女を殴る男、最近増えたみたいだけど、そんなとこまで男女平等ってわけ?わたしは、そんなオトコは願い下げだワ。
オートバイ2022年9月号(第88巻 第9号)「But Beautiful」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@dino.network編集部

女だって殴られたら殴り返すわ、当たり前でしょ

画像1: 女だって殴られたら殴り返すわ、当たり前でしょ
画像2: 女だって殴られたら殴り返すわ、当たり前でしょ
画像3: 女だって殴られたら殴り返すわ、当たり前でしょ

愛した男と別れるのは呆気なかった、自分でも驚くほど。

口の中が切れるほど強く男に殴られたのは生まれて初めてだった。だから思わず殴り返した。それでおしまい。

車に乗って男は去って行った。わたしにはバイクが残った。

あーっもう!やってらんない

男は去っても未練は残る。
女を殴る男なんてこっちから願い下げ、そう頭じゃ思っても胸の内には追いかけていきたい自分がいるのを否定できない。悪い? ろくでもない男に惚れた想いを簡単に断ち切れなくってゴメンね!

もう!やってらんない

こんなときにスピードに頼るのは男の専売特許じゃあないのよ、わたしも愛車に跨ってスロットルを回した。殴られて切れた口の中は鉄の味がしたが、そんなことは今のわたしにはどうでもよかった。

画像: あーっもう!やってらんない

愛車に跨り風になろう

画像: 愛車に跨り風になろう

わたしは闇雲に走り回った。
こんな時でもGSX-S750のエンジンは軽やかに回った。わたしの葛藤を嘲笑うように。

とりゃあ‼︎

わたしはスロットルを握る右手のチカラを入れ続けた。スピード、スピード、スピード!
わたしの愛車のパワーは、そんなわたしの振る舞いに応えて終わることがない。途切れることなく盛り上がるその底力は、わたしのためらいを風の中に置いてくることなど、カンタンなことだった。GSX-Sはいつしかわたしの期待通り、その力強い走りでわたしの苦い気分を後ろに軽く放り投げてくれた。

いつのまにか口の中の血は止まり、鉄の味もしない。

画像: バイクがあれば男なんていらない!〜東本昌平先生 RIDE「But Beautiful」より

楠雅彦 | Masahiko Kusunoki

車と女性と映画が好きなフリーランサー。

Machu Picchu(マチュピチュ)に行くのが最近の夢。蚊に刺されまくっても行きたい。

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