2010年代のインドが舞台。
宇宙開発に取り組むインドで、閑職への左遷にもめげず、アジア初の火星探索ロケットの成功を目指した 反骨精神溢れる科学者たちの奮闘を描いた、「パッドマン 5億人の女性を救った男」の製作チームによる、インド版「ドリーム」といえる作品。
国威掲揚と女性差別撤廃がテーマで、かなりあからさまだが、ストレートで受け入れやすい。

女性の活躍に肯定的な作り

インドの月ロケットプロジェクトで致命的な失敗をしてしまったISRO(インド宇宙開発機構)の科学者ラケーシュとタラは、プロジェクトから外され、火星探索ロケット開発を命じられる。宇宙開発で世界に遅れをとるインドにあっては、それは優先度の低い、予算がつきづらい閑職。つまり左遷だったが、2人はそれにめげず、ならば誰よりも低価格で、中国より先に火星探索機打上げに成功してアジア初の栄誉を勝ち取ってやろうとモチベーションを高めたのだった。

主婦でもあるタラは、インド家庭の主食 プーリー(揚げパン)を作るためのレシピから(一度高温に温めた油なら 冷めるまで時間がかかるから火を止めてもパンを揚げられる。つまりガスを節約できる)航行中のロケットの燃料を少なくして、ロケットを軽くすることを思いつく。さらに地球の重力を振り切って火星に向かうための加速方法を考案し、ラケーシュと共にプロジェクトの優先順位を上げることに成功する。

しかし、MOM(マーズ・オービター・ミッション)と名付けられたそのプロジェクトに割かれた予算はわずか40億ルピー(今日の為替で約60億円。当時のNASAが推進していた火星探索ロケットプロジェクトのMAVENの予算は4億ドル強≒今日の為替で400億円以上)だった。

ラケーシュとタラのもとに集結したのは女性中心の若手科学者ばかり。しかし、ラケーシュとタラは女性ならではの発想やアイデアを大事にしつつ、彼女らを発奮させてMOMの実現に向けて奮闘を開始する。

アジア初の快挙を果たす国産チームへの賞賛を軸に、インド社会に横たわるさまざまな抑圧に対するライトな抗議

本作は、あからさまな国威掲揚目的の表現が目立つが(ロシアの力を借りるが失敗する中国の様子を描いたり、NASA=米国の支援を拒み独立したチームでのプロジェクト推進を目指すラケーシュの発言など)、それはむしろ清々しいほどあからさま。さらに、インド映画にあって女性の社会進出を是とする作り(→ラケーシュのチームは、タラを筆頭にほとんど女性) や、隣国バングラデッシュを意識しているのか イスラム教徒への差別の存在とその撤廃を目指す気分などが比較的明確に表現されている。

その見せ方は、ある意味シンプルでストレートすぎるので、映画的表現手法としては
未成熟というか稚拙な感じもあるが、それでも嫌味はなくて受け入れやすい(ワザとそうしているのか?)。実際のインド社会にあっては、ここに描かれた階級や性差、宗教の違いによる差別的な扱いは確かに存在するのだろうし、本作での描かれ方のようなライトで対抗しうる圧ではないのかもしれないが、それでも さまざまな問題提起がされていて、トータルで インド人として胸を張れる成果を目指すプロジェクトを描いているという意味で、評価されるべき作品と思う。

(ちなみに、インド映画というと、日本人はすぐ長時間見せられるインド舞踊のミュージカル的演出を想像して敬遠するケースが多いが、本作では まあ確かにその要素はゼロではないにせよ決して長くはないし意味不明で唐突な差し込みでもないので、恐らくは皆受け入れられる、だろう)

画像: 『ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画』実話をもとにした清々しい国威掲揚ムービー

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。dino.network発行人。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。
ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

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