮捕前夜での恋人との逢瀬が描かれているが、この恋人役を務めたイヴ・ヒューソンは、ロックバンド「U2」のボノの次女だそうだ(余談)。
脱獄劇に絡む、2人の男の友情物語
『パピヨン』と聞けばスティーブ・マックイーンを思い出す人が多いと思うが、本作を観るにあたって1973年版を改めて観たり、比較対象とする必要は全くない。単独の作品として純粋に楽しめば良いと思う。
主人公のパピヨンは、濡れ衣を着せられて?ギアナに流刑となるが、不自由な牢獄生活に甘んじることなく、どんなに困難であろうとも脱獄して自由の身になろうとあがく。本来 冷静で計算高い性格であろうドガは、そんなパピヨンの、無謀なまでの自由への渇望の激しさに やや呆れながらも徐々に引き込まれていく。
パピヨンはドガの持つ“金”に興味を持ったからこそ彼に近づくわけだが、彼を脅して金を巻き上げようとするようなコスさや悪どさがない。ドガも最初こそパピヨンの真意を疑うが、金を得る代償にドガを護るという口約束を律儀に果たそうとするパピヨンの漢気を信じるようになる。その結果2人の間に、友情めいたものが生まれてくるのだが、そんな2人の気分を本作は時間軸に沿って巧みに表現できていると思う。
結論として、本作におけるハナムとマレックのコンビはよくやっていると思う。脚本も画も悪くない。時代に合っているかどうかは別にして、エンターテインメントとしては上等な仕上がりになっていると感じる。
ちなみに、ハナムといえば「サンズ・オブ・アナーキー」!というコアファンには、ほんのワンシーンだが、「お♡」と萌えちゃうシーンがあるので、お楽しみに。
小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。
ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。