映画史を変えた!? 伝説の冒頭シーン
1992年に上映された1本の低予算映画。それがまさか映画史を変えてしまうだなんて、誰が予想しただろうか?
その映画こそ、当時28歳のクエンティン・タランティーノによる初監督作品『レザボア・ドッグス』(原題:Reservoir Dogs)である。
「Reservoir(レザボア)」とは、“貯水池”という意味があり、タイトルを直訳すると「貯水池の犬たち」となる。具体的に何かを示すタイトルではないものの、「Reservoir」には宝庫という意味もあるため、いい意味では「すごい奴ら」、悪い意味では「溜まり場のワルども」といった雰囲気だろう。
その「Reservoir Dogs」こそが、この映画の登場人物である8人の男たち。強盗を企てており、実行犯は6名。コードネームで呼び合い準備を進め、いざ実行するも計画通りにいかない。もしや裏切り者がいるのではという疑念に駆られ、ついに仲間割れを始めてしまう。
低予算なだけあり、倉庫の中で展開が進んでいく映画だ。過去の説明を飛ばしてスタートするため、観客はなぜこのような状況になったかをストーリーの展開に合わせて把握していく。黒服ギャング×強盗というありがちなジャンルでも、構成と衝撃的な演出で楽しめる映画となっている。
中でも、映画史に大きな影響を与えたのが冒頭に登場する“ムダ話”。約7分に渡って展開されるこのシーンは、なんと本編に全く関係がない。タランティーノ監督は緩急のある展開がトレードマークとなっているが、デビュー作からこのオリジナリティを確立しているのだから驚きだ。
1993年4月の日本公開から、30年ぶりに公開
さて、そんな伝説の名作が、30年ぶりに劇場公開となった。2024年1月5日(金)より、新宿ピカデリーほかにて全国公開。そして劇場公開を祝して、例の冒頭シーンが解禁された。3分とはいえ少々過激なワードが飛び交うため、英語とはいえイヤホンで観ることをおすすめする。
ちなみに、どんな“ムダ話”をしているのかというと、マドンナの名曲「Like a Virgin」に関する各々の解釈論である。これに対してマドンナは、愛について歌っているのだと訂正したとか。(実際の記事はこちら。)
日本語訳と照らし合わせて聞いた筆者としては、テーマはマドンナの言う通り「愛」であると感じる。新鮮なトキメキという点では「恋」とするのがいいとも思うが、皆さんも実際に曲を聞いたうえで解釈論を聞いてみてはいかがだろうか。
ともあれ、この冒頭シーンがあってこそ。本作を観た若者たちがこぞって「自分たちの映画」を作るきっかけになった名作でもある。映画史を変えた伝説のシーンを、ぜひスクリーンで堪能してほしい。
『レザボア・ドッグス デジタルリマスター版』
原題:『RESERVOIR DOGS』
公開日:2024年1月5日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
配給:鈴正、フラッグ
映画公式X(旧Twitter):@reservoir_movie「#レザボアドッグス」
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