ブランパン フィフティ・ファゾムス「機械式のマスターピース」【今週の逸本 Vol.18】

ダイバーズウォッチの原型

世界最古の時計メーカーながら、そのブランド説明の際は「知る人ぞ知る」、「マニアック」「時計好きが唸る」などの冠がつくことの多いブランパン。その技術力は後世のブランドに多大な影響を与えているものの、メーカーとしては時代の波に乗り切れず、その知名度は比較的創業年の近いブレゲやヴァシュロン・コンスタンタンに大きく水をあけられる結果になってしまっている。

とはいえ、それはあくまでもブランド名だけを切り取ったときの話。今回ご紹介するフィフティ・ファゾムスシリーズは、1953年に同社が手掛けた代表作で、回転ベゼルや防水性能、夜光塗料による高い視認性といった現代まで続くダイバーズウォッチの原型となった1本ともいわれるモデルだ。

ライバルはサブマリーナ⁉︎

ダイバーズウォッチといえば、真っ先に思いつくのはロレックスのサブマリーナ、という人は多いだろう。その登場は1953年、なんとフィフティ・ファゾムスと同年である。

ゆえに、サブマリーナとフィフティ・フォゾムスは、同じようにダイバーズウォッチの原型となった“1本”として語られることになる。まさにライバルのような関係なのだが、それ自体時計ファンにしか知られておらず……。

しかし、時計を見る目の厳しいファンたちが一目置くのが同ブランド。自社で一貫製造されるムーブメントをはじめ、ムーンフェイズ 、アニュアルカレンダー、クロノグラフ 、トゥールビヨン 、ミニッツリピーターなどなど、コンプリケーションウォッチを構成するすべての機構を制作。

さらに、トゥールビヨン同様に重力差を軽減するワンミニットフライングカルーセル、グレゴリオ暦と中国暦を同時に表示するトラディショナルチャイニーズカレンダー、GMT機能付きアニュアルカレンダーなど、独自の機構も開発しており、その高い技術力が伺い知れる。

魅せる技術も超一流

機構に対する技術力はもちろん、時計を魅せることにも一流の技術を持つブランバン。

本モデルを見てもわかるように、ダイヤルのわずかなスペースに施されたエングレービングは非常に細かく上品。かといって、ダイバーズウォッチとしての視認性は一切損なわず、むしろすっきりとしたイメージを与えている。

フライバッククロノグラフ

本モデルの名前にもなっているフライバック クロノグラフ 。これは連続する複数の経過時間を計測できるというもの。一般的なクロノグラフはストップ、リセット、スタートといった順にボタンを3回押さねばならないが、フライバックの場合、ボタンを1回押すだけで針をリセット、さらにそこから離すと、クロノグラフ針が作動する。

こちらは時短機能として高く評価されており航空・航海やスキューバダイビングなどで活躍してくれるだろう。

MOON PHASE 〜STAFF VOICE〜

知る人ぞ知るブランドということもあり、店に入荷すると固有のファンがサッと買っていってしまいます。そのため、なかなかお目にかかる機会の少ない時計です。リセールバリューが悪くなく値が崩れにくいことも人気の要因かもしれませんが……。

ブランパンの時計はクラシック要素が強いものが多いのですが、今回のフィフティ・ファゾムスはスポーツ寄りで、カジュアルなシーンにも気軽に着けていけます。もちろんダイビングシーンにもぴったり……ですが、この価格ですから実際に着けて海へ入るのはちょっと躊躇してしまいますよね（笑）

歴史のあるもの、性能のいいもの、人と被らないものがいい！なんて欲張りな方にオススメの1本です。