こんにちは、恐竜おねえさんこと生田晴香です。国立科学博物館での開催を終えた「恐竜博2023」。2023年夏は大阪市立自然史博物館にて開催しています(2023年7月7日〜9月24日)。そこで展示されている学名のない恐竜に、新しいナニカが誕生したのでご紹介します。

連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くす。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ。- dino.network編集部

新種の恐竜?

恐竜博2023の東京展(国立科学博物館)にて、さりげなくも存在感がある角竜が展示されていたのですが、行った方は覚えているでしょうか。

トリケラトプスの子どもならこんな感じかな?という想像させてくれるような見た目の恐竜です。

画像1: 新種の恐竜?

ホロタイプ「Ava(アヴァ)」というニックネームで呼ばれるその角竜は、「ケラトプス科の未記載種」と東京展では表示されていました。

なかなか状態のいいパーツがほぼ全身といっていいほど揃っている個体で、全身骨格と本物の化石が置かれていました。

フリルや四肢骨などの表面にはスジ状の表面組織が見られるのだがこれは若い骨の特徴。加えて、頭骨要素や椎骨の神経号と椎体が癒合していないことも、未成熟個体に典型的に見られる特徴です。他の理由からも特に若い個体だということがわかります。

3本の骨を切断し薄くスライスし骨内部組織を観察したところ、2本の成長停止線が確認できるので2〜3歳の子だったのではないかとのことがわかる…というスライス展示もありますね。

画像2: 新種の恐竜?

気になる分類ですが、角竜のケラトプス科は「トリケラトプス」や「ペンタケラトプス」みたいにフリルが大きくて目の上のツノが発達している「カスモサウルス亜科」と…

「アヴァケラトプス」や「パキリノサウルス」みたいにフリルが短くて目の上のツノがないか短めの「セントロサウルス亜科」とで分かれます。

アヴァと呼ばれるこの子はどっちになったかと思いますか?

  • カスモサウルス亜科
  • セントロサウルス亜科
  • カスモサウルス亜科
    54
    7
  • セントロサウルス亜科
    46
    6

ヒントは、フリルは短めのようです。アヴァケラトプスやナストケラトプスに近縁です。

トリケラトプスの子どもっぽいとわざわざ入れたのはヒントでもなんでもなく見た目シンプルにそう見えただけです。

正解は、セントロサウルス亜科です(正解者に拍手)。

白亜紀後期のアメリカ・モンタナ州ジュディスリバー累層で発見されていて、全長は約3.5mです。

国立科学博物館で研究中の実物化石を特別に展示との事で、図録にも数ページに及んで特徴などバッチリ記載されています。

論文が!

そんな「ケラトプス科の未記載種」アヴァですが、恐竜博2023の大阪展(大阪市立自然史博物館)会期中ついに! 新属新種として記載論文が出ました!

その名も…
Furcatoceratops elucidans(フルカトケラトプス・エルキダンス)

フルカトケラトプスの名前の意味は、叉状の角のある顔で、エルキダンスは解明というラテン語の意味です。

分類はケラトプス科セントロサウルス亜科、ナストケラトプス族フルカトケラトプス属となりました!

フルカトケラトプス、角竜なれしてないひとには言いにくく覚えにくいところがあるので、バッチリと覚えるコツを教えましょう。

真ん中のやつがフルシカトされている、で真ん中を抜いて「フルカト」。「ケラトプス」は角竜の話でよく使うのでトリケラトプスかのようにケラトプスで覚えます。

フルシカトケラトプス
フルカト ケラトプス
フルカトケラトプス
これを繰り返し言えばもう覚えましたね?!

少し難しい恐竜用語が多いのにせっかくここまでこの記事を読んだのです。

しっかり覚えて友達に「恐竜博のケラトプス科の未記載種で展示されてたやつ、フルカトケラトプスって命名されたってよ!」と話してみましょう。

まとめ

フルカトケラトプス命名おめでとうございます! 恐竜自体はすでに存在していたわけですが、まさか大阪展会期中に名付けられるとは、さらに盛り上がりますね!

まだ名前がついていない海外の恐竜だからといって、今後名前がつくかもわからないからと撮影したのが少なくなってしまったのは個人的にかなり失敗でした。

恐竜博2019のときみたいに、まだ学名がつけられていない日本の恐竜だったらもし名前がつかなかったとしても注目していたのですが、やはり国立科学博物館での恐竜展ではどんなに小さかったり産出されている化石が少なかったりしても、ダイヤの原石です。

必ず何かあります。図録があるからといって油断せず、全て細かく自分の目でチェックして撮影祭りをしておかなければ後々必ず後悔してしまうでしょう(と自分の心に刻む)。

ちなみに他にも恐竜展の会期中に命名されたり、逆に疑問名となり名前が消えたりした恐竜もいます。それぞれの恐竜が日々どうなっていくのか、一生見届けたいですね。

画像: まとめ

大阪展では2023年7月7日〜9月24日まで開催中です。

「ケラトプス科の未記載種」として変わらずそのままの展示し続けていくのかもしれませんし、展示が学名入りに変わるのか追加情報パネルがくる可能性もあります。

予想では変わらない気がしますが、どうなるのか楽しみですね。まだ見てない方はぜひ恐竜博2023を隅から隅までよーくチェックしましょう。

画像: 富士急ハイランドの戦慄迷宮クリアしたのでもう怖いものなしな生田晴香

富士急ハイランドの戦慄迷宮クリアしたのでもう怖いものなしな生田晴香

ではまた次回!

画像: 展示会中に命名? Ava(アヴァ)と呼ばれる噂の角竜

生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。

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