フォーマルからインフォーマルまで、自身のこだわりを移す鏡として選ばれる腕時計の数々。ここではブランド腕時計専門店・MOON PHASE(ムーンフェイズ)が最新モデルからアンティークまで、見る者の感性を刺激する1本をセレクト。今回は、“カルティエの時計のはじまり”であるサントス・デュモンをご紹介しよう。
Cartier
世界のトップジュエラーに君臨するブランドでありながら、時計史に刻んできた功績はとても大きく、現在の時計業界への影響力も非常に高いのがカルティエ。とくに1904年に発表された「サントス」は、“時計を腕に巻く”という腕時計の概念を普及し、懐中時計から腕時計への移行を後押ししたほど。ほかにも「タンク」「パシャ」などのロングセラーモデルをいくつもラインナップし、どのモデルも美しい造形のケースに高度な技術を誇るムーブメントが納められていることでも定評がある。近年も「バロン ブルー」「カリブル ドゥ カルティエ」などの新シリーズを続々とリリース。片時も目を離すことのできないメゾンである。
飛行機王が欲した1本
1904年に世界で※初めて一般用腕時計(男性用)を作り、宝飾ブランドながら時計界の歴史に名を刻むカルティエ。
※諸説あります。
本連載でも、時計ファン垂涎の1本としてコレクション プリヴェを紹介しているが、今回セレクトしたのも負けず劣らず、これまたファンが「おぉ」と唸る1本「サントス・デュモン スケルトン」である。
サントス・デュモンとは人名で、ブラジルに生まれた飛行家・発明家のアルベルト・サントス=デュモンのこと。旅行や芸術好きな方であれば、ブラジル・リオデジャネイロの「サントス・デュモン空港」や「サントス・デュモン絵画展」などでその名を聞いたことがあるかもしれない。
同氏は飛行機によるヨーロッパ初の飛行という快挙を成し遂げただけでなく、航空黎明期に飛行機の技術や原理を世に広めたことでも有名だ。その生涯を飛行機や飛行船に捧げ、ブラジルでは“飛行機王”、“飛行機の父”と呼ばれるほどの人物である。
同氏が友人であったルイ・カルティエに「飛行中も簡単に時間を見ることができたら」と相談したことが、サントスシリーズの発端だ。カルティエは依頼を受けて1904年に腕に着けることを前提としたモダンウォッチ「サントス」を製造する。
このサントスこそが、カルティエが作り上げた最初の腕時計なのだ。
技術力の結晶・スケルトン
サントスシリーズは、スクエアのケースに飛行機を彷彿とさせるベゼルのビス、シンプルながらも見やすいローマンインデックスを伝統に構成されるシリーズ。
ムーブメントは自動巻きや手巻き、クォーツなど多彩だが、どれも非常に薄く仕上げてあるのが特徴だ。
そこに今回のスケルトン仕様である。
なにがすごいって文字盤のみがスケルトンでムーブメントが見える……というものではなく、時計自体が透けて、ムーブメントの向こう側が見えているのだ。
スケルトン仕様を作るということは、それだけ部品数を少なくしないといけない。そもそも腕時計に無駄なパーツなど存在しないわけで、そこから部品数を減らし、サントスシリーズというカタチを崩さず、デザインにもこだわって1本の時計として作り上げるカルティエの技術力には、ただただ脱帽である。
カルティエのこうした逸本を見るたびに、時計専門ブランドに対して「宝飾ブランドでもこれだけできるぞ」という挑戦に近いメッセージを感じる……というのは考え過ぎだろうか。
男心をくすぐりながらも上品さを兼ね備える、そんな時計を探している方にはこれ以上ない1本、といえるだろう。
Cartier
サントス デュモン スケルトン
品番:W2020057
素材:PG(ピンクゴールド)
サイズ:縦47.4㎜×横38㎜
防水:日常生活防水
ムーブメント:手巻き
文字盤:ピンク
販売価格:3,250,000円(税込)※USED
国内参考定価:5,508,000円
【付属品】
外箱、内箱、保証書(2012年11月)が付属
※価格は2020年4月現在のMOON PHASE銀座店・販売価格です。
MOON PHASE 〜STAFF VOICE〜
宝飾ブランドながら派手さを抑え(もちろん派手なのもあります)、堅実に作り上げたことで獲得した生粋の時計ファンたち。彼らを離さずに掴み続ける時計作りは、もはや時計専門ブランドとなんら変わりません。
また、見た目にばかり目が行きがちですが、装着感にもこだわっています。本モデルをはじめとするカルティエの時計のベルト(ストラップ)には穴がなく、腕の細い人、太い人、どんな方にでもフィットするよう、ベルトを巻き込んで止める設計になっているんですね。
こうした細かな配慮が、「カルティエの時計」というブランドを高く築き上げているのでしょう。
今回のスケルトンモデルも、一見メカメカしくなりがちなところ、文字盤のデザインや素材の妙でしっかりとドレス感を持って上品に仕上げています。
ただ、このスケルトン、ひとつ心配なのは向こう側が見えすぎるところ。装着したときに、腕の毛などもしっかり見えてきちゃうんですよね。これはカルティエに限ったことではないのですが、こうした特殊なお時計は普段意識しないところも考えないといけません。
あとは日焼けとか……まぁ、メカニカルな日焼け跡になって、それはそれでかっこいいかも(?)しれませんけども。
所在地 | 東京都中央区銀座1-6-6 GINZA ARROWS1F |
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TEL | 03-5250-7272 |
営業時間 | 11:00〜19:00(日曜祝日〜18:00まで) |
定休日 | 水曜日 |
公式サイト | https://www.moon-phase.jp/ |
※新型ウイルスによる感染拡大防止のため営業時間に変更の可能性がございます。詳細は公式サイトをご確認ください。