2000人のベトナム軍に取り囲まれた100人そこそこのオーストラリア軍。敵味方が入り混じる超接近戦となったロングタンの激闘を、史実に基づいて描いた作品。
画像: 6/19(金)より新宿バルト9ほか全国公開!映画『デンジャー・クロース 極限着弾』予告編 youtu.be

6/19(金)より新宿バルト9ほか全国公開!映画『デンジャー・クロース 極限着弾』予告編

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近代銃撃戦では滅多にない超接近戦に追い込まれた部隊の死闘

ベトナム戦争というと、米軍対ベトコン(南ベトナム解放民族戦線)という図式を思い浮かべ、アメリカのコンテンツという印象が強いが、この戦争に駆り出されたのはアメリカの若き兵士達だけではない。本作はアジアのジャングル戦に徴兵された、オーストラリアの若者たちが死にものぐるいで戦った、知られざる大激戦、ロングタンの戦い(1966年8月18日未明に行われた約4時間の戦闘)を描いた作品である。

南ベトナムのヌイダット地区に置かれたオーストラリア軍司令部の基地が受けた攻撃拠点の偵察に向かったハリー・スミス少佐率いるD中隊は、ロングタンのゴム園でベトナム軍の大軍と遭遇して交戦状態に陥る。

敵は2000人以上、自分達は100人そこそこ。たちまち多勢に無勢で追い込まれたD中隊は、自分たちが巻き込まれるリスクを承知で、味方部隊からの迫撃砲発射を依頼する。それは自分たちを攻撃しかねない超近距離での着弾=極限着弾(デンジャー・クロース)を意味するが、それ以外に全滅を回避する手段はない。スミス少佐はギリギリの判断を下すのだった。

派手さを廃して緊張感を持続させた演出の冴え

前述のように、ベトナム戦争を描いた映画でアメリカ軍を主体的に描いていない作品は滅多にない。オーストラリア軍人を軸に描く作品はもしかしたら他にないかもしれない。

とはいえ、本作の主人公であるハリー・スミス少佐は物語の中心人物ではあるが、決してヒロイックに描かれているわけではない。また、演じている役者も、スミス少佐役だけでなく、全体としてそれほど著名な俳優が配されているわけでもない(まあ、僕がオーストラリア映画に起用される役者をよく知らないというだけかもしれないが)。

本作の尺は118分で、長くはないが決して短くはない。内容的には非常にシンプルな作品で、流れも一本調子だから物語にひねりがあるわけでもないが、最後まで飽きずに観ていられる。配役が地味だからと言って、脚本や演出に手抜きがあるわけではないのだ。

本作の戦闘はジャングル戦だから空から攻めようにも地表は見えづらい。だから基本的に銃撃戦が中心で、変化をつけづらく、息は詰まるが非常に地道な闘いのシーンが続く。それだけに、観客を飽きさせずに緊張感を続かせるには、卓抜した演出が必要だと思う。大胆で派手な“勢い”に頼らず、見せ場をコツコツを作り続けるには、かなりの力量がいるだろうが、本作においては、それは見事に成功しているのである。

ちなみに、本作においては、登場人物達の“オーストラリア訛り”はもちろん 彼らが米国軍人でないことを示すひとつの重要な差異にはなっているが、一人一人の所作や連帯意識なども、米軍とは異なる雰囲気というか、相違を感じさせるものになっている。

それも巧みな演出の一部なのだろうと、観終わってから納得するかもしれない。

画像: 『デンジャー・クロース 極限着弾』ベトナム戦争におけるオーストラリア軍の激闘

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。dino.network発行人。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。
ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

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