こんにちは、恐竜おねえさんこと生田晴香です。今回は、全人類絶対に持っておいた方がいい想像力ふくらむ恐竜図鑑を紹介します。一般的によくあるカラフルで比較的子ども向けの恐竜図鑑とは異なり、なんとインテリアとして飾っておいてもかっこいい落ち着きのある大人向けの恐竜骨格図集なんです!

連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くす。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ。- dino.network編集部

一般的な恐竜図鑑について

いろんな恐竜を知りたいとき、まず頭に思いつくのは何でしょう。おそらく大体の方が真っ先に恐竜図鑑が出てくると思います。

それは正解です。恐竜図鑑を探すのは最も正しい行動なんですけれども、一般的によくある恐竜図鑑の恐竜のイラストが色や体型そのままの姿だと思ってませんか?

白亜紀前期のカナダからまるで生きてるかのような姿の状態で鎧竜「ボレアロペルタ」が発見されましたが、そんな完全な姿で発見される恐竜は奇跡中の奇跡です。生きているうちに2度とあるかないか…と思います。

だいたいがバラバラ殺人事件かのように骨のパーツがいくつかしか見つかりません。歯だけの化石で名前がつけられた「トロオドン」なんてのもいました。

コラム記事:トロオドンが消えました。

一般的な恐竜図鑑では、発見された少しのパーツと近しい種から予想・復元された恐竜を「これらはすべて本人です」と言わんばかりに載っていて、図鑑を隅々まで読まなかった方は恐竜の色まで全部その通りだと勘違いし、「えっ? 色ウソなの?」と、勝手にがっかりします(普通に解説載っているはずなのに)。

図鑑自体は見やすくわかりやすく、目の保養にもなるきれいさがあり、情報もたくさん載っていて一家に一冊は毎年買った方がいいほどの素晴らしいものなんですけど、発見されていないパーツの部位はどうだったか自分で考えたくないですか?

だったらどういう図鑑があればいいのか。まさにコレ!な一冊があるのでご紹介します!

小林快次監修『新・恐竜骨格図集』

画像1: 小林快次監修『新・恐竜骨格図集』

ポケモン化石博物館やカムイサウルスの骨格図でもおなじみ、G.Masukawa(G.マスカワ)さんによる恐竜骨格図です。

画像: ポケモン化石博物館では骨格図が全身骨格化されたガチゴラス

ポケモン化石博物館では骨格図が全身骨格化されたガチゴラス

画像2: 小林快次監修『新・恐竜骨格図集』

骨格図と聞いて、普段から恐竜の論文や『恐竜骨格図集』(グレゴリー・ポール)を目にしている人にはすぐイメージできると思いますし、すでにこの本を持っている方も多いのではないでしょうか。骨を復元したイラストです。

  • 白…化石が発見されている部位
  • グレー…化石が欠損している部位のうち近縁種に基づいて「妥当程度に正確」に復元できそうなところ
  • 黒…推定されているおよその輪郭
  • ※はっきりしない部分は何も書き入れない。

と、描き分けており、わかりやすい図となっております。

G.Masukawaさんの恐竜骨格図は数々の学術論文や専門書に使われることもあって形や寸法を忠実に再現されてます。正確性がすごいんです!

画像3: 小林快次監修『新・恐竜骨格図集』

骨格図に名称、時代、産出地域、骨格図の基にした標本、スケールバーに解説も載っていて、時代はカンパニアン期、マーストリヒチアン期など「期」まで細かく載せてくれているところが、かなりありがたいポイント。

「サイエンスとアートの垣根を超えた瞬間」

『新・恐竜骨格図集』の監修に携わったのは、恐竜界の絶対的エース! 古生物学者・小林快次さんです。

小林さんが2019年にカムイサウルスを命名した際、G.Masukawaさんが骨格図を手掛けていましたが、監修の言葉のなかで、このようにコメントしています。

「『研究をもとに骨格を復元すると矛盾点がある』と指摘を受けた。復元することでわかる恐竜の新事実。ある意味カムイサウルスの研究は、私たち研究チームとG.Masukawa氏の二人三脚で完成されたものとも言える。サイエンスとアートの垣根を超えた瞬間である。」

編集は黒い本でおなじみ、サイエンスライター土屋健さん。土屋さんの恐竜本も面白くてどれもオススメです。

本の色は白黒グレーに落ち着いたグリーン。まるで辞典のようにシンプルで、漢字のフリガナはないので全体的によほど漢字が苦手ではなければ読みやすくなっています。

アートでもあるのでタイトルに「図集」となってますが、179種もの恐竜骨格図と情報が体の中の骨スケスケの状態で載っているのでこれはもう「大人の恐竜骨格図鑑」でいいでしょう。2023年の恐竜流行語大賞にノミネートします。

肉がついている恐竜図鑑と比べてみたり、フィギュアやイラストを描くときの参考資料にしたり、ページをバラバラにして飾ったり使い方は無限大!

肉がついて羽毛もあったとしたらどうなるんだろうと、見ているだけでワクワク心が爆発です。一家に一冊は必ず手に入れておきましょう。

そして、G.Masukawaさんみたいに正確に骨格図が描ける人間はそんなにいないので、自然と恐竜的人間国宝です。決して足を踏んでしまったり危害を与えないように奉りましょう。

画像: ポケモンカードは楽しいです、はい。

ポケモンカードは楽しいです、はい。

では!

書誌情報

『小林快次監修 新・恐竜骨格図集』
小林快次 監修
G.Masukawa 著
土屋健 編集協力
発売日:2022年6月17日
価 格:3,800円+税
ページ:160ページ
出版元:イースト・プレス

画像: 恐竜タレント生田晴香推薦! “大人向け” おすすめ恐竜骨格図集

生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。

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前回の「生田晴香、恐竜と生きる」はこちら

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