シリアスな展開ながら、100%ポップで陽気なドタバタスパイアクション。
ただの一般人?が、米国を揺るがす超極秘機密の奪い合いに巻き込まれて?
本作は、基本的に主人公のブースのひとりがたり(セルフナレーション?)によって進行する形式をとっている。
と、いうより彼の心の声がとにかくダダ漏れで、人によってはかなりうるさく感じるだろうし、何より漏れ出る言葉のほとんどは厨二病もしくはオタク臭がひどい妄想なので、聞いててうんざりしてしまうかもしれない。
ストーリーは比較的明確。
主人公のブースはシューティングアクションゲームの開発者。新作発表のためニュー・メキシコに向かうつもりが、彼を極秘データの運び屋に仕立てようとする極悪人によってデータ(ブツ)とともになぜかメキシコのアカプルコに飛ばされる。
そして、彼はそのデータを受け取ろう、もしくは奪い取ろう、或いはそれを阻止しようとするなど、さまざまな思惑を持つ組織に狙われ、追い回される羽目になるのである。
(ちなみに主人公のブースを演じるマイク・キングスベイカーの顔は、どことなくライアン・レイノルズに似ている?)
何人も死ぬけれどポップさを失わない作品
本作はアクション作品ではあるけれど、基本的にコメディタッチであり、ポップさを失うことがない。主人公のブースのひとりがたりで進行することもあり、彼が平静を失わず、危機に陥ってもまるでゲームの中にいるように ヘタレではあってもほとんど深刻になることがないためだ。
だから、本作を誰とみても特に問題はないし、気まずくなったり子供に見せられないようなハードなシーンが続くこともない。人を簡単に殺せるような人物が数多く登場するが、とにかく全体として軽い感じに描かれているから、誰と見ても安心なライトな作りであると言っておく。
もちろん、ただのゲーム開発者として、自分が突如悪意の塊のような連中から命を狙われる羽目になった事態に対して、我がこととして受け止められないということはあるだろう。
しかし、僕はもしかしたら、彼はホンモノのスパイ(しかも超一流のスパイ)だったのでは?という、かなりうがった目で本作を捉えている。作中、彼が「お前は何者だ?」と問われて「国際警察(インターポール)の捜査官だ!」と叫ぶシーンがあるのだが、作中誰もそれを信じないし、まともに取り上げない。というより、本作を観たと思われる者の ネット上に散乱する多くの感想にもこのシーンに引っ掛かりを感じた人の話はない。だから、単にオタク主人公がデタラメを叫んだにすぎないのだろうが、僕はなんとなくこのセリフ、案外マジかも?と思ったりするのだ。
そうでなければ、銃弾飛び交う中で、ただのゲームオタクがしれっと生き残れる?
パニックにならずに最後まで正気を保てる?
自分なら事態を理解した瞬間に大パニックだろうし、そもそも自分を運び屋にしようなんて考えるヤバい誰かと親交を持ったりしない。その時点で、この人、何か目的を持ってそんなヤバい事件に巻き込まれようと自ら仕向けていたのでは??と勘繰ってしまうのである。
ちなみに、本作では主人公を助け護るCIAの腕利き捜査官アドリアナという美女?が登場し、重要な役目を果たすのだが、スーパーナイスボディの美女という設定を受け入れることができず困った。というのも正直僕のタイプではなく、最後まで ハマることができなかったのだ。まあ、それこそ人それぞれ、なのだろうが。
本作はB級映画そのものだろうと思うが、案外 共演する俳優にはそこそこ有名というか名前や顔を知っている人たちが出てくる。ならば、このアドリアナ役にももう少しお金を使って欲しかったなあ、僕は思ったりするのである。
小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。dino.network発行人。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。
ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。