こんにちは、恐竜おねえさんこと生田晴香です。日本の恐竜王国といえば福井と北海道が有名ですが、なんと兵庫県から新属新種の恐竜が発見され、その研究成果が2021年4月27日付でイギリスの学術誌に掲載されました。特に名前が神がかっていて、日本人なら絶対に覚えておくべき(むしろ知らないとか罰当たりになり得る?)恐竜なのでご紹介します。

連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くす。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ。- dino.network編集部

岸本さんの発見

2004年5月2日、姫路市に住む化石愛好家の岸本眞五さんは、淡路島の州本市内に露出した和泉層群北阿万層(白亜紀後期、カンパニアン期の時代)の化石調査を行っていました。

和泉層群からはアンモナイトや海棲爬虫類、甲殻類などの化石が産出されることで有名です。

岸本さんは、高校生の頃から化石を探し回っている人間なのですが、今回もアンモナイトを探そうと調査に行ったところなんと!恐竜の下顎と歯を見事発見したわけです。(拍手)

好きなことを続けていれば夢は叶う…感動ですね、ええ。

発見した歯は、デンタルバッテリー(小さな歯が何層にも重なっておろし器のような形状をしたもの)の構造でした。

デンタルバッテリー構造を持つ恐竜で挙げられるのが、ハドロサウルス科。カモノハシのようなクチバシを持ち、たくさんの小さな歯が隙間なく縦横に並び常に新しい歯が生える仕組みとなっています。

画像: カモノハシ竜たち

カモノハシ竜たち

食べた植物を上下の歯ですり潰し、口を閉じると左右の下顎が内側にずれるという顎の動きが特徴的なグループです。

このデンタルバッテリーの下顎は、他の体のパーツが発見されるより恐竜のものだとわかりやすかったと思います。

そして2005年国内外の学会で、ハドロサウルス科の中でも派生したランベオサウルス亜科であると同定される、と発表されました。

再研究

その後、北海道大学総合博物館の小林快次教授と岡山理科大学の高崎竜司研究員、兵庫県立 人と自然の博物館の久保田克博研究員、米国・サザンメソジスト大学のアントニー・フィオリロ博士から成る研究グループの研究により、また新たな新事実が発覚しました。

なんと、ランベオサウルス亜科ではなく、原始的なハドロサウルス科であることがわかったのです!その理由は、他のあらゆる白亜紀後期のハドロサウルス類には見られない特徴が2つ判明したことからでした。

www.nature.com
  1. 下顎中央部における歯列の機能歯が一本しか無いことがある、歯の咬合面に Branched ridge (
    分岐稜線)と呼ばれる構造が存在しない。
  2. 固有な特徴の組み合わせ(後方に向かって緩やかに広がる歯骨の結合面と歯骨の側面、大きく腹側に面した上角骨)を持つ。

この特徴の組み合わせから、新属新種の恐竜であることが判明し、その研究成果が2021年4月27日付で学術誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載されたのです。

www.nature.com

もちろん学名も決定したのですが、その名前が神がかっていて…というかまさに神でとてつもなくかっこいいんです!

君の名は…Yamatosaurus izanagii

画像: ©️服部雅人

©️服部雅人

「ヤマトサウルス・イザナギイ(Yamatosaurus izanagii)」と命名されました。拍手!!!

国生みの島「淡路島」の恐竜でやまと…そう。

「yamato」は古代の日本やまと国家を示す「倭」を意味し、「saurus」は爬虫類、トカゲを意味します。

種小名の「izanagii」は日本神話に登場する男神「伊弉諾(イザナギ)」からで、それは名前なのでizanagiの最後に「i」をつけてイザナギイとなります。

「国生み」によって日本国土が誕生したと云われていますが、その初めの島こそがヤマトサウルスが発見された淡路島であり日本誕生の起源とも言えるのと…

ハドロサウルス科の起源にも重要な役割を持っているということで、「淡路島」と「起源」という共通するキーワードから…「伊弉諾の倭竜」という意味を持つ「ヤマトサウルス・イザナギイ」と名付けられました。

日本の神の名前が入っているなんて、かっこよすぎますね。これは日本人なら確実に覚えておかないとバチが当たるでしょう。

全身の化石が見つかったわけではありませんが、全長約8メートル、重さ約5トンと推定されています。化石の研究より、直立二足歩行していたとも考えられています。

もしかしたら北海道の「カムイサウルス・ジャポニクス」と棲み分けていたか、友達の個体もいたかもしれません。

ちなみにカムイサウルスの名前の意味は、“日本の竜の神”です。こちらも神がかってますね。素敵です。

画像: 【新種の恐竜】北海道から「むかわ竜」が発掘されました!君の名は… youtu.be

【新種の恐竜】北海道から「むかわ竜」が発掘されました!君の名は…

youtu.be

生ヤマトサウルス

見たくないですか?生で自分の目でヤマトサウルス化石を、見たいですよね?ね!ね!ね!!!

2021年5月12日~7月11日(予定)、兵庫県立 人と自然の博物館(略してひとはく)の臨時展示「ヤマトサウルス・イザナギイ~ハドロサウルス科の繁栄の鍵を握る恐竜~」にて、なんと実物の標本が展示されているのです!

画像: 生ヤマトサウルス

神ですし(名前が)、もしかして見るとご利益があるかもしれません。

画像: 下顎をエロい角度からもどうぞ

下顎をエロい角度からもどうぞ

ひとはくには他にも兵庫で発見されているタンバティタニスや他の恐竜、カワイイほにゅうるいも展示されているので、ぜひチェックしに行きましょう!

画像: ちなみに淡路島ニジゲンノモリにはゴジラがいました

ちなみに淡路島ニジゲンノモリにはゴジラがいました

では!

画像: 淡路島から“神恐竜”爆誕!その恐竜の神すぎる名前とは…?

生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。

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前回の「生田晴香、恐竜と生きる」はこちら

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