タイトルのグリンゴ(GLINGO)とは、スペイン語で(本作の主たる舞台はメキシコ。メキシコの母国語はスペイン語)“アメリカ人の男(アメリカ野郎、のようなニュアンス?)”という意味。
主人公のハロルドは、妻には不倫され、会社からは首にされる流れの中で、出張先のメキシコで狂言誘拐を思いつくが、さまざまな思惑が渦巻く中で騒動が大きくなって・・・。
負け犬人生からの一発逆転を狙う中年男のドタバタ喜劇。

スター揃いの配役

主人公のハロルド役はゴールデン・グローブ賞ノミネート経験のあるデヴィッド・オイェロウォが配され、いつもはシリアスな役どころが多い彼が今回はコメディタッチの演技を披露している。
友人づらをしつつ彼を裏切る上司リチャード役にはジョエル・エドガートン、彼の情婦でありビジネスパートナーでもあるエレーンにはシャーリーズ・セロン。美しさに隠された、タールのように腹黒いオンナを熱演している。
(彼女の悪女ぶりは、ある意味ハロルドの対極を為す者として見られるかもしれない)
さらに、悪人揃いの本作にあってほぼ唯一 ハロルドに厚情を注ぐサニー役に『マンマ・ミーア!』のアマンダ・サイフリッドと、本作はあまり知名度がないわりに 多くのスター俳優が登場する、豪華な作品だ。

地道に働くのが馬鹿馬鹿しくなる?ストーリー

本作の主人公ハロルドは、金遣いの荒い妻の散財に悩まされるも、友人リチャードにあてがわれた商品管理部長の仕事に真面目に取り組んでいた。しかし、その友人が自分を解雇しようとしていることに勘づき、さらに散財癖のある妻に浮気を告白された挙句に離婚を申し出られてしまい、途方に暮れる。

金も家庭も失いかけている自分の境遇に嫌気がさすハロルドは、これまでの真面目一徹の人生をかなぐり捨て、一攫千金を得るため狂言誘拐を思いつく。そして、出張先のメキシコでそれを実行に移すが、メキシコの裏社会を牛耳るギャング組織や、非合法な麻薬栽培に手を出すリチャードとエレーンらの後ろめたい思惑などが交錯して、ハロルドの芝居はとんでもない事態を引き起こしてゆく。

真面目に生きることが馬鹿馬鹿しくなった男の、一世一代の芝居がさまざまな騒動を引き起こすドタバタ喜劇だが、サニー以外の登場人物は(主人公のハロルドを含めて)みな何かしらの悪意というか邪気を抱えている。しかしそれは、薄暗い陰湿さというよりは、乾いたシンプルな欲望であり、仮に誰かを殺すという意図であっても ゲームのような軽い気分である。コメディだから、と言えばそれまでだが、案外世の中そんな軽さでもって成り立っていることが多い気もするのである。

正しい方法だけを見続けていてもダメなんじゃないか?

本作には驚くほど多くの“悪い人”が登場する。
悪事を生業にしているホンモノの悪人だけではなく、善と悪の境界線が曖昧で、その時のシチュエーションによって行ったり来たりしてしまう人もいる。

(前述のように、アマンダ演じるサニー以外は、皆そうして簡単に悪事≒非合法な手段 に手を染めてしまう。そもそもハロルドの狂言にしても犯罪だ)

そして、最終的に大金をせしめたり人生を好転させるのは、意識してのことかどうかはおいて、善悪の境界線を行き来できた人なのである。(もっともそれができる人でも意図せぬ悪い結果につながってしまう人も多いのだが、少なくともサニーは事件に巻き込まれる前と後では人生に何も変化がない)

本作はコメディなので、真剣に受け止めるべきメッセージ はないのかもしれないが、少なくとも現世で自他共に認める成功者になるには、真面目一徹ではダメなんじゃないかな?悪事に手を染める必要はないにしても、正しい方法ばかりではないんじゃないかな?と目を配り続ける必要があるんじゃないかな?と思わせる作品である。

画像: 『グリンゴ/最強の悪運男』わりとスターを集めたドタバタ喜劇

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

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