こんにちは、恐竜おねえさんこと生田晴香です。これまでいろんな恐竜の復元や化石をたくさん見てきて、まぁまぁ有名どころなのに見た目が違和感でしかない、個人的にちょっと変だなぁと思う恐竜をご紹介します。

連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くす。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ。- dino.network編集部

変な恐竜

個人的に思う、変な恐竜、、、
その名は「カルノタウルス」。

映画ジュラシック・パークシリーズにも登場する恐竜で、フィギュア化されていたりゲーム「ARK」や「エグゾプライマル」などにも登場したりするなど、決してマニアックな恐竜というわけではなく、恐竜好きな人ならば誰しもこの名前は知っているのではと思います。

画像: ダイノワールド2015

ダイノワールド2015

ちなみに(?)以前パシフィコ横浜で開催されていた「ダイノワールド2015ヨコハマ恐竜博」では、カルノタウルスヘッドに飛び込めたりしました。

画像: 恐竜博2023

恐竜博2023

国立科学博物館で開催されていた「恐竜博2023」の東京会場でも、ででーん!と全身骨格が展示されていましたね。

下から撮ったからか足長く見えますね。これにがっしりとしたいい筋肉が付いていただろうに、ティラノサウルスより速く走ることができたのではないかと考えられています。

いろんな会社からフィギュア化されてたりもしますね。

画像: プライム1スタジオさんにて撮影

プライム1スタジオさんにて撮影

映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018)のスタチューでは、ティラノサウルスに踏み潰されているシーンなんかも再現されています。

カルノタウルスが好きでティラノサウルスより強いと思う派の人間にとっては、見ていて辛いかもしれません。

見た目は全身を見れば大きく、足が長いです。それに小顔で目の上がツノツノでかっこよく、歯ががっしりしていていかにも肉食系な感じです。

画像: 変な恐竜

気になる変なところは、小顔なのにたくましく太い首に短すぎる前あしです。

怪獣で言うと映画『シン・ゴジラ』(2016)の蒲田くんと呼ばれているゴジラ第2形態をがっしりとした足にしたような、かっこいいんだけどヌメってしそうな感じがしないですか?!

そしてやはり1番気になるのは短い前あしです。これほどまでに短いか!というくらい短く本当にそれが気になって気になって、変です。

※一応、変なのは悪い意味ではなく変わってて面白いから気になるということです。当たり前ですが好きです。

ティラノサウルスも前あし短いのですが、もしかしたらカルノタウルスはティラノサウルスみたいに大きな頭を持っていたらそこまで変だと思わないのかもしれません。

ちなみに、アウカサウルスなど他にも手が短い恐竜はいますが、全体のバランスとして気になって気になってしょうがなくなるのが、カルノタウルスなのです。

どんな恐竜か

画像: どんな恐竜か

カルノタウルス・サストレイ(Carnotaurus sastrei)

カルノタウルスの学名の意味は「肉食の雄牛」。頭骨の突起がウシのツノを彷彿とさせることから属名がつけられました。種小名のサストレイは、発掘された牧場の所有者 サストレにちなみ、最後にイ(i)をつけてサストレイです。

その突起は武器として攻撃するためではなく、お互いを認識するためだと考えられています。

分類は、竜盤類、獣脚類、ケラトサウルス類、アベリサウルス科。肉食恐竜です。

時代は中世代白亜紀後期の約7000万年前に生息していたようで、アルゼンチン・チュブ州のラコロニア層にて1984年に化石が発掘されました。

実は最新の研究で新たにわかったことがあります!

手の指はこれまでの復元では指と指の間を広げられていたのですが、実際は指を広げることは難しかった可能性が高いことがわかりました。

とどのつまり、手をすぼめるような状態がカルノタウルス的には普通だったわけです。

まぁ考えてみれば確かに手の指を広げたられたとしても、そんな短い手で何するんだと言われたらなんだろうという疑問でいっぱいです。

完全な予想ですが、もしも座った状態から反動をつけて起き上がっていたとしたら、ピチッと指を揃えている方が、疲労骨折になる確率を下げられたかもしれませんね。

日々暮らす中での動き方がどうだったのか、知れば知るほど益々気になりますね。

ウロコ

なんと! 実は部分的に皮膚痕化石が見つかっていて、どういう皮膚でどんなウロコをしていたのかわかっているんです!

前方背側は直径6.5センチほどの大きな飾りウロコがやや密に分布。細かい菱形や六角形だったり…

肋骨の前後のウロコは5〜6センチ程度で中央部が突出していたり…

やや楕円形なのもあったり、ウロコの向きがわかっていたり…尖り方や大きさは様々。

恐竜博2023の図録をお持ちの方は皮膚痕があるページを開いてみてください。画像があります。

しかし本当にすごいですよね、ここまでわかるとか最高としかいいようがありません。最高を超えてます。

というわけで、今回のコラムは見た目が不思議な気持ちでいっぱいにさせられる変な恐竜「カルノタウルス」の回でした。変なのはやはり気になる存在なので良いことです。

これからもどんどん気にして考え続けて、実際はどう生きていたのか想像していきますので皆さまも一緒に考えていきましょう。

こうだったのかも?と新しくひらめいたらぜひ教えてください。

画像: 夏休み期間は完全にアニメのジョジョにハマってました。

夏休み期間は完全にアニメのジョジョにハマってました。

ではまた!

画像: 手が気になりすぎる恐竜【カルノタウルス】の謎に迫る・・・

生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。

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